Weeklyにも何度も登場したD.D.R.を始め数々の「音ゲー」で有名なコナミが、今度はパラパラのゲームを作るらしいですね。ご存じない方のためにちょっと説明しておくと、「パラパラ」というのはクラブで踊られるダンスの一種で、独特の手の振りが特徴です。この手の振りは曲ごとに決まっていて、全員が踊りを合わせる一体感を楽しむんだとか。手の振りをゲーム機に認識させるところが新しい技術なんでしょうね。コナミはパラパラ流行の火付け役とも言えるエイベックスと業務提携してこのゲームの実現にこぎ着けたとか。
ところで、コナミという会社については、最近良くない話を聞くことも多くなりました。他社の作った「音ゲー」が自社の特許を侵害しているとして提訴してみたり、今年4月から独占取得したプロ野球選手の実名使用権を盾に取ってみたり…詳しくはこのあたりを批判する運動を展開している「Boycott KONAMI for Our -Gamers- Future!!」というホームページで非常に詳しく説明されていますので、興味のある方は読んでみましょう。当事者の発言へのリンクもされています。
「音ゲー」問題のキーワードになるのは「知的所有権」だと思います。音楽や画像、文章などの作品に発生する著作権ももちろんその中のひとつですから、私との関わりも浅くありません。知的所有権は、形のないものに生じる所有権なので、その所在を明確にしにくいものですね。そのため、所有者が声を上げて主張しないとなかなか認められなくて他人に勝手に使われてしまいます。
知的所有権を法的にも明確な形で示すための手段のひとつが特許です。特許は、ある製品そのものに与えられるのではなく、それを生み出す独自の発想に与えられる権利ですから、例えば「Dance Dance Revolution」のシステムに関する特許が認められれば、同じようにリズムに合わせて床のスイッチを踏むゲームは全て、この特許を侵害していることになります。もちろんどの部分を特許として申請するか次第で、「リズムに合わせて操作する」と申請すればもっと特許の対象は広がります。同じ発想で製品を作りたい場合には、特許の所有者に使用料を払わなくてはなりません。その結果、特許の所有者には何もしなくても収入があることになります。
特許制度自体は、知的所有権に明確な根拠と財産的価値を与える良い制度だと思います。特許があることによって自由な競争が阻害されないように、特許の維持にはかなりの費用がかかり、しかもそれが年を経るごとに増えていくというシステムも用意されていますしね。
コンピュータゲームに関するいろいろな権利は、その市場があまりに急激に広がってしまったばかりに、確立するのが遅れてしまいました。前に問題になったゲームソフトの中古販売についても、音楽CDなどのように再販制度が確立していなかったことが問題の一因になっています。コナミが自らの作品の権利の保護のために法的手段を多用している心情は、自分でコンピュータプログラムを作ったこともある私としてはわからなくもありません。自らがそうした手段をとっているからこそ、先のパラパラの件でも根回しには抜かりないわけですね。
ただ、コナミの特許や商標の権利の行使方法については、疑問点もあります。他社の作ったD.D.R.に類似したゲームの名前を商標登録したらしいんですが、これはさすがにフェアとは言い難いですね。他社が先に商法登録していなかった以上、法律には確かに違反しないんですが、それなら何をやっても良いのか?と言う怒りは感じます。
もう一つ思うことがあります。結局のところ問題になったのは、競合他社が安易な物真似に走ったことです。特許の内容を論ずる以前に、他社のゲームがコナミの「音ゲー」人気に便乗しようとしたのは容易に見て取れます。商売とは言えやることが情けないですね。他社も好き勝手やられて悔しいと思っているのなら、全く新しいゲームを考えて売ることも考えなくては。実は、もともとリズムに合わせて操作するゲームはコナミのオリジナルではない(SCEIの「パラッパラッパー」は有名ですね)ので、コナミがオリジナリティーを主張すること自体も大問題なんですが。
一方、プロ野球選手の実名使用権に関する話なんですが、…このまま書き続けるとかなり長くなりそうなので、この話題の続きはまた回を改めることにします。あまり面白くないお話ですが、もう少しお付き合い下さい。
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