フリーエージェント宣言をしてメジャーリーグへの移籍を目指していた元読売ジャイアンツの松井秀喜選手が、ニューヨークヤンキースに入団しました。ヤンキースは伝統、人気、実力を兼ね備えた名門で、ちょうど日本でのジャイアンツと同じような立場にある球団ですよね。そんな中で彼がどのくらい活躍できるかは未知数ですが、挑戦するからには持てる能力を十二分に発揮してほしいものです。
アメリカの人たちは歓迎ムードでしたね。イチロー選手がシアトルマリナーズに入団した頃とは違い、松井選手の扱いはすっかり「日本からやって来た助っ人」でした。もちろんイチロー選手や新庄選手の活躍もありますし、これまでの彼の実績もあるんですが、やっぱりニックネーム「ゴジラ」の影響が大きいですよね。彼がメジャーリーグに乗り込むよりもずっと前から、「GODZILLA」はワールドワイドに通用するMADE IN JAPANの傑作でしたから。
Intel社が初めてモバイル用途専用に開発していた新型CPU、開発コード「Banias」。正式に「Centrino(せんとり?の)」という名称が決まり、いよいよ今年3月の登場に向けて最終段階に入ったようです。Centrinoの名前は、Banias自体ではなく(Banias自体は「Pentium M」という味も素っ気もない名前です)チップセットや無線LANを合わせた全体のシステムに与えられるのだそうです。モバイルノートパソコンに求められる性能はCPUの改良だけでは決して得られませんから、このブランド戦略自体はある意味理にかなったもののような気がします。もちろん、Intel製CPU用のチップセットなどで利益を上げたいメーカーにとっては一大事ですが。
「Centrino」は、「center + neutrino」の造語だとか。「neutrino」は昨年のノーベル物理学賞でお馴染みになった素粒子・ニュートリノのことです。小柴先生の業績に思いを馳せるとちょっと嬉しいネーミングでもあります。ニュートリノに「小さい」「速い」「最先端」といったイメージを込めたんでしょうか。
思い返すと、Intel社の独占状態にあったノートパソコン用CPUの世界にTransmeta社のCrusoeが殴り込みを掛けたのはもう2年以上前です。それまで計算能力の高さをひたすら競ってきたCPUの世界に低消費電力という新しい評価基準を持ち込み、処理速度ではPentium 3よりも劣ったものの、特に日本製の小型ノートパソコンで採用が進みました。現行製品でも、SONYのVAIO UやSHARPのMebius MM1など、独特の存在感を放つ機種に採用されています。
Crusoeの登場時にはとりあえず低電圧版のPentium 3でカウンターパンチを放ち、「ノートパソコン向けのCPUの開発を進める」と宣言したIntel社。その後2年が過ぎ、いよいよ渾身の返し技が炸裂します。世界最大の半導体メーカーであるIntelとしては、低消費電力という面でも自分たちの開発能力を持ってすればもっと優れた回答を出せることを示す必要がありました。売られた喧嘩は買わねばならなかったわけです。Centrinoは、低消費電力だけでなくこれまでIntel社の目指してきたハイパフォーマンスも両立しようとしています。まさにトップランナーのプライドと意地が生み出した製品です。
喧嘩を売った側、Transmeta社もこのままでは引き下がりません。パソコン向けにソフト・ハード共に改良を進めた(もともとTransmeta社はノートパソコンを主戦場と考えていなかったらしいんですが)新しいCrusoeが製品化に向けて着々と動いています。課題になっていた処理能力も上々だとか。上手く行けば今年の夏のボーナス商戦では再びIntel対Transmetaのモバイルノート対決が燃え上がるかも知れません…「燃え上がる」とは言っても性能は実にクールなんですが。ともかく、競争が続くことによって技術革新が進んでいくのは良いことでしょう。
トップランナーと言えば、もう一つ興味深いニュースを見つけました。それは2002年度の車名別乗用車販売台数ランキング。トヨタ自動車の「カローラ」が33年間守り続けてきた首位から陥落しました。33年前と言えばまだ1960年代。高度成長時代からオイルショック、バブル景気と時代の波にもまれながらトップを維持してきた大衆車の代表・カローラですが、さすがにデフレ時代には勝てなかったようです。
カローラの33年間は、自動車業界のトップランナー・トヨタ自動車が意地で守り続けてきたものと言えるでしょう。トヨタ自動車のホームページを訪れてみるとそれがよくわかります。現在「カローラ」を名乗る車は4種類。いわゆるセダン型のカローラの他に、ワゴンタイプのフィールダー、3列シート仕様もあるミニバン風のスパシオ、そしてスポーティな2BOX型のランクスです。これら全く性格の違う4車種が同じ「カローラ」として計上されているわけで、首位を守り続けるために無理に「カローラ」の名前を付けてたんじゃないの?と思ってしまいます。
カローラに代わって首位の座に着いたのはホンダの「フィット」。カローラよりもコンパクト、でも広い室内。きっちり高級感を持たせることも忘れていない、今どきの大衆車です。考えてみると、毎年いくつもの新型車が登場する中で、モデルチェンジなどがあるとしても30年以上同じ名前の車がベストセラーであり続けることはむしろ不自然かも知れません。
もしかすると、トヨタ自動車の皆さんも首位陥落でむしろほっとしているのかも知れませんね。これからは新しい気持ちでまたベストセラーを目指すことが出来ます。必ずしもカローラにこだわる必要もなくなるわけです。例えば、既に新世代のコンパクトカー「イスト」と「ヴィッツ」が4位と5位につけています。日産の名作・「マーチ」とのデッドヒートが続いていますね。フィットと同クラスといえるこれらの車が首位に立つのはごく自然な流れでしょう。2003年、最も売れる車は何になるのか?…これまでとは違う楽しみがあります。
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