5月の第2日曜日は母の日です。皆さんはお母さんに何か感謝の気持ちを表しましたか?。私は、初めて母のいない母の日を迎えました。何もしないのも落ち着かなかったので、カーネーションの切り花を買ってきて神棚に供えてあります。でも、こんなことをしても単なる自己満足に過ぎないんですよね。親孝行、したいときには親は無し。今頃になって身に染みます。
去年ベートーヴェンの第九を歌った浜松フロイデ合唱団で、年明けからも続けて練習に参加しています。この合唱団は、毎年年末に第九を歌うために7月頃から団員を募り練習を始めるわけなんですが、今年はちょうど30周年に当たると言うことで、7月に記念演奏会が計画されています。第九のときには全然思った通りに歌えなかったな…と言う気持ちが強く、このままでは悔しい気がしたので今回も続けて参加してみることにしました。
7月に第九を歌う…というわけではなくて(歌っても構わないのでしょうけど、そちらはちゃんと年末に改めてやりますから)、7月には別の曲を歌うことになっています。その曲というのは、19世紀末にフランスの作曲家・フォーレが作った「レクイエム」。レクイエムは日本語では「鎮魂歌」と訳されますが、要するにキリスト教の葬礼のための曲ですよね。
お葬式のための曲というと、暗いイメージを持たれる方も多いかと思います。私も、めでたい30周年にどうしてそんなものを?と思ったわけですが、曲を聴いてみると、実に暖かくて美しい曲です。もともとキリスト教は死後に天国で永遠の安らぎを得るために信仰されているものですよね。この曲からは、亡くなった人の安らぎを求める願いが込められているのが伝わってきます。最後には、「天国にて」という美しい曲も用意されていますし。
今回の演奏会場はアクトシティ浜松の中ホール。アクト名物の一つ、パイプオルガンとの共演になります。楽団も、ソリストも一流の方々です。私たちも一生懸命練習しています。是非多くの人に聴いて欲しいと思っているんですが、皆さんから暗いイメージを払拭するのが意外に大変なんですよね。チケットの販売もスタートしますし、これから宣伝活動を本格的に頑張らなくては…ノルマもありますから。
レクイエムと言えばいわゆる教会音楽の一つということで、歌詞はラテン語で書かれています。第九のときのドイツ語は一応読んだことのある言葉でしたが、さすがにラテン語を読むのは初めて。もともと古代ローマの公用語だったラテン語は、現在ではどこでも話されていませんが、書き言葉としては近代まで残り続けて、多くの文献も残っています。日本での古文や漢文と立場は似ているんでしょうか。
古文、漢文というと難しいイメージがありますよね。そんなわけでラテン語もとても難しそうだと思っていたんですが、始めてみると実際にはそれほどでもありません。英語と比べると同じ文字にいろいろな読みが当てられていることが少ないので、規則さえわかればとりあえず読むことは出来ます。ただ、文法的にはやはり難しいようです。単語の意味は教えてもらうんですが、語順の規則は未だに全然わかりません。単語の活用形もたくさんあるようですし。こんなところも日本の古文とよく似ています。
単語の意味は、よく見ているとわかってくるものが多いんですよね。ラテン語の直系の子孫になるのはイタリア語、フランス語、スペイン語などですが、英語やドイツ語など他の多くの言語にもラテン語由来の単語が多くあります。このあたりはかつてのローマ帝国の影響力の大きさを物語るわけですが。外国語の歌詞でも、意味をちゃんと理解して、感情を込めて歌いたいものです。
私にとっては、今回の演奏は母の一年祭を前にして特別な意味を持つものになりそうです。宗教が違っても、亡くなった人の永遠の安らぎを願う気持ちはそう変わるものではないはずです。たまたま30周年にセットされた曲に、偶然とはいえ自分の想いを重ね合わせて歌える私は幸運だと思います。まだまだ曲の完成度も高いとは言えませんが、練習を重ねて、演奏会は良いものにしたいですね。
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