2004年に、私の住む浜松市を会場にして「しずおか国際園芸博覧会」・通称「浜名湖花博」というのが開催されます。いよいよ再来年開催と言うことで、いろいろなところで準備が進んでいます。地元民の私としてはそれほど盛り上がってるわけでもないんですが…。先週は、この花博の会場に最も近い鉄道駅となるJR東海道本線・舞阪(まいさか)駅で改修工事の安全祈願祭が行われたことがニュースになっていました。完成予想図によると線路をまたいで豪華なガラス張りの駅舎ができあがるようです。
…と、これだけなら何の変哲もないニュースなんですが、テレビや新聞の記事によると式典に出席していたのが浜松市長の北脇保之氏。これに思わず首をかしげてしまったわけです。私たちにとって「舞阪」と言えば浜名湖に面する浜松市の隣町・浜名郡舞阪町ですからね。地図で確認してみると、確かに舞阪駅のある場所は浜松市内でしたが、舞阪町に隣接する場所になります。確かにこの場所なら「舞阪駅」と名乗る方が実態に合っているかな?と思いました。
この例に限らず、地名を冠した施設などが実際にはその場所にない…ということが結構良くありますよね。舞阪駅の場合には名前が実態とかけ離れているわけではないんですが、中にはより知名度の高い地名を利用させてもらっている…というパターンが多々あります。
非常に有名なのは新東京国際空港(成田空港)や東京ディズニーリゾート。どちらも所在地の住所は千葉県になりますよね。他にもこの圧倒的に知名度の高い「東京」を冠した施設は多々あるようですが、今まで聞いた中で一番衝撃を受けたのは北海道網走市にある東京農業大学・オホーツクキャンパスでした。まあ、これは東京のど真ん中にある大学の副キャンパスですし、ちゃんと「オホーツク」の名前も背負っているので誤解は少なそうですが。そう言えば、大阪空港(伊丹空港)も敷地の半分以上は大阪府内ではありません。
この「虎の威を借る狐」戦法で今までに最も面白かったのは、仕事上のお付き合いでいただいたある会社の名刺でした。その会社の所在地は浜松市のご近所、引佐郡引佐町(いなさぐんいなさちょう)。ところが、名刺の住所を見ると書いてある住所は「浜松市外引佐町」となっていました。それはさすがにやりすぎでは?と思いつつ、ついつい笑ってしまいましたね…むしろこの読みにくい地名を逆手にとって前面に出す手もあると思うんですが。最近各地で盛り上がっている市町村合併論議の中で、近い将来引佐町が浜松市と同じ市内になる可能性が高くなっています。社長さんのささやかな願いもかないそうです。
振り返ってみると、関越自動車道・渋川伊香保インターチェンジも所在地でない地名を冠する施設でした。ここは「伊香保」という名前のおかげで利用者にとっても便利ですから、とてもいい命名だと思いますね。おかげで私もあっという間にたどり着くことが出来ました。
地名といえば、これが言い争いの元になってしまうのが先にもちょっと話に出した市町村合併。静岡県内では既に大型の合併が一つ成立していますね。人口47万人の静岡市と人口23万人の清水市が、来年の4月に合併して新しい「静岡市」になります。合併後の市名も決定まで紆余曲折ありました。私は「しずおか市」になってしまうのでは?と本気で心配していたんですが、さすがにそれはありませんでしたね。静岡県庁の所在地でもありますし、「静岡市」は無難な選択だったかも知れません。
ただ、一応「対等合併」だとは言うものの、名前の上ではまるで清水市が静岡市に吸収合併されるかのようで、清水市民の皆さんは心中穏やかではないことでしょう。そんな気持ちが反映されたのか、合併後の旧清水市内の町名は全て「静岡市清水○○町」とすることに決まったのだとか。両市の市長は「旧静岡市、旧清水市という意識は捨てて融和していこう」と訴えていますが、これでは到底無理な相談のような気がします。
考えてみると、清水市には清水港、清水の次郎長、清水エスパルスなど全国区で通用する「清水」を冠したものがあり、地名としての知名度では静岡市に決して引けを取らないどころか明らかに勝っていると思います。「静岡」の知名度は基本的に静岡県のものであって、静岡市のものなのかどうかは疑問もありますからね。清水市の高校が「静岡」の看板を背負ってサッカーの全国大会に出て行くわけですし。そんな「清水のまち」に生まれ育った人たちのプライドを大事にしないと、この合併も単にお金のために、人数合わせのために合併したんだ…と後世に語り継がれることになってしまうかも知れません。
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