最近、我がLet’sくん・CF-S21のバッテリーの調子が良くありませんでした。バッテリーだけで使っていると、1時間くらいで突然残り容量が0%になって電源が切れてしまいます。マニュアルに書いてあるとおり一度完全に放電させてみましたが、結果は一緒。購入当時はフルパワー運用でも3時間以上動いていましたから、これはどうやらバッテリーの寿命のようです。もう1年半くらいの間、毎日のように使っていましたからね。仕方ないことでしょう。
ちょうど月曜日は東京に出張だったので、秋葉原で交換用バッテリーを購入しました。価格は22,000円也。300回以上充電して使えるものですから、こんなものでしょう。これでもうしばらくはLet’sくんをこき使えそうです。
実は、音楽のデジタル処理をこのLet’sくんで行って以来パワー不足を感じていて、買い換えてみようかな?と思ったりもしました。しかし、それは止めることにしました。
これまで、CF-S21をどこにでも持ち歩いて通常のWindowsアプリをパワフルに使ってきた私としては、もし買い換えるとしても「出先でWindows 9xが快適に動作する」のが最低条件です。もちろんより軽く、より処理が速く、よりバッテリーが長持ちなら言うことがないんですが、一般的に処理が高速になればなるほど消費電力は大きくなるわけで、なかなか妥協点を見いだすのが難しいところです。特に、CPUの消費電力は年々増え続けています。周辺機器の省電力システムが進歩してきたのも、実はCPUにその分の電力を使いたいからだったりするようです。
ところが、このCPUに関して面白い動きがあります。先週、アメリカの新興企業Transmeta社から、新しいIntel x86互換CPU「Crusoe」が正式に発表されました。前から、今までにないタイプの面白いCPUが登場するという噂は出ていましたから、私も登場を楽しみにしていました。
この「Crusoe」プロセッサの特徴は、いわゆるx86系CPUとしての互換性を保ったまま、画期的な低消費電力を実現しているところです。DVD再生のような重いマルチメディア処理を行っても、消費電力は従来のプロセッサの4分の1以下だとか。しかも、これでメモリやPCIバスのコントローラ(いわゆるNorth Bridge)を内蔵、700MHz動作のモデルがあると言うのですから驚きです。CPUへの負荷に応じてリアルタイムでクロックや電圧を変化させる仕様(IntelのSpeedStepが子供だましに見えます)も盛り込まれていて、徹底的にモバイル機器にターゲットを定めていることが良く分かります。
英語で書かれたドキュメントを読むのに時間がかかりましたが、私の理解したところによると、従来の互換CPUのようにハードウェアで全てを真似するのではなく、独自構造のハードウェアにソフトウェア処理を組み合わせているおかげで可能になったことだそうです。「ソフトウェアで」と聞くと、Windows上でMacアプリを動かすような、いわゆるプラットフォームエミュレータを想像してしまい、パフォーマンスに関してあまり良いイメージが持てないところですが、このソフトウェアは普通のエミュレータのようにOSの上で動くのではなく、OSよりもBIOSよりも深いところでCPUのハードウェア部分と一体になり(すっぽり覆い被さって…と言うイメージが近いんでしょうか)動いているもので、実際のパフォーマンスはかなり高いレベルのようです。
実は、Crusoeのこの構造には他にもいろいろな利点があるんですが、その辺りはPC Watchの特集を読んだ方が良くわかるかと思います。…私なりに書こうとも思ったんですが、専門的な説明はプロにはかないませんから。
Transmeta社は、Linuxの生みの親として有名なLinus Torvalds氏の在籍する事でも知られています。高度なソフトウェア技術がCrusoeの中にも発揮されているわけですね。ちなみに、Transmeta社では超小型の情報機器用に「Mobile Linux」を用意するそうです。
既にサンプル出荷の段階だと言うことなので、今年の夏くらいには何らかの製品が発表されるのではないでしょうか。製品の設計次第では強烈に購買意欲をそそりそうですね。このCPUの仕様を前提にして開発すれば、今までにない攻撃的な製品が出来そうな気がします。ノートパソコンの買い換えは、Crusoe搭載機を待ってからの方がいいでしょう…というのが私の考え方です。今のLet’sくんだって、使い方次第ではまだまだ十分現役ですしね。
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