ハードウェアは進化しています
携帯電話の機能もあらゆる面で日々進化していますが、その中で数値的にわかりやすい進化の一つに着信音があります。私が初めて買った携帯電話・P207は、単純な発振音を使って単音の旋律を奏でることが出来ました。次に買った端末・N502itでは、複雑な音色が合成できるFM音源で4和音の演奏が可能で、オルガンやベルのリアルな音に驚きました。3代目の端末・N503iSでは、FM音源の16和音に加えて録音した音声が再生できるPCM音源も備えていました。内蔵の着信メロディでは、「るぱんざさーど♪」とバックコーラスの入る「ルパン三世のテーマ」がお気に入りでした。だんだんリアルに、ゴージャスになっていく着信メロディを実感していました。
そして、4代目の端末となったN504iSではFM音源の同時発音数が32音、さらにウェーブテーブルと呼ばれる生音ベースの音源で8音の合計40和音を演奏する能力を持ちます。内蔵の着信メロディには当然この機能がフル活用されています。今回一番ウケたのはヨーデルを歌い、山羊まで鳴いてしまう「おしえて」(アニメ「アルプスの少女ハイジ」主題歌ですね)でした。
他の曲も聴いてみると、特にリズム楽器の音質が向上していることを感じました。ウェーブテーブル音源の効果でしょうか。正弦波をベースに演算により倍音を合成していくFM音源では、非整数倍音の多い(言い換えると音程感が非常に低い)音を作るのは苦手ですから。…実は、それ以上に効いているのはスピーカの品質のような気がするんですけどね。穴の大きさを見ると、N503iSと比べてもかなり大口径化されているようです。
内蔵されている着信メロディは全部で10曲と少ないんですが、自作メロディやダウンロードメロディ用の領域は30曲もあります。着信メロディにこだわる人は、内蔵メロディを使うよりもiモードサイトからダウンロードしてくるのが普通でしょうから、この構成は正解でしょうね。
40和音の使い方
40和音の着信メロディを聴いてみた感想なんですが…確かに楽しめたんですが、4和音になったときや16和音になったときのような感動はありませんでした。「このくらいのことが出来るのは当然」という意識が出てきたこともあるのかも知れませんが、ポイントは40和音を使い切るのが実は非常に難しい…ということではないでしょうか。おそらく、本当に40和音が鳴っていることはほとんどありません。
4和音のときに少し触れましたが、音楽理論的には通常4音あればハーモニーを完結させることが可能です。複数のパートによる演奏を考慮しても、40音どころか16音もあれば大抵の曲は表現できてしまいます。実際にMusic Worldで私が作っている曲を見ても、同時発音数の制約を考えて作っているわけではありませんが、20音以上が同時に鳴っている曲はほとんどありません。これだけの能力があれば事実上無制限に使えるのとほぼ同じ…と言って良いでしょう。着信メロディを作る側としては楽になったんでしょうね。もちろん、機種ごとの差などを考えるとまた別の大変さがあると思いますが。
無理に40音を使い切ろうとしても、これがなかなか上手く行かないんですよね。オーケストラには40を大きく超える数の楽器が使われているわけですが、あれは個々に微妙に違う生楽器を使っているからこそ重ねたときに奥行きが出てくるわけです。計算による純粋な波形が出て来るFM音源では、いくら重ねても奥行きが出ないということになりますし、全く同じ録音波形を加工するウェーブテーブル系の音源だと、干渉によるうねりが大きく出過ぎて不自然な音になることもあります。
ただ、例外的に非常に効果的な音の重ね方が一つあります。それはエフェクターの一種・ディレイの代わりに使う方法。ボリュームを下げた同じ音を少しだけ遅いタイミングで発音させて、擬似的に山びこを発生させるわけですね。このことにより、音の奥行きが格段に増してきます。実際に「40和音対応」を謳った着信メロディの中にも、この方法を取り入れているものがあるようです。
ハマる「着声」
着信音になるのは別にメロディだけではありません。最近は、録音された声をそのまま着信音として使ってしまう「着声(ちゃくごえ)」もいろいろとダウンロードできるようになっていますね。芸能人の声やアニメの決め台詞など、着声そのものが売りになっているiモードサイトも結構あるようです。あまり長時間の録音は出来ないので、ある意味一発芸のようなところがありますが、聞いてみるとこれが結構楽しいんですよね。
最近は、着信音に「電話だよ~っ」という着声を使っていますが、電話が「喋る」と周囲にいる人たちがびっくりするようですね。どの電話が鳴っているのか探してみたりして。…確かにそうかも知れません。私自身はわかっているので全く気にならないどころか、結構かわいい声でお気に入りなんですが、そう言う意味では迷惑をかけているのかも。さすがに会議中などに音を消し忘れたケータイが鳴ると自分でも恥ずかしいんですけどね。
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