メジャーリーグに衝撃が走りました。3日の試合で、シカゴカブスのサミー・ソーサ選手が、ルールで禁止されている「コルクを詰めたバット」を使った…として退場処分を受けました。彼は「練習用のバットを誤って使ってしまった」と釈明しています。彼のバットを全て調べた結果、コルク入りバットは他に1本も見つからなかったそうですから、この言い分ももっともに聞こえます。でも、一流のプロスポーツ選手の繊細な感覚が、バットの間違いに気付かなかったとはとても思えないんですよね。
事の真相は明らかではありませんが、一つ確実に言えるのは、このたった1回の出来事でソーサ選手の全てが疑われてしまうこと。まだ記憶に新しい1998年のマグワイア選手とのホームラン王争いだって、あのうち何本がコルクバットだったんだろう?と思われても仕方がありません。野球の殿堂に展示されている彼のバットまでX線検査にかけられてしまいましたからね…全て不正の見つからない普通のバットでしたが。
今シーズンは通算500号を放ったものの、5月1日の試合以降ホームランから遠ざかっていたソーサ選手。「よく飛ぶ」コルクバットをついつい出来心で使ってしまったのかも知れません。もちろん許されることではありませんが、メジャーリーグのスーパースターである彼もやっぱり人の子、精神的に弱い面だってあるかも知れないな…と妙に納得できる理由ではあります。
アメリカから日本のプロ野球に目を向けてみましょう。開幕からおよそ2ヶ月が過ぎましたが、こちらにもある種衝撃が走っています。まずはセ・リーグの順位表を見てみましょう↓(6月7日終了時点)。
順位 | 球団名 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | 引分 | 勝率 | ゲーム差 |
1 | 阪神タイガース | 58 | 39 | 18 | 1 | .684 | – |
2 | 読売ジャイアンツ | 56 | 29 | 26 | 1 | .527 | 9.0 |
3 | ヤクルトスワローズ | 55 | 28 | 27 | 0 | .5090 | 1.0 |
4 | 中日ドラゴンズ | 57 | 29 | 28 | 0 | .5087 | 0.0 |
5 | 広島東洋カープ | 50 | 22 | 28 | 0 | .440 | 3.5 |
6 | 横浜ベイスターズ | 54 | 17 | 37 | 0 | .315 | 7.0 |
…もちろんこの順位表なんか見るまでもなく、「とんでもないこと」とは阪神タイガースの歴史的な快進撃です。春のタイガースが好調なのは結構良くある話ですが、それにしても今年の強さは尋常ではありません。いわゆる貯金は20以上、2位のジャイアンツとは9ゲーム差。まさに独走状態です。
ペナントレースはまだ折り返し点にも来ていないんですが、ファンの皆さんは早くも優勝に向けてヒートアップしているようです。商店街では優勝までのマジック表示が始まっているようですし、「優勝祈願DVD」など関連商品もいろいろと売られています。何しろ、あのレッツノートにも虎縞モデルが登場してしまうくらいですし…考えてみると、大阪に本社のある松下電器にとってもタイガースは地元球団ですよね。
ところで、この順位表を見てもう一つ気付くのは昨年以上に落ち込んだ横浜ベイスターズ。今年は首位打者の打率との競争すらさせてもらえません。もともと戦力的に整っていなかった上に、効果的な補強も出来ていませんでしたから、こうなってしまうのは仕方なかったような気がします。去年から親会社になったTBSには、本当にこのチームを支援する気があるんでしょうか?…大いに疑問です。
前々からタイガースの戦力が整いつつあることを主張してきた私からすれば、「ようやく来たか」という心境なんですが、今年は生え抜きの選手だけではなく補強した選手も大活躍しています。例えば、メジャーリーグから戻ってきた伊良部秀輝投手が先発ローテーションを支えていますよね。メジャーに行く前はとにかく球の速い投手…というイメージでしたが、今は変化球も効果的に使って頭脳的な投球を見せてくれます。
スポーツ紙で各種記録を見ると、今シーズンのタイガースの強さがわかってきます。リーグ1位の成績を挙げているのが防御率、犠打、犠牲フライ、盗塁。伊良部投手も含めて先発投手3人が最多勝争いをしています。一方、ホームランは意外に少ないんですよね。投手陣が失点を最小限に抑え、ヒットが出なくても確実に塁を進めて点を稼ぎます。「勝てる」と言うよりも「負けにくい」と言う方が適切な、手堅い野球が実践できているのではないでしょうか。
例年のタイガースだとそろそろ息切れしてきて、オールスター戦明けくらいに気が付くとBクラス…ということも結構多いんですが、今年はもう少し頑張りそうな予感があります。さすがに「優勝間違いなし」と言うのはあまりに時期尚早でしょうね。主力選手に故障者でも出たら計算が狂ってきますし。それに、こんな早い段階でペナントの行方が決まってしまうのはあまりに哀しすぎます。2位のジャイアンツにも、我らがドラゴンズにも、もちろんそれ以外の球団にもまだまだ頑張って欲しいところです。
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