2GHzオーバー、もう一つの問題
CPUをオーバークロック状態で使うと、問題になることの1つが発熱の問題。CPUの消費電力…言い換えれば発熱量は動作クロックに比例して大きくなりますから、2.13GHzで動作しているPentium4-1.60AGHzは当初想定されているよりも1.33倍「熱くなる」わけです。その一方で、CPUに付属しているクーラーは定格動作させることを前提にしたもので、コスト低減のために冷却能力もギリギリのもの…と言うことが多いようです。
ということは、現状のように「2.13GHz動作+標準クーラー」というのは極めて危険な状態ということになります。これでは最悪の場合CPUを壊しかねません。しかも、季節はこれからまさに夏。ただでさえ気温が高いわけですから、危険度はさらに高まります。実際に、最近のCPU温度は常時40度C台半ば。これではあまりに余裕がなさすぎる…というわけで、新しいCPUクーラーを購入することにしました。
欲張りな選択
幸い、いろいろなメーカーから、CPU付属のクーラーよりも高性能な製品がいろいろ発売されています。もちろんオーバークロックのためにより冷却能力が高いものがいろいろ出ていますし、最近は静音化の流行と共に「より静かに冷やす」ための製品も登場しています。バリエーション豊富な製品群の中でどれを買うのかずいぶん迷ったんですが、結局は「より静かに、より冷やす」という最も欲張りな選択になりました。
それがこれ。COOLER MASTER社製のIHC-L71です。「Fujiyama」のニックネームを持つこのクーラーは、その派手な色を見ての通りヒートシンクはアルミよりも熱伝導性の高い純銅製。しかも、その内部を同じく銅製のヒートパイプが貫いています。ご存じのない方のために簡単に説明すると、ヒートパイプは液体を密封した管で、この液体が管の一端で熱を吸収することで気化し、もう一端で熱を放出することによって液化し…というサイクルで熱の伝達を効率よく行うものです。エアコンや冷蔵庫の構造と似ていますね。
このヒートシンクに取り付けられるファンは、毎分2,500回転の静音タイプ。ヒートシンクの放熱性能の高さを、冷却能力の向上だけでなく静音化との両立のために使っています。ファンの性能をこれだけ抑えても対応CPUは「Northwood 2.8GHz以上」というところに、ヒートシンクの性能的余裕を感じます。
【期待通りの性能】
取り付け方は、基本的に付属のCPUクーラーとまったく同じです。ただし、マザーボード上に固定するためのクリップが2分割されていて、取り付けはずいぶん容易になっています。また、CPUに押しつける圧力もややマイルドになっている感じを受けます。それでも基盤が反り返るのは仕方ないところのようです。何しろ厚みが標準品の1.5倍くらいあり、しかもアルミよりずっと重い銅で作られているわけですから。
その性能については、超豪華な仕様と私の期待を裏切らないものでした。室温29度Cの蒸し暑い室内で、起動直後のCPU温度は何と33度C。その後普通に使っていても、40度Cを下回るレベルで推移します。さらに、ベンチマークソフトの3DMark2001(MadOnion.com)を完走させてCPUに高い負荷をかけた直後でも48度C。今のところ50度Cを超える数値は確認できていません。これなら冷却能力については全く問題ないどころか、十分信頼してよさそうです。
動作音については、計測する手段がありませんから自分の耳に頼るしかないわけですが、CPUクーラー自体からはほとんど音の発生が感じられないレベルになりました。というよりも、これまではCPUクーラーの音が一番気になっていたんですが、今度はケースと電源のファンの音の方がずっと気になります。前にも少し触れていますが、騒音というのは1つ要因を消したら今度は他の要因が目立ってくる…という性質のものですから、こだわり出すときりがないんですけどね。
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