ノーベル賞の意義

母が亡くなってから7週間が経ちました。仏式の葬儀だと四十九日の法事が行われて、これで喪が明けると言うことになるわけですが、神式の場合でもほぼ同じ意味合いで五十日祭というのが行われます。今回は、諸般の事情でちょうど49日目となる土曜日・12日に五十日祭の神事を行いました。そして、これまた仏式の場合と同じように、この日に墓所への納骨を行ったわけです。1ヶ月少々の慌ただしい日々もこれで一段落…といったところでしょうか。

しかし、私自身はまだまだ落ち着きません。次は引っ越しというもう一つの大イベントが待っているんです。さすがに2階建ての借家に独りで住み続けるのはあまりに広すぎる(家賃も高すぎる…)ので、早めに引っ越し先を決めてしまったんです。来月頭には新居での生活が始まる予定です。それにしても、ただでさえ忙しい自分をさらに追い込んでいるだけのような気もしますね。おまけに合唱の練習までありますし。もちろんこのWeekly SSKの更新だって、そうそう外すわけにはいきません。まあ、暇で仕方ないよりはまだいいと思うんですが。


…というわけで、先週は私にとっても大イベントが行われたわけですが、日本にとっては2日連続で大ニュースが駆けめぐりました。日本人のノーベル賞受賞が相次いで決定されたわけです。同じ年に日本人2名が受賞するのは史上初。小泉首相も実に嬉しそうでした。「日本も捨てたもんじゃない…どころか大したものだ」。この人の名(?)語録はどこまで増えていくんでしょうか。

火曜日・8日には小柴昌俊氏にノーベル物理学賞が贈られることが決定しました。小柴氏の業績は、非常に観測しにくい素粒子・ニュートリノを観測する体制を整え、実際に初めて観測に成功したことだそうですね。この偉業を達成した観測施設カミオカンデ、そしてこれを受け継いだスーパーカミオカンデの根幹を支えたのが地元浜松の先端企業・浜松ホトニクスの光技術であることには、前にも少し触れたことがあります。そうした意味でも、私にとっては非常に嬉しいニュースでした。

さらに水曜日・9日には田中耕一氏にノーベル化学賞が贈られることが明らかになりました。タンパク質の構造を分析する画期的な手法を開発したのだそうですが、その内容よりも驚いたのは田中氏のプロフィール。だいたいこの手の賞を受賞するのは大学の教授と相場が決まっているわけですが、田中氏は民間企業の研究員。民間企業の研究員がノーベル賞を受賞するのは日本人初。博士号を持っていない人物がノーベル化学賞を受賞するのは史上初だとか。しかも田中氏はまだ43歳の現役バリバリ。あらゆる意味でこれまでの日本でのノーベル賞のイメージを打ち破り、多くの民間企業で働く人たちに夢と希望を与えてくれました。

日本人がノーベル賞を受賞するのは3年連続。去年も、一昨年も化学賞でした。一昨年の白川英樹氏、去年の野依良治氏、そして今年の化学賞・田中氏と、受賞対象になった業績が現在の私たちの生活にどう役立っているのかは比較的わかりやすいですね。しかし、これと比べると小柴氏の業績は実にわかりにくいと思いませんか?。確かにすごいことだとは思うんですが、それが私たちに役立つのかどうかはよくわかりません。

ところが、ノーベル賞の受賞が決まったことにより、その研究者は世界中にその名を轟かせ、評価も上がります。受賞理由を読んでも何をやっているのかよくわからないような研究でも、受賞したことでそのすごさが万人に認められてしまいます。ノーベル賞は、特に普段はなかなか陽の当たらない基礎研究に打ち込んでいる人たちに光を当てるためにも非常に役立っているように感じます。


ところで、今年のノーベル平和賞にはアメリカの元大統領・カーター氏が選ばれたそうですね。前にもノーベル平和賞についてはちょっと触れたことがありますが、この賞の取り扱いは非常に難しいと思います。残念ながら平和というものは永遠に続くものではないわけで、一時的に平和になったからと言って賞を与えてもすぐに情勢が変わってしまうこともあります。

ノーベル賞では、自然科学関係の賞の場合、その発見は正しいのかどうかを吟味するために長い時間をかけるそうです(今年受賞の2名も10年以上前の成果に対する受賞ですね)が、常に状況が変化し続ける平和賞の場合はそうもいかないんですよね。仕方ないのかも知れませんが、そもそもどうしても不確実にならざるを得ない平和賞という賞自体の存在意義ってあるんだろうか?とも考えたりします。まあ、100年以上のノーベル賞の歴史の中では、自然科学系の賞でも誤った発見に賞が与えられたことがあるのだそうですが。


ところで、前に話題にしたプロ野球セ・リーグの首位打者争いなんですが、中日ドラゴンズ・福留孝介選手に軍配が上がることになりそうです。三冠王を目指していた読売ジャイアンツ・松井秀喜選手は11日に全試合日程を終了。最終戦ではよりによって今季初の5打数ノーヒットで、残り5試合の段階で首位に立った福留選手を抜き返すことが出来なかったどころか、逆に絶望的なところまで突き放されてしまいました。ドラゴンズにはあと1試合が残されていますが、福留選手が5打数ノーヒットでも順位は入れ替わることがありません。

福留選手は最近2試合では守備についたものの打席には立っていません。これを「逃げる」と言って非難する人もいますし、私自身もあまり良くは思っていませんが、球団の「彼にタイトルを獲得させてやりたい」という気持ちも考えると仕方のないことかも知れません。ここは、その前の2試合で固め打ちを見せて一気に松井選手を突き放した福留選手を誉めてあげましょうよ。


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