この時期恒例のテレビ番組で、今や夏の風物詩(?)ともなった「24時間テレビ」。日本テレビ系列局の行うこの企画も、回を重ねて今回で24回目なんだとか。今年は、昨日・今日にかけて行われています。
「24時間テレビ」は、「愛は地球を救う」を旗印に、毎年一般からの募金を集めてきました。募金はいろいろな立場の恵まれない人たちのために寄付されてきました。それは高齢者だったり、子供だったり、海外の難民だったり…1995年の「阪神大震災」の時には、地震の被災者への寄付も行われましたね。
この企画がスタートした1978年当時は、夜から朝までずっと続けてテレビ放送を行うこと自体が珍しかったような気がします。だからこそ「24時間テレビ」にはインパクトがあったと思うんですが、今や24時間放送が流されているのは当たり前。それどころか、他の民放局も24時間ぶっ続けで放送する企画を立ち上げていますから、「本家・24時間テレビ」もずいぶん影が薄くなったような気がします。
「24時間テレビ」のホームページで、今年の放送内容、これまでの歴史などが紹介されています。Q&Aコーナーも用意されています。歴史を見ていくといろいろと面白いです。出演者を見てその時代に「売れていた」芸能人が誰だったかを考えたり、募金額がここ何年か減少傾向なのはやっぱり不況の影響なのかな?と感じたり。
Q&Aコーナーには、「番組の制作費やタレントの出演料は募金から差し引かれているのですか?」と言う質問がありました。回答は、「制作費や出演料はテレビ局、参加団体等が支払い、募金は100%寄付される」とのことでした。まあ、番組の趣旨からすれば当然ですよね。それ以前に、出演者の皆さんも、募金の趣旨に賛同するのならボランティアで出るくらいの懐の深さを見せて欲しい気もしますが。
ここ何年か、私は「24時間テレビ」を見ようとは思わなくなりました。歳を取って遅くまで起きているのが辛くなったから?とも思いましたが、考えてみると最大の原因は番組そのものの内容のような気がします。
近年この番組の目玉になっているのが24時間チャリティーマラソン。元々走り慣れてないタレントたち(一番最初に走った間寛平は別格ですが)が、足を痛め、ふらふらになりながらゴールを目指します。最初に企画するときに、それぞれのタレントに合わせてぎりぎり走り切れそうだ…と思われる距離を設定するんでしょうけど、普段から「本業」で多忙なタレントたちに100キロメートル前後もの距離を走破させようというのは、さすがに無茶でかわいそうだと思います。トレーニングする時間だって、そんなに作れないんじゃないですか?
それでも何とか完走してしまうタレントの皆さんには、並々ならぬ気持ちを感じますし、私たちが見ていてもついつい涙腺が緩んでしまうこともありますが、それでもふと我に返ってみると「あの人たちってどうして走ってるんだろう?」と思ってしまいます。どうして走ってるか?…考えてみると、それは結局のところテレビ局が感動を演出して視聴率を上げるためだと思うんですよ。感動を演出する手段としては、これはあまりにもわざとらしいもののような気がします。一見生放送のドキュメンタリーのようでありながら、実は「足を痛め、ふらふらになりながら」も最初からシナリオに入っているように思えてなりません。やっぱり、走らされるタレントの皆さんはかわいそうですね。
他にも、身体障害者の皆さんがいろいろなことにチャレンジする企画が放送されていますね。これも、チャレンジする皆さんは確かにがんばっていると思いますが、視点を変えれば、テレビ局側が感動を演出するためにとことんまでお膳立てしているわけです。身体障害者の皆さんにとっても、こうしたチャレンジは決して楽ではない「仕事」だと思います。これまたかわいそうな気がします。
さらに考えてみると、「24時間テレビ」の視聴率が上がったとしても、本来の目的であるはずの募金額の上昇はないと思うんです。始まった頃は、視聴率を上げることが募金活動の宣伝効果になる…という面もあったと思うんですが、さすがに20年以上の実績が付いてきて、募金活動は十分認知されたと思います。「24時間テレビ」に募金するために1年間小銭を集める人がいたりします。こうなってくると、募金したいと思っている人の掘り起こしはほぼ終わっているはずです。人気タレントを起用しても、おそらくテレビを見る人が増えるだけでしょう。
一方で、テレビ局の企画である以上、視聴率が稼げなければ続いていかない…という面があるのかも知れません。募金活動を続けていくために、こうしたいろいろな番組企画を作って行かなくてはならないのだとしたら、番組制作スタッフもこれまたかわいそうです。実はもう手詰まり状態で打ち切りたいと思っていても、今度はチャリティー企画であるという「看板」のせいで打ち切りにくいのかも。その点他局の24時間企画は楽ですよ。単なる「お祭り」ですから。
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