一度公開してすぐに引っ込めたSoundVQ用「明日を探しに」音声データ、公開を再開しました。是非聴いて下さい。前回のよりもずっと良くできていると思います。
実は前回のバージョン、歌と演奏をMDで一発録りしたもので、公開はしたものの不満な部分が多かったというのが正直なところでした。せっかくUA-100という強力な機材を手に入れたのだし、もう一度レコーディングをやり直せばもっとレベルの高いものが必ず出来る…そう確信した私は、無理をお願いしてtamaさんにもう一度歌ってもらうことにしました。
今回は、
1. 歌のパートだけをUA-100に入力、パソコン内にWaveファイルとして録音しました。5テイクほど録って、それを自宅に持ち帰りました。
2. 自宅で、あらかじめ録音しておいたバックコーラス、その他の各MIDIパートとのバランスを調整、ノイズ除去から空間効果まで各種エフェクト処理を行いました。
3. 最後にMIDIパートも録音してから一つのWaveファイルに合成しました。
前回の「一発録りバージョン」と比べると、楽器・音声間のバランス、ノイズの量など大幅に改善しています。これならCDを作っても大丈夫でしょう(手前ミソ?)。これも、最初に録音してからずっとデジタルデータのまま処理したおかげです。
さて、最近のデジタル環境での音声や画像の編集を説明するのに、よく「ノンリニア(Non-Linear:非線形)」という表現が使われます。ノンリニアというのは、これまでテープという一本の「線」の上に記録されていたデータが、ハードディスク上に載るようになって「非線形」になったことを指す言葉なんですね。
音声も画像も同じ話なんですが、これまでのアナログ編集は、素材を実際に再生しないと編集処理が行えませんでした。これに対して、デジタル編集の場合は「編集」という作業は「数値計算」という作業にそのまま置き換えることが出来ます。この場合、その作業は必ずしも素材を再生しながらリアルタイムに行う必要はありません。高い計算能力さえあれば、それこそ一瞬のうちに好きなように編集することも可能なわけです。普通に言うノンリニア編集の意味とはちょっと違いますが、ノンリニア編集は時間軸上でも「ノンリニア」なんですね。
今「一瞬で…」という表現で説明しましたが、実は「時間軸上でノンリニア」であることによるメリットが全く逆のところにもあります。それは、これまで高価なハードウェアを使わなくては実現できなかった高度な処理が、時間をかけさえすればソフトウェアだけで可能なこと。特に、私のところのように決してパワフルとは言えない環境の場合、このメリットは非常に大きくなります。5分間のパフォーマンスを制作するために数十分の時間をかけて、複数の高度なエフェクト処理を行った音声を合成できるわけです。
今回の「明日を探しに」の編集作業でもそう言った場面が何度かありました。購入したハードウェアとソフトウェアの費用合計は8万円ほどになりましたが、これを全てリアルタイム処理できる機材で揃えたとしたら何十万円かかったことでしょう?…考えるだけで寒気がします。 高度な編集を私たちアマチュアにも開放した…これもデジタル技術の成果なんですね。
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