3月5日に発売されたSMAPのニューシングル「世界に一つだけの花」が、前評判通りに大ヒットしています。登場週だけで60万枚以上が売れ、今年初のミリオンヒットとなるのも確実なようですね。もともとはアルバムに収録されていた曲ですが、その頃から曲に対する評価は高かったそうで、今年になってドラマの主題歌になり大ブレイクしました…と、このあたりは私よりもずっと詳しい人が多そうですが。
ちょっと前にここでも触れていますが、この曲は槇原敬之の作詞・作曲による作品です。今回の大ヒットは、彼の音楽作品が彼のパフォーマンスから離れて純粋に評価されたという点で嬉しかったですね。あんなことがあった後でも、彼のソングメーカーとしての才能が全然色褪せていないことを見せつけてくれました。もちろん、この名曲を決して上手とは言えないけれど彼らなりに味付けして表現した人気アイドルグループ・SMAPの功績も大きいんですが。
今回の話題は前回の続編と言うべきでしょうか。水曜日・12日に、予定通りCentrinoプラットフォームが正式に発表されました。日本でも大々的に発表会が行われ、各社の搭載機が一同に並びました。ワイヤレスをアピールするためにLANケーブルを巨大な剪定ばさみでぶった切るなど、派手なパフォーマンスが繰り広げられたようです。
一部メーカーがデュアルバンドの無線LANを装備した「Centrinoより上位のPentium M機」を用意したのも予定通りです。日本IBMとNECからこうした製品が出ているのを確認しました。どちらも、Centrinoブランドにこだわらなくても既に自社ブランドが確立しているメーカーですよね。特に、ThinkPadの積み重ねてきた「質実剛健のモバイルPC」のブランドイメージは強力です。今はレッツノート使いの私でも、ThinkPadは常に一目置く存在です。
ただ、一つだけ予想外だったのはこの日に発表された新しいVAIO Uでした。超小型の筐体に搭載されたCPUは「超低電圧版モバイルCeleron 600A MHz」。一見目立たない名前でしたが、L2キャッシュがこれまでのCeleronでは見たことのない512KB、これに組み合わされるチップセットがCentrinoに使われる855PM…と書いてあれば、これがPentium Mと同じBaniasコアを使ったものであることは容易に推測できます。600MHzはBaniasコアのバッテリーモードでの最低動作周波数ですしね。SONYはまたしてもIntelと共謀して抜け駆けしたわけです。
まあ、某所のコラムに思わせぶりなことが書いてあったので想像は出来たんですけどね。Intelが全くシークレットの隠し球を用意しているとは考えられませんでしたから、超小型PCのために現状の情報だけで出来ることがあるとしたら「最低周波数固定動作のBanias」くらいかな?と思ったわけです。考えてみると、この仕様ならSpeedStepも装備されていないわけですし、動作周波数がたったの600MHzですから「Celeron」を冠するのは当然かも知れません。L2キャッシュもきっちり半分殺してありますし。
VAIO Uと言えば、先代のモデルではCPUにTransmeta社のCrusoeを採用していました。どうもこのCeleronはSONYがIntelに「おねだり」して作ってもらったらしいんですが、Intel側からすれば販売戦略上のバランスを崩しかねない(当然これでは「Centrino」の要件も満たさないわけで)SONYのかなり無茶なわがままに応えたわけで、王者・Intelの「Crusoe潰し」への執念を見た気がします。
その王者・Intelを本気にさせたTransmeta社なんですが、Centrino発表直前に時期を合わせて、今年後半に登場予定のCrusoeの後継になる新型CPU・TM8000(仮称)の概要を発表しました。SONYのような離反者を増やさないようにアピールに必死…という感じでしょうか。
全く新規に開発されたCPUであるTM8000は、Crusoeの2倍以上となる8個以上の命令を同時に処理し、クロック周波数はそれほど上げずに、むしろこれまで以上の低消費電力の下でパフォーマンスを向上させているのだとか。登場すれば、低電圧版・超低電圧版のCentrinoの強敵となる可能性十分です。それどころか、パフォーマンス重視の大型ノート、さらにデスクトップ機での競争も視野に入れているのだとか。低消費電力はすなわち低発熱と言うことで、小型ノートに限らずすべての環境で優位性があるはずです。
どうやら、TM8000がかなり優秀なデキであることは確かなようです。ただ、心配なのはちゃんと商品が市場に出てくるのかどうか。このあたりは、自社で半導体を生産できないファブレスメーカーの辛いところです。Crusoeのときもそのせいでつまずいていますし…。それでも、Transmetaの頑張りには期待したいですね。CPUの処理をソフトウェア化し、トランジスタ数を減らして省電力化するというアプローチは今後もまだまだ期待できますし、何よりもIntelをここまでモバイル向け製品に本気にさせた原動力なんですから。競争が進歩を生むのです。
さて、CPUメーカーと言えば忘れてはいけないもう一方の雄がAMD社です。こちらも、Centrinoの発表に合わせてノートパソコン向けの新製品を披露しました。低電圧版のモバイルAthlon XP-Mですね。こちらは、通常電圧版のCentrinoが競争相手になってくるのでしょうか。
AMDにも過去何度かIntelを本気にさせた実績があるわけですが、最近はどうも元気がありません。思うに、AMDはトップランナーをあまりに意識しすぎなのではないでしょうか。だいたい、CPUのネーミングからしてMicrosoftのWindowsやOfficeと同じ「XP」、IntelのモバイルPentium 3/4と同じ「-M」という名前を付けています。自分で情けないと思わないんでしょうか?
そして、最たるものはモデルナンバー。Intel製CPUのクロック周波数を基準にして性能表示しています。現状でも動作クロックが2GHzそこそこのAthlon XPが3GHz以上のPentium 4と互角に渡り合っているわけで、これはすごいことだと思います。クロック数あたり性能の高さを自信を持ってアピールするべきでしょう。それなのに、そこに「3000+」なんて名前を付けたりして…もう情けないったらありゃしない。
もともと、モデルナンバーはより高クロックのPentium 4に「額面で負けないように」導入したもので、現状でほぼPentium 4のクロックとAthlon XPのモデルナンバーは同等になっています。でも、クロックあたりのパフォーマンスが全く異なるPentium Mと比べるにはどうしたらいいんでしょうか?。別のモデルナンバーを定義するのは余計ややこしい事態になりそうです。実際の動作クロックで比べた方がまだわかりやすい気がするんですが。
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