イギリスで、テニスのウィンブルドン選手権が開催されています。夜11時頃からのテレビ放送を見ているとあっという間に時間が過ぎてしまい、この時期はどうも慢性的に寝不足気味です。録画中継だとわかってはいるんですが、ついつい見入ってしまうんですよね。テニスの中継は全くカメラアングルが動かない中でボールが行き来する…という実に単調な放送なんですが、その中で選手同士の力のぶつかり合いや駆け引きが見えてくるところが好きです。野球の楽しみ方とちょっと似ているかも。
男子シングルスで、鈴木貴男選手が日本人男子としては7年ぶりに四大大会での勝利を挙げました。松岡修造氏以来なんですねぇ…言われてみれば最近の日本男子はどうもパッとしなかったんですが。テニスはパワーやスピードもモノを言うスポーツですが、体格面で不利な日本人選手でも技術で対抗するチャンスは十分にあると思っています。鈴木選手も身長175cmということですから、そんなに大柄な方ではありませんよね。残念ながら彼は2回戦で敗退してしまいましたが、あとは活躍している女子選手に期待しましょう。
話はテニスから野球に移り、今年も7月15日から行われる日本プロ野球のオールスターゲーム。ファン投票は既に締め切られ、来週の7月3日には最終結果が発表されます。オールスターゲーム自体は結構好きなんですが、このファン投票の結果を見ると、正直なところがっかりすることが多いですね。各チームの選手が一堂に会する意義を感じさせない結果をしばしば見ることになります。
最終の中間発表が23日に行われましたが、今年の場合は特にセ・リーグが大変なことになっています。まず、野手のすべてのポジションを阪神タイガースの選手が独占しています。確かにタイガースは今年絶好調で、しかも今年のオールスターの第1戦は大阪ドームでの開催ですから、地元球団の選手をオールスターに出したいファン心理はもちろんわかります。しかし、それにしても圧倒的な得票数は普通ではありません。しかも、本来投手であるムーア選手が一塁手部門の3位の得票数だったりします。投手・ムーアへの投票より多いんですから、これにはさすがに笑うしかありません。何か変だぞ?とは思いましたが。
しかし、それ以上にとんでもないことになっているのがセ・リーグの先発投手部門。得票数トップを走っているのは中日ドラゴンズの川崎憲次郎投手です。ヤクルトスワローズからFA宣言で移籍して今年で3年目ですが、故障に苦しみ、ドラゴンズでの1軍公式戦登板は全くなし(実はオープン戦で一度投球を見ているんですが)。そんな川崎投手のところに80万票も投票されている…というのはどう見たって不自然です。報道によると、インターネット経由で大量の不自然な投票が行われたということですね。スクリプトなどで操作を自動化して大量に投票すれば、大した労力もなしに実現可能な行為ではあります。
もう遙か昔ですが、中学生の頃に校内放送の企画を担当したことがあり、そのときに生徒からリクエストを集めて曲を流していました。中学の全校生徒程度の人数だと、ちょっと友達を集めて組織票を投じれば簡単にランキング上位に食い込めるんですよね。ですから、巷で売れている曲とは明らかに違うヒットチャートが出来上がるわけです。ランキング通りにいろいろと問題曲を流したりして、先生には怒られましたね。
中学校のヒットチャートでも、オールスターのファン投票でも、組織票を投じる人(たち)の心理は大して変わらないような気がします。「投票」という一見公平性の強い印象を与える行為の結果に、個人レベルで大きな影響を与えている…という満足感を得ているのではないでしょうか。この「公平性を乱す」という行為は一般社会の中では本来許されないことですが、投票という行為が匿名で行われることが多いために、投票に対する責任感が希薄になっているような気がします。
匿名であることによる責任感の希薄さが問題になっている…という意味では、Web掲示板もしばしばやり玉に挙がります。匿名で特定の個人を誹謗・中傷するなどの公序良俗に反した発言が問題となり、最近では掲示板の運営者に損害賠償を命じる判決が出ていたりします。結局のところ個人が特定できない状態になっていますから、責任は所在が明らかである掲示板の運営者に求めるしかなくなってしまうんですよね。
掲示板に限らず、インターネット文化がこれだけ成長してきた背景には、匿名性を高くできることが大きく働いていると思います。匿名だからこそ思ったことを素直に書ける…という面もあると思うんですよね。私自身も、あえて本名を使って書いていないおかげでここに書けるモノがあるような気がしています。
それでも、面と向かってはとても言えないような罵詈雑言が延々と並ぶ掲示板はさすがに見るに堪えません。書いている人にとっては一種のストレス解消になっているのでしょうけど、それを読んだ相手がどう考えるのかまで考えが及んでいないのではないかな?と思います。私がSSK Worldに原稿を書くときは、これを読む人がどんな気持ちになるかを結構気にしています。オフラインでの知り合いの方も読みに来る可能性があるので、そういう意味でも中途半端や嘘やごまかしは利かないんですが。
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