9月30日に茨城県・東海村の核燃料加工施設で放射能漏れ事故がありましたが、この日はちょうど中日ドラゴンズのリーグ優勝が決まった日で、私としては時折入るニュース速報を見ながらも実に脳天気な状態だったわけです。その後、新聞やテレビで報道されるのにつれて、事の重大さを思い知ることになったわけなんですが…いろんな報道を聞いて思ったことをいくつか書いてみます。
やっぱり出たか、農産物取扱い自粛
…言いたいことはこの表題の通りなんですが、早速茨城県産の農畜産物の販売を自粛する店が増えているようです。「放射能の残留した食べ物を食べるのは嫌だ」というのは私だってそう思いますから、売れないものは売りたくないと言う小売店側の気持ちは良く分かりますが、その対応にもいろいろあるようですね。
「当店では半径10km以内で生産された商品は取り扱っていません」。これは比較的おとなしい対応ですね。本当はこの10kmと言う距離が適切なのかどうかと言う問題が別にあるわけですが。「事故前に収穫したものです」と張り紙をしている店もあるようです。買う側はとりあえず「茨城県産」と言うだけで敬遠したくなる感情があるわけで、こうした表示は不安を少しは和らげてくれます。
ちょっと困った対応は「茨城県産」の表示を「関東産」に変えたというもの。これは情報を意図的に隠しているわけで、後で問題にならなければいいんですが。
で、買う側にとってはともかく生産者側にとって一番困るのが「茨城県産完全自粛」。野菜の、特に地上に出ているものを自粛するのはわからないこともないんですが、思わず笑ってしまったのは「納豆も自粛」。今店頭に並んでる納豆が放射能を浴びているはずがないでしょう。納豆屋さんからすれば実に迷惑な話です。
「農産物安全宣言」の怪
こうした動きを見て、茨城県は早速「農産物安全宣言」をしました。今回の茨城県産バッシングを見て、所沢のダイオキシン問題を思い出したわけですが、ああならないように一刻も早く行政が安全をアピールする必要があったわけですね。しかし、ちょっと考えてみるとこれって変じゃないですか?
住民の避難勧告が解除されたのは昨日の夕方のことです。一方、農産物の安全宣言は一昨日の晩でした。しかも、住民の避難勧告が解除された後も建物などの残留放射能を全てチェックするそうで、学校なんかも「遊具には触らないように」とか「衣服には土を付けないように」とか指導しているようです。そんな場所で作っている野菜に簡単に「安全宣言」なんか出していいのか?…どうも、とりあえず「安全だ」と言ってみただけ、と言う気がしてなりません。別に茨城県の農家の皆さんを苦しめたいとは全く思っていないんですが。
社長、土下座
避難所に事故を起こした会社の社長が訪れて、避難している住民の前で土下座している写真を新聞で見ました。いろいろな意見もあるかと思いますが、社長も大変です。土下座したところで時間が元に戻るわけではありません。きっと住民からは「謝ったってどうにもならないだろう」と罵声を浴びせられたことでしょう。それでも、土下座してでも謝るしかできることはありません。「どうにもならない」ということは今更言われなくたってわかっているのに。
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