3倍、3倍、さらに3倍
前にもちょっと触れた話ですが、504iシリーズからiモードの通信速度が最大28.8kbpsに高速化されました。NTTドコモがもともと持っていた無線パケット通信網であるDoPaは28.8kbpsの能力を持っていたわけですから、それ自体は大して難しいことではなかったのかな?と言う気がしますし、それよりもむしろもっと早く高速化して欲しかった…という気持ちの方が強いですね。ともかく、従来の9.6kbpsから3倍の速度になったことで、iモードサイトの閲覧は格段にスピードアップしました。画像のあるページでもそれほどストレスを感じません。
これに合わせて、iアプリの最大容量もこれまでの10KBから30KBと3倍に強化されました。そもそも、最初のiアプリの容量は「10秒でダウンロードできるサイズに」という趣旨で決められたそうなので、3倍になることは当然の話だったんでしょうね…高速化したから3倍の容量になったのか、それとも3倍の容量にしたかったから高速化したのかはよくわかりませんが。さらに、ユーザーデータ領域であるスクラッチパッドも、1アプリあたり100KBと大幅に強化されました。これは従来の10KBの3倍のさらに3倍以上です。
劇的に進化しました
例によって、NECのiモード公式サイト「みんなNらんど」からはN504i/iS用のiアプリをパケット通信料だけでダウンロードできます。専用アプリというのは「確実に動く」という安心感がありますね。N504i/iSは、画面の解像度など504iシリーズの中でもちょっと特殊ですから、これが原因で不具合が起きることもあるそうです。まだ実例は一つも見たことがありませんが。
これまた例によって、試しにダウンロードしてみたのはゲームなんですが、これまでの503i用iアプリとは全く別次元の高度なものが提供されています。タイミングに合わせてボタンを押すだけだった野球ゲームは、コースと球種、球速を指定して投球が行えるようになりましたし、コンピュータと対戦する2人打ちの麻雀ゲームがありますし、盤面が2画面くらいあって、ボールの動きに合わせてスクロールするピンボールゲームもあります。なかなか本格的な縦スクロールのシューティングゲームもありました。
iアプリのゲームがスクラッチパッドもプログラム用のデータ領域としてフル活用していることには前にも触れましたが、このことまで考慮すればiアプリに使えるサイズは20KBから130KBと実に6.5倍に増えたわけです。130KBというサイズはかなり広大です。直接比較は出来ませんが、歴史に残るファミコン用RPG、ドラゴンクエストIIやファイナルファンタジーがちょうどこのくらい(1Mbit ROM)の容量だったはずです。本格的なゲームが作れても当たり前と言えばその通りですよね。実際、かつてファミコンで遊ばれていた名作が数多くiアプリに移植されています。
巨大化の代償
まさに劇的な高度化を果たした504iシリーズ用iアプリなんですが、その一方で使い勝手にはずいぶん悪くなった面もあります。それは読み込みに時間がかかること。アプリ自体の読み込み時間は、サイズの増加が回線の高速化で相殺されているんですが、初回起動時のスクラッチパッドの読み込みはそうは行きません。容量が従来の10倍になっているわけですから、読み込みには3.3倍の時間がかかります。
さらに、毎回の起動時の待ち時間もこれまでよりずいぶん長くなっています。おそらくスクラッチパッドの中身を実行用のメモリに読み込んでいるのだと思うんですがメモリ・I/O関係は劇的に高速化してはいないようです。ただ、高速化するとそれに伴い消費電力も増えますから、なかなか難しいところなんですが。
もう一つ問題なのは、利用料金がかさむこと。データ量単位課金なので、大容量になれば当然その分の費用がかかってくる訳なんですが、通信速度が速くなったのでそのことを忘れてしまいがちなんですよね。通信速度が3倍になってもiモードの通信は1パケット(128バイト)当たり0.3円で変わっていませんから、アプリ領域とスクラッチパッドの計130KBをフルに使ったiアプリをダウンロードすると、通信料だけで300円強…ということになります。
もちろんこの話はiアプリに限ったことではなく、通常のiモードサイトも読み込みが早いのでつい調子に乗って多くのページを回ってしまいます。私自身、気が付いたら1日で1,000円以上のパケット通信料がかかっていました。着メロやiアプリは前の端末から転送できないので再度ダウンロードしましたから、仕方のない面もあったんですが。
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