Weekly SSKでもたびたび話題に出ているシアトルマリナーズのイチロー選手。一時期は打率も下がり、スランプか?疲労か?などと言われていました(彼の場合、1日ヒットが出ないだけで大騒ぎされたりしますけどね)が、気が付くとまた首位打者に返り咲き、安打数もついに200を超えました。普通、打率というのはシーズン終盤になるとじりじりと下がってくることが多いような気がするんですが、イチロー選手の場合はそれほど変動せず、それどころかこの時期に2分以上も上げてきたりします。計り知れない技術力と精神力です。
シーズン162試合の規定打席数に相当する503打席(162×3.1=502.2ですから)もはるか昔に超えていますから、仮に今後の全試合に欠場してもイチロー選手の記録はシーズンを通した記録として認められますね。もちろん、イチロー選手には今後も目指してもらわなくてはならない記録がいろいろありますから、1試合でも多く出場して欲しいと思います。それにしても、この期に及んで比較されるのは、メジャーリーグの「新人」年間最多安打記録・233本。アメリカの皆さん、日本の皆さん、そろそろ気づいてください…イチロー選手を「新人選手」として計ることの無意味さを。
一方のニューヨークメッツ・新庄剛志選手。成績だけを比べればイチロー選手に遠く及ばず、記録で勝っているものは本塁打数(日本では本塁打王争いもしたことがある彼ですから当然ではありますが)と4番打者でスターティングメンバーに入ったことくらいなもの。しかし、その存在感では決して引けを取りません。
8月27日に、リトルリーグの世界大会で優勝した日本チームの選手たちが新庄選手を訪問しましたね。「阪神タイガースかメッツに入れるようにがんばって」といつもの彼らしい名(迷?)文句を残した後の試合で、それまで不調だった彼は大活躍。ホームラン性の当たりをダイビングキャッチ、さらに久々のホームランまでかっ飛ばして、野球少年たちのいるスタンドに手を振った…はずが、過密日程の少年たちはもう球場を後にしていたんだとか。大事なところでは格好良く決めるところ、そしてキメたつもりがズッコケてしまうところまで実に彼らしいです。
さらに、8月30日の試合では、第1打席に9号3ラン本塁打、その後シングルヒットと3塁打を放ち、あとは2塁打を打てばサイクルヒット…と言うところまで来ました。残念ながらサイクルヒット達成はなりませんでしたが。しばらく不調が続いていましたが、チャンスに強い打撃と俊足・強肩を生かした攻撃的な守備は現地でも相変わらず注目を集めているようです。
新庄選手がアメリカに渡った当初はいろいろと酷評され、余り期待されていなかったと思うんですが、結果的には、一時的に故障での戦線離脱もあったもののほぼシーズンを通して活躍できたようです。チームが好成績を残せなかったのは残念でしたけどね。…逆に、チームの他の選手が活躍できなかったからこそ新庄選手が目立ったのでは?と言う見方もあるわけなんですが、もしそうだとしたら彼の持つ強運もその実力のうちでしょう。日本での監督経験があるバレンタイン氏が監督だったことも好運でした。
スポーツ選手を評価するときに、よく「記録に残る」「記憶に残る」という表現が使われますね。いまさら言うまでもなくイチロー選手は「記録に残る」タイプ、そして新庄選手は「記憶に残る」タイプでしょう。上の私の文章を見てもすぐわかります。イチロー選手の話題は数字が中心、でも新庄選手の話題は一つ一つの試合のことになっていて、その文章量も大きく違いますよね。特に意識せずに両選手の近況を書いただけのつもりだったんですが。
さすがにイチロー選手ほどの記録を残せば、それが記憶に残らないことはないのかも知れませんが、それでもこの二人がプレーしているのを見ると、私は新庄選手のプレーを見ている方が好きですね。イチロー選手のプレーを見ていてもレベルの高さに感心はするんですが、新庄選手のプレーにあるような「わくわく、ドキドキ」が足りないんです。
試合終了後のインタビューへの対応も対照的です。イチロー選手のインタビューへの対応はあまりに素っ気ないですよね。どんなにすごいプレーを見せても、どんな記録を達成しても、顔色一つ変えていないように見えます。私は、あれを見ているとまるで修行僧みたいだと思うんですが、どうでしょう?。一方でプロスポーツ選手はプレーでファンを満足させればそれでいい…という見方もあるんですが。
新庄選手は全く逆。活躍したときは非常に愛想が良く、そうでなかったときは元気がありません。しばしば羽目を外してとんでもない発言をすることもありますが、ある意味単純でわかりやすい彼へのインタビューは、間違いなくイチロー選手へのそれより面白いと思います。
そんなことも考えてみると、長島茂雄(現・読売ジャイアンツ監督…なんて書くのも馬鹿馬鹿しいくらいですが)という人は本当にすごかったんだな…と改めて思ってしまったところです。あの人は、記録としても優秀なものを残しているだけでなく、それ以上に様々な「伝説」を持っています。それどころか、監督となった今でも、日々生み出される伝説は止まりません。記録を残し、さらに記憶を刻み続けています。彼以上のプロ野球選手は…いや、スポーツ選手は、もしかしたらもう登場しないかも知れませんね。
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