日本のプロ野球も開幕してから2ヶ月少々が過ぎました。セ・リーグでは、圧倒的有利と見られていた某東京の新聞社の球団がここに来て連敗、ちょっと足踏み状態です。一転混戦ムードでなかなか楽しいですね。一方のパ・リーグは、1チームを除いて混戦状態。どうしちゃったんでしょうねぇ、日本ハムファイターズ。リーグの借金を独り占めです。ドラゴンズOBの大島康徳氏が監督を務めていますし、がんばって欲しいところなんですが。
セ・リーグの順位表が去年までとは変わり、「わかりにくい」との話がよく出ています。セ・リーグでは、順位決定の方法が、これまでの「最も勝率の高いチームが優勝」という方式から「最も勝利数の多いチームが優勝」という形に変更されています。さらに、最終的に1位のチームより勝率の高いチームがあった場合には、この2チームの間でプレーオフを行うのだとか。個人的には、勝利数で決めるということ自体はこれまでよりもむしろシンプルでいいと思うんですが、プレーオフがどうのこうのと言うところはちょっとややこしいです。
実は、その一方で、これまで行っていた引き分け再試合制を廃止し、延長も12回までにする…という重要な変更があったんですよね。一般的に勝率は(勝利数)÷(勝利数+敗戦数)で計算され、引き分けの試合は勝率の計算には入れません。引き分け再試合制の下では(勝利数+敗戦数)は常に同じになり、最も勝利数の多いチームは必ず最も勝率が高いチームとなります。…と、これなら最もシンプルな方法だったんですが、引き分け再試合がないと、引き分けの多いチームは勝利数の最も多いチームを勝率で上回る可能性も出てきます。
考え方としては、引き分けることの価値をどう見るかが最大の違いのような気がします。今回の新システムは、引き分けの価値をほとんど負けと同じように評価していることになりますね。逆に、勝率最高チームを優勝とする場合、引き分けることは時には勝つことと同じように価値を持ちます。
この方式を反映して、シーズン途中の順位も勝利数が多い順に並んでいますが、この結果、途中の順位もこれまでとはちょっと違ってきます。例として6月6日終了時点でのセ・リーグ順位表を新旧の方法で作ってみましたが、勝率トップのヤクルトスワローズが今シーズンだと3位、勝利数トップで首位の読売ジャイアンツは、去年までなら3位だったわけですね。それにしてもジャイアンツは不思議なチームです。防御率はリーグ最下位、総得点と総失点が同じ…というチームがどうして首位にいられるんでしょうか?
今シーズンの方式 | |||||
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順位 | 球団名 | 勝利 | 敗戦 | 引分 | 勝率 |
1 | 読売ジャイアンツ | 31 | 26 | 1 | .544 |
2 | 中日ドラゴンズ | 29 | 23 | 1 | .558 |
3 | ヤクルトスワローズ | 28 | 20 | 2 | .583 |
4 | 広島東洋カープ | 25 | 23 | 3 | .521 |
5 | 横浜ベイスターズ | 20 | 30 | 1 | .400 |
6 | 阪神タイガース | 20 | 31 | 0 | .392 |
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従来の方式 | ||||||
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順位 | 球団名 | 勝利 | 敗戦 | 引分 | 勝率 | ゲーム差 |
1 | ヤクルトスワローズ | 28 | 20 | 2 | .583 | – |
2 | 中日ドラゴンズ | 29 | 23 | 1 | .558 | 1.0 |
3 | 読売ジャイアンツ | 31 | 26 | 1 | .544 | 0.5 |
4 | 広島東洋カープ | 25 | 23 | 3 | .521 | 1.5 |
5 | 横浜ベイスターズ | 20 | 30 | 1 | .400 | 6.0 |
6 | 阪神タイガース | 20 | 31 | 0 | .392 | 0.5 |
何よりわかりにくいと思わせるのが、これまでの貯金・借金やゲーム差と言った概念が通用しなくなってしまうことでしょう。プロ野球の場合、日程の関係や雨天中止などの理由で、消化した試合数の異なるチーム間での比較が必要になることも多いんですが、この場合にはこうした勝率ベースの比較の方がわかりやすいのは確かだと思います。まあ、結局のところは慣れの問題だと思うんですよね。これまでだって「マジックナンバー」という勝利数ベースの数字(あと何勝すれば優勝が決定するか…という数字ですね)も利用していましたし。
ところで、野球以外のスポーツに目を移すと、「勝ち点方式」がよく見られますね。例えば、サッカー・Jリーグの場合は90分以内に勝つと勝ち点3、延長戦で勝つと勝ち点2、引き分けた場合には両チームに勝ち点1が与えられて、勝ち点の合計が順位決定の最優先条件になっています。
勝ち点方式も、私自身は比較的わかりやすい方法だと思っています。ただ、問題なのは点数の配分次第で順位が変わってしまうこと。Jリーグの場合でも、Vゴールで勝つことは本当に90分以内で勝つことの3分の2しか価値がないのか?という議論だってあると思います。実際に、Jリーグでも勝ち点の配分方法は変更されたことがありますね。負けたチームにも勝ち点が与えられた時期もあったように記憶しています。
スポーツの場合は、ルールの下で明確に勝ち・負けを規定するんですが、実はそのルールの決め方次第で勝負がひっくり返ることだって多いんですよね。まあ、ルールそのものが決まっていても、審判員の一瞬の判断が勝負を分けてしまったり(それも大事なところでよくあるんですよね)もしますが。とにかく、決められたルールの中で戦っているからこそスポーツには存在意義があると思いますし、だからこそ私はそれを見るために競技場に足を運ぶんです。
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