レッツノートのCM!
本題前に一つ。前にこのコーナーでも採り上げた松下電器提供のドラマ「こちら本池上署」で、6月16日にレッツノート・CF-W2のテレビCMが流れました。レッツノートのテレビCMを生で見たのはもしかすると初めてかも知れません。ピアノ演奏をバックにしたクールなCMでしたね。ただ、ボブ・サップや浜崎あゆみが出ている他のPanasonic製品と比べると地味な感じは拭えません。いっそのことドラマの縁でモーニング娘。でも起用してみたらどうなんでしょう?…さすがにそれは製品のイメージと違いすぎる気がしますが。
前から思っているんですが、レッツノートは一部のIT通からの評価は高いものの、一般からの知名度はもう一つですよね。レッツノートを見せると「Panasonicってパソコンなんか作ってたの?」という反応が結構あります。これは、マスコミへの露出が少ないからではないかと思います。コンセプトは決して悪くない製品なんですから、もう少し積極的に宣伝してもいいような気がしますね。
高速無線LANの現状
今回は、表題の通り、CF-R2に高速無線LANを内蔵できるのかどうかを考えてみたいと思いますが、最初に無線LANを取り巻く現状について軽く復習しておきましょう。今ここを読んでいるような皆さんにとっては釈迦に説法のような気もしますが…。
Centrinoプラットフォームの登場により、IEEE802.11b規格(以下11b)の無線LAN機能を内蔵したノートパソコンが多数登場していますが、規格上最大11Mbps、実質的には5Mbps以下の能力しかない11bは、データが大容量化している中で能力不足の感があります。11bよりも約5倍高速なIEEE802.11a(以下11a)が既に商品化されていますが、11bとの互換性が全くないこと、ハードウェアの価格が高いことなどが壁になり、一般への普及はなかなか進んでいません。
一方、11bとの互換性を持ちながら11aと同等の高速化を果たしたIEEE802.11g(以下11g)は、11bの後継として期待されています。これまでは規格が正式に定まる前にフライングで大量に製品が投入されている状態で、パフォーマンスや各社間の互換性が問題視されていましたが、6月12日に無事正式承認となり、今後はさらに本格的な普及が見込まれます。
技術的には可能ですが
分解したときにも確認していますが、CF-R2の無線LANモジュールは、この機能を提供する形態としては一般的な「miniPCI」と呼ばれる基板で内蔵されています。つまり、この部分に高速無線LANのモジュールが搭載できればいいわけです。メモリモジュールと同じようにはめ込むだけですから、作業としての難易度は非常に低いですよね。
無線のことを考えるときに、もう一つ重要になるのがアンテナ。miniPCIモジュールの場合、アンテナが外付けになっているものが多いようなので、これはちょっと面倒な問題になります。ただ、11bと同じ周波数の電波を使う11gの場合は、理論的にはアンテナは同じものが使えますから、現在のCentrinoモデルならminiPCI部分の載せ替えだけで11g化が可能なはずで、実際にネット上でもこうした換装報告がいくつか出てきています。
最大の壁は法律
ところが、こうした換装報告を読むと、「作れそうだけど僕は電波は飛ばしてないよ」とか「夢の中のお話」だとか、とにかく非常に歯切れが悪いんですよね。こうしたWebサイトと密接に関係するキーワードが「電波法」。空間を飛び交う電波を、混信しないようにうまく利用していくための法律ですね。
無線LANも、電波を飛ばして信号を送受信するという意味では電波法第2条に定められた立派な無線設備です。ただし、無線LANの場合には、同法第38条の2で定める「技術基準適合証明」を受けた機器を用いれば、免許がなくても使える…ということになっています(同法第4条第3項の規定)。携帯電話やPHS、あるいはトランシーバなどの中で「特定小電力」と呼ばれるものと同じような扱いですね。
技術基準適合証明を受けた機器を用いなくてはならない…ということは、裏を返せばこれらの機器は改造してはならないわけです。技術基準適合証明は、実際に電波を発射する無線通信機器全体に対して行われるもので、無線LAN内蔵パソコンの場合はパソコン全体が証明を受けることになりますから、内部に取り付けられたモジュールを交換するのは改造行為と見なされ、電波法違反ということになります。無線LAN非内蔵のモデルに後から組み込む場合でも、組み込まれた全体が技術基準適合証明を受けなくてはならないでしょう。(この件について解釈の誤りがあります。こちらの記事も併せてお読みください。)
個人で申請する?
それなら、自分で技術基準適合証明を受ければいいじゃないか…と思ってちょっと調べてみました。無線LAN機器については、TELEC(財団法人テレコムエンジニアリングセンター)が技術基準適合証明および認証の業務を行っています。「証明」の方は1台ずつの機器に対してのもの、「認証」は大量生産される製品の1モデルに対してのものになります。
Webサイトの説明を読むと、1台の機器に対しても適合証明を申請することは可能なようですが、申請書類には無線機器の設計書などが必要で、無線の専門家でもない私にはとても書けません。それに、手数料は11bや11gに相当する「2.4GHz帯高度化小電力データ通信システム」で1台1,900円となっていますが、試験のためにTELECの施設を使うため、10万円単位の利用料が追加されてしまいますから、そうした意味でも個人で申請するのは現実的ではありません。
無線LANのminiPCIモジュールの入手性が高くないこと(これには法律の問題が大いに影響していると思いますが)も考えると、高速無線LANの内蔵はやはり「夢の中」レベルで止めておいた方がよいかも知れません。私自身は、当初の予定通りPCカードの外付けで対応したいと思っています。
注意!
この記事の中には、電波法とその運用に関して解釈の誤っている箇所があります。「高速無線LAN内蔵への展望」も必ず併せてお読みください。
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