第3時限:Super π
前回に続いての「CF-R2・実力テスト」。ここからは、各デバイスの相互連携による総合力を試すテストをしてみましょう。まずは、東京大学情報基盤センタースーパーコンピューティング部門(旧大型計算機センター)の先生方が作成したSuper π。3.14159265358979323846……と無限に続く円周率をひたすら計算するプログラムで、大量の計算とメモリアクセス、ディスクアクセスが発生します。オーバークロック環境の耐久性を計るために使われたりもしますが、今回は単純に計算時間を比較しています。
このテストと次のShadeを使ったテストでは、同じ作業の所要時間を比べているため、時間が短い方が優れていることになります。他のテストとグラフの上下関係をそろえるために、所要時間の逆数を求めて、CF-B5Rの結果を100とした相対値に置き換えてグラフを描画しています。つまり、このグラフも長い方が好成績である…ということです。
Super π 1.1 | ||
---|---|---|
Machine | 104万桁 | 838万桁 |
CF-B5R | 3分28秒 (100) | 37分32秒 (100) |
CF-R2 | 1分34秒 (221) | 18分07秒 (207) |
自作機 | 1分27秒 (239) | 15分21秒 (244) |
このテストでは、CF-R2が見事に実力を発揮してくれました。CF-B5Rの2倍以上の速さを見せ、自作機に迫る勢いです。前回の結果だけではこの成績を説明するのはちょっと難しいところです。Pentium Mのプロセッサバスが400MHzと高速化されていること、1次命令キャッシュ32KB、1次データキャッシュ32KB、2次キャッシュ1MBというこの3機種中では最大容量のキャッシュメモリを搭載していることなどが理由として考えられますね。
第4時限:Shade R5 レンダリング作業
次は、3次元CGのレンダリングで総合的な処理能力を試してみましょう。これまた膨大な計算とメモリやディスクへのアクセスが発生する作業です。CG Galleryに公開している画像「World LOGO『ダイヤの万華鏡』バージョン」を、このサイズ(160×120ピクセル)にレイトレーシング法でレンダリングしています。もちろんレンダリングに使用したのはShade。倒産したエクス・ツールズから、イーフロンティアがShadeを開発から販売まで丸ごと引き継ぐのだそうです。
Shade R5 Personal | |
---|---|
CF-B5R | 30分37秒 (100) |
CF-R2 | 14分25秒 (212) |
自作機 | 10分45秒 (285) |
このテストでもCF-R2がCF-B5Rの2倍強となる好成績を収めています。ただ、Superπと比べると自作機のスコアの伸びが大きくなっていますね。こうなってくれないとデスクトップ機の立場がないわけですが(笑)。
第5時限:PostPetMark 1.11
今度は、リアルタイムの3次元CGに関するテストをしてみましょう。まずは軽いところでPostPetMark 1.11から。So-netが提供する「ペットがメールを運ぶ」メールソフト・PostPet V3の動作確認用プログラムですが、登場したときに試してみて、CF-B5Rでは全く使い物にならないことを理由にV3の購入は見送った…という経緯があります。3次元CG描画にはOpenGLが使われています。
PostPetMark 1.11 | |
---|---|
CF-B5R | 255 |
CF-R2 | 2258 |
自作機 | 2909 |
CF-R2はCF-B5Rの約9倍のスコアを出して、PostPet V3が「快適に使える」レベルを実現しました。CF-B5Rに搭載されているNM2200は、CF-B5Rが登場した時点で既に時代遅れになっていたビデオチップで、3次元CG描画のサポートはありませんから、このくらいの差がつくのは当然なんですけどね。
第6時限:3DMark2001 SE build330
最後は、ハイエンドのリアルタイム3次元CG描画能力を測る、Futuremarkの3DMark2001 SEです。最新版ではないものの、現在巷に出ているDirectXを使ったゲームがどのくらいまともに動作するかを見るのには適したテストだと思いますが…とにかく結果を見てください。
3DMark2001 SE build330 | |
---|---|
CF-B5R | (起動不能) |
CF-R2 | 1654 |
自作機 | 11842 |
CF-R2の成績が最先端に近いビデオカードを搭載している自作機に遠く及ばないことも、一部のテストが「非対応」として飛ばされるのも仕方のないこととして、このベンチマークが1kgを大きく切る軽量ノートパソコンで起動すること自体が驚きです。しかも、描画品質を落とせば何とかゲームになりそうな状態ですからね。まさに技術の進歩です。
総合評価
今回の「実力テスト」をまとめてみましょう。前回と今回の結果を合わせて見ると、CF-R2は総合的にはCF-B5Rの約2倍のパフォーマンスを持っていると言って良さそうです。前回の結果からは、Pentium Mの内部は基本的にPentium 3と同等であることが推察されましたが、1.5倍のクロック数比を大きく上回る差が出ている理由としては、メモリアクセスの高速化、グラフィック周りの強化などが考えられます。
特に驚いたのは、855GM内蔵のグラフィック機能が意外に侮れないこと。ノートパソコン用で、しかもチップセット内蔵となると、性能的には非常に低い…というイメージがありましたが、これだけ出来れば十分合格点ではないでしょうか。一方で、ハードディスクの能力は相対的に見ると低く、ボトルネックになるかも知れません。
コメントを残す