赤外線の復権?

「ATS100=1」を設定する;拡大画像サイズ15.6KB

まずは追試の結果を

前に失敗したICカード公衆電話の赤外線通信ポートを使ってのネット接続について、設定方法がわかったので追試を行いました。設定とは言っても、赤外線ポート経由の仮想モデム「Standard Modem over IR Link」に追加コマンドとして「ATS100=1」を設定するだけなんですが、これが意外に面倒なんです。何しろ、公衆電話に赤外線通信ポートを向かい合わせないと「Standard Modem over IR Link」が認識できないわけですから。これがプラグアンドプレイなんだ…と言ってしまえばまさにその通りなんですが、こういう場合にはちょっと不便です。

接続成功!

仕方がないので、近くのコンビニに出かけて(ICカード公衆電話のある場所が増えてきましたね)、公衆電話と向かい合ってモデムを認識させ、デバイスマネージャからプロパティを開いて設定を行い、それから接続を試みました。ゆっくり作業していると勝手に電話の方からタイムアウトにされてしまってやりにくかったんですが、何とか接続には成功しました。一度設定が出来てしまえば、次からは至って簡単。向かい合わせるだけで準備OKです。

ただ、他に手段がないときのオプションとしてならともかく、これを機に公衆電話でのネット接続を活用したい…とは正直なところ思いませんね。前にも触れていますが、H”なら公衆電話を探す必要がありませんし、全国共通番号のDALが使えるので公衆電話のようにどのアクセスポイントを使うか考える必要もありません。通信速度は額面上は同じ64kbps。実効速度は無線のH”の方が微妙に遅くなるはずですが、体感できるほどの差は感じません。

さらに料金面でも、今使っている料金プランの「データパック」でDALに接続すると、昼間は60秒で10円ですから公衆電話の市内通話と全く同じなんです。DALは夜間割高になるので、逆に割安になる公衆電話の2倍近い料金になってしまいますが、それでも利便性を考えたら断然H”です。あとは月々の固定料金を支払うかどうかの選択ですね。「データパック」は1,200円分の無料通話が付いて3,000円。年間契約や継続による割引もあります。利用時間に応じて、いろいろな他の料金コースもあります。

忘れられたインターフェース

CF-B5RやCF-S21はもちろん、かつてはほとんどのノートパソコンに赤外線ポートが装備されていたんですが、最近の製品には装備されているものをほとんど見かけなくなりました。ノートパソコンに内蔵されているワイヤレス通信と言えば無線LANのIEEE802.11b…というのが最近の常識になっています。赤外線通信も、さらにはなかなか普及の進まないBluetoothも、それぞれ使い道は違うと思います。全部付いていてくれれば嬉しいんですが…あ、Bluetoothはやっぱり要らない(笑)。

どうして赤外線ポートが装備されなくなったのか考えてみると、やっぱり使い道が少なかったことが大きいと思います。周りを見回してみると赤外線ポートを装備したデバイス自体は結構多かったんですが、通信するためにはそれぞれ独自のソフトウェアが必要だったりして、使い勝手が悪かったんですよね。赤外線ポートの黒い窓を向かい合わせるだけでPeer to Peerの通信が確立するという手軽さで、しかも光と言う指向性の極端に高い媒体を使うので物理的にセキュリティが確保できる…という特徴を持つ赤外線通信はなかなか優秀なデバイスだと思っていたんですが。使い道がないんじゃ仕方ないな…ということで、赤外線通信に対する気持ちも最近では冷めていました。

パソコンでの出番は少なくなってしまった赤外線通信なんですが、PDAのPalmでは結構活躍しているようです。ICカード公衆電話の赤外線ポートの活用についてサーチエンジンで探してみたら、Palm関連のサイトに数多く行き当たりました。その中に「ATS100=1」の情報もあったわけです。他にもPalmを学習リモコンにしてしまうソフトがあったりして結構楽しいですね。是非携帯電話でも実現して欲しいものです。

意外なところから脚光

携帯電話といえば、赤外線通信が再び注目されることになったのは、NTTドコモが504iシリーズ全機種に赤外線通信機能を標準装備したところからだった気がします。データ形式が統一されたので、他社の端末間でも電話帳データなどをやりとりすることが出来るようになりました。また、標準規格のIrDA、さらにその上の転送プロトコルであるIrOBEXに対応しているので、携帯電話以外との間で利用するのも容易になりました。

最初は「今さらどうして赤外線なの?」と思った訳なんですが、これが意外に活用されています。iアプリの対戦ゲームなどに使われている以外に、既にゲオが会員証の代わりに携帯電話を使い赤外線通信で認証を行えるようにしていますし、他にも主に会員証や入場券としての実証試験がいろいろと行われているようです。「近距離限定でワイヤレス」と言う特性が生かされた使い方だと思います。利用する側としては、電話回線を使わずに通信できてしまうところが嬉しいですよね。そういえば、こういう携帯電話の使い方は非接触型ICカードの「Suica」と似ています…あれの手軽さはさらに一段上を行っていると思いますが。

もちろん、赤外線ポートを搭載したノートパソコンとの通信も可能…ということになりました。実際に試してみるとすんなりといかないこともありますが、ソフト側の対応で改善できるはずです。赤外線ポートもまだまだ使えるインターフェースとして見直していきたいですね。ただ、こうなってくると心配なのが、ノートパソコンを買い換えると赤外線ポートが付いていない…という事態になりかねないこと。USBポートに直結する外付け赤外線ポートも販売されているそうなので、そうなったときにはもしかしたら買ってしまうかも知れません。


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