2月2日の朝は、強烈な衝撃と共にやってきました。「アメリカのスペースシャトル・コロンビア号が大気圏再突入時に空中分解を起こし墜落、乗組員7人全員が死亡」というニュースが全世界を駆けめぐっています。発生したのは日本時間の昨夜11時頃でしたから、国内のメディアでも昨夜のうちに速報が流れていたはずなんですが、たまたま昨夜は10時頃に寝てしまったので、この出来事を知ることなく寝たわけです。その代わり、朝はとても早かったので、午前4時頃に行われたブッシュ大統領の記者会見は見ることが出来たんですが。
今朝は、天気予報を見るためにテレビをつけたら、NHKで報道が続いているのを見つけました。しばらくこれを見た後、チャンネルをCNNに切り替えて状況を見ました。スカパー!の報道系チャンネルを見たのもずいぶん久しぶりです。さすがにアメリカの放送局なだけに、破片の落下していると思われるテキサス州周辺に向けて「破片には近づかないように」と何度も呼びかけられていました。有害な物質も使われているのだそうです。
こうした海外の報道メディアを見ると同時通訳が入るわけですが、聞いていてイライラしますね。日本語とその他多くの言語とは語順が大きく違うので、そもそも同時進行で通訳すること自体無理があるんですが、行ったり戻ったり、時には訳しきれずにそのまま「?する」と言ってみたり、内容を飛ばしてしまったり…。英語だとそのことがわかることもあるので腹が立ったりするわけですが、それ以外の言語だとお手上げなので、普通の報道としてはたどたどしいそのアナウンスを聞くしかありません。同時通訳のお仕事をしている皆さんには申し訳ないんですが、結局我慢しきれなくてNHKにチャンネルを戻しました。
CNNの放送では、煙を吐き、破片を散らしながら落ちていくコロンビア号の映像が繰り返し流されていました。17年前、同じスペースシャトルのチャレンジャー号が打ち上げ直後に爆発したときのことを思い出しました。今回と同じように、チャレンジャー号の映像は何度も繰り返し流されました。遙か上空でただ一つ浮かぶスペースシャトル。そこで何か非常事態が起こっても、外からはどうしようもなく、ただ見ているしかありません。見れば見るほど辛い映像でした。
もう一つ思い出したのが一昨年の9月11日のこと。NHKの夜10時のニュースは、煙を上げる世界貿易センタービルの映像から始まりました。そして、ほんの数分後に2機目の旅客機がそこに突っ込んでいく映像が、まさにライブで入ってきたわけです。どちらの場合も、ブラウン管の向こうに映っていることはまさに現実。しかし、実に現実離れしたものでした。
一番怖いと思ったのは、その現実離れした映像を、実感できないままに現実として受け入れるしかないこと。もちろん、世界で起こっている全ての出来事を体験できるわけではありませんから、ほとんどの物事には多かれ少なかれこうした面があるわけですが、その一方で現実と見まがうばかりの非現実がテクノロジーの進歩で作り出せるようになったことも考えると、一体何が現実で何がそうでないのかわからなくなってきます。
ただ、世界中にあふれかえるこうした大量の情報を受ける側として、全てを鵜呑みにするのではなく、自分自身の中で何らかの解釈を試みる姿勢は必要なのではないか?と考えています。とても難しいことではありますが。
今回の事故によって、世界の宇宙開発が大きな影響を受けることは確実でしょう。スペースシャトルの打ち上げが当面中止されることは仕方ないわけですが、現在建設中の国際宇宙ステーションにも滞在している宇宙飛行士がいる状態で、あの人たちはどうなってしまうんだろう?という心配もしてしまいます。
科学雑誌「Newton」が創刊された1981年は、コロンビア号がスペースシャトルとしては初めて宇宙に飛び立った年でした。スペースシャトルに関する記事も多く、子供心にわくわくしながら記事を見たものです。もともと、宇宙開発の話題は夢があって大好きなんです。もちろん事故はあってはならないことですが、これにひるむことなく、宇宙への挑戦は続いていってほしいと思っています。
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