iアプリを使う利点
前回触れたとおり、iアプリを始めとして携帯電話にプログラムをダウンロードして使う利用形態が広がり始めています。端末側でプログラムを走らせることの最大の利点が、通信回線を行き交うデータ量を削減できること。
これまでもiモードで利用者からのデータ入力により様々な処理を行うコンテンツが実現されてきましたが、これらはすべてサーバー側でCGIなどのプログラムを走らせることにより実現してきたものです。画面上に表示されるすべてのものが、通常のページと同様にサーバーから送られてきます。これに対して、iアプリを使うと、サーバーとは最低限のデータのやりとりだけすれば、端末側の処理で凝った画面を表示できます。同じ画面を表示するために毎回多くのデータを読み込むこともなくなりますね。iモードの場合、利用料はやりとりされたデータ量にだけ関係しますから、このことは通信料が安く済むことに繋がります。
こうした特徴を生かした利用法で、最も広がっているのがゲーム。ただ単に端末で遊ぶだけのものなら、最初に1度だけダウンロードすれば、次からは全く通信することなくゲームが楽しめてしまいます。通信回線を利用して他のユーザーとのやりとりを楽しむゲームでも、これまでよりもかなり「安く遊べる」可能性があります。
「データを読み込む」?
iアプリの利用の第一歩として、まずはゲームで遊んでみることにしました。iアプリの利用には情報料を徴収するサイトが多いんですが、NECが自社製端末ユーザーのために開設しているiモードサイト・「みんなNらんど」では、iアプリの宣伝の意味もあってか無料で(さすがにパケット通信料は必要ですが)いろいろなiアプリをダウンロードすることができます。試しに使ってみる…と言う目的には最適ですね。
iアプリゲームの説明を読むと、「最初の起動時だけ通信を行う必要がある」というものをよく見かけます。どうしてそんな仕様になっているのか?と最初は不思議に思ったんですが、これにはiアプリそのものの仕様が大きく関わっているんだそうです。
iアプリでは、携帯電話という限られた環境で動作させるために、全体のサイズを10KBまでに制限しています。自分でもプログラミングを囓ったことのある立場から見ると、この10KBと言うサイズは信じられないくらい小さいものです。特に、ゲームのように画像を使うものだと、その画像データのために容量を消費してしまうので、10KB以内に納めるのは不可能に近いのだとか。
そこで、逃げ道として使われているのがスクラッチパッドと呼ばれるデータ領域。もともとは、ユーザーがiアプリを使って作ったデータを格納するための場所なんですが、これがプログラムと別に10KB確保できます。ゲームの場合、ユーザーがそれほど大容量のデータを保存する必要がない場合が多いので、ここにゲーム用の画像データを保存してしまうわけです。スクラッチパッドの内容はiアプリと同時には読み込まれないため、最初の起動時にサイトに接続して、データをスクラッチパッドに読み込む…という作業が必要になるわけです。iアプリの制作者のみなさんも、限られた条件の中でいろいろと苦労しているんですね。
何でもできるわけではない
「みんなNらんど」のiアプリゲームは、ちょっとした時間に遊べるお手軽なゲームが中心です。アクションゲームあり、パズルゲームあり…結構ハマったのが決定ボタン1つだけで楽しめる野球ゲームと、コンパクトなビリヤードゲーム。どちらも、タイミングに合わせてボタンを押して行くのがポイントになるゲームです。そういえば、もともとN503iSに内蔵されているDance Dance Revolution(もちろんケータイを足で踏むわけではなく、2・4・6・8の数字ボタンを押していくんですが)もiアプリで、これまたタイミング良くボタンを押していくゲームです。
ただ、このタイミングを合わせるのがかなり難しいんです。画面を見ながらタイミングを普通に計ると、まず間違いなく押すのが遅れます。実は、ゲーム制作会社のナムコがiアプリであの名作「パックマン」を遊べるようにしてくれたので、これも有料(300円/月)でダウンロードしてきたんですが、曲がり角の1マス前で方向ボタンを押しても曲がり損ねることがあります。どうも、iアプリは画面とキー入力のタイミングを正確に合わせる処理は得意ではないようです…実は私自身もこういう「処理」は得意な方ではないんですが。独特のタイミングは体で覚えてしまえば済む話なんでしょうね。
iアプリをゲームをするための環境として見た場合、プログラムサイズの制約もあって大したことはできない…というのが実情のようです。先に挙げた野球ゲームも、実際に「ゲームになっている」のはタイミングに合わせてバットを振る部分だけで、自分の守備時には相手チームの得点をルーレットで決めるだけですし。それでも、そんな部分を割り切って遊ぶのなら、意外に遊べるのかな?と感じました。ゲーム専用機ではないわけですし、それほど高度なものを求めるのも筋違いなんじゃないかな?と言う気がします。
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