ハードディスクを休ませろ

完売の理由は?

マイレッツ倶楽部で、私の購入したCF-R2A最軽量モデルが早くも完売となっています。最初から「台数限定」を謳っていたわけではありませんから、他の製品が引き続き販売されている中、どうして最軽量モデルだけこういうことになったのか不思議です。最軽量モデル特有のパーツである40GBの1.8型ハードディスクが安定して供給されていない…と見るのが常識的なところでしょうか。一方で、非CentrinoのPentium M機が多く売れるのは今後のIntel社との関係を考えると好ましくない…との政治的判断が働いたのでは?と勘ぐりたくもなります。

ともかく、これでもうCF-R2Aの最軽量モデルは新品としては購入できなくなってしまいました。実際に何台が販売されたのかは知る由もありませんが、そう大量に出回っていないことだけは間違いないでしょう。しかも、迷彩グレーのサイドカバー仕様なんて、もしかすると世界に1台だけかも知れません。そう考えると嬉しくなってきますね。所有者が限定されているというのは、所有する喜びを演出する重要な要素です。

なぜ休ませるのか

今回は、タイトルにあるとおり、CF-R2でハードディスクを極力動作させない運用方法を考えていきます。動作させたくない最大の理由は、バッテリーでの動作時間を長くしたいから。モーターで円盤を回転させて動作するハードディスクは、ノートパソコンの中では消費電力の大きな部品に分類されます。できる限り出番は少なくしたいところです。

実は、3年ほど前にWeekly SSKでバッテリでの使用時間を伸ばす方法に触れていますが、基本的な考え方は当時からほとんど変わっていません。ただ、技術の進歩により、そのための方法論は変わってきています。例えば、CPU周りは、何もしなくてもPentium Mが最高の消費電力あたりパフォーマンスを発揮してくれますしね。そんな意味では、ハードディスク周りはユーザーの介入の余地が残っている最後の聖域かも知れません。

いかにRAMを使い倒すか

ハードディスクを休ませるための最大のポイントは大容量のRAMの活用です。ハードディスクの重要な仕事の一つに、RAMの容量が足りなくなった分を一時的に保存する「仮想メモリ」がありますが、もしRAMが潤沢にあれば仮想メモリを使う必要がなくなり、このためのハードディスクへのアクセスを減らせるはずです。しかも、ハードディスクは、RAMと比べるとパフォーマンスは非常に低いデバイスですから、仮想メモリの動作を減らすことはシステム全体としての処理能力を上げて実質的に「使える」時間を伸ばすためにも有効です。

CF-S21やCF-B5Rを使っていたときも、最大限(S21で160MB、B5Rは192MB)までRAMを増設して、極力ハードディスクへのアクセスを減らそうと考えていましたが、さすがにこの程度のRAM容量ではWindows自身が動作するのがやっとというレベルで、仮想メモリの動作はなかなか止められませんでした。しかし、CF-R2A最軽量モデルのRAM搭載量はなんと512MB。これだけあれば、「仮想メモリを全く使わない運用」が現実味を帯びてきます。

設定してみました

具体的にどんな設定ができるのかまとめてみましょう。

電源オプションのプロパティ;拡大画像サイズ34.0KB

1. まず最初に、一番素直な「ハードディスクを使っていないときは止める」設定。コントロールパネルの「電源オプションのプロパティ」→「電源設定」タブで、バッテリ使用時の「ハードディスクの電源を切る」時間を最短の3分に設定します。

2. アプリケーション側にハードディスクの代わりにRAMを使用する設定を持っているものがあれば、その設定を適用します。例えば、かな漢字変換システムのATOK16には、辞書データを常にRAM上に置きハードディスクへのアクセスを抑える「オンメモリ辞書」機能があります。

また、Windowsの基幹プログラムであるカーネルにも、そのすべてをRAM上に配置する隠し設定があります。本来ならレジストリを書き換える作業になりますが、「窓の手」や「いじくるつくーる」などのオンラインソフトを使えば簡単に設定可能です。「窓の杜」などから入手しましょう。

タスクマネージャ;拡大画像サイズ34.0KB

3. 次に、しばらく通常の使い方をした後でタスクマネージャを開き、RAMの使用状況を確認してみましょう。「パフォーマンス」タブの「物理メモリ」と「コミットチャージ」に注目します。コミットチャージとはWindowsとアプリケーションが要求しているメモリの大きさで、物理メモリ(つまりRAM)と仮想メモリの使用量の合計になります。コミットチャージの最大値が物理メモリ合計よりも十分に小さければ、仮想メモリは使う必要がないことになります。

仮想メモリの設定;拡大画像サイズ21.0KB

4. 仮想メモリの設定は、「システムのプロパティ」→「詳細設定」タブ→「パフォーマンスオプション」→「詳細設定」という深い階層からの操作になります。すべてのドライブについて「ページングファイルなし」に設定すると、仮想メモリを全く利用しない設定になります。当然ハードディスクの空き容量も増えて一石二鳥です。

パフォーマンスオプション;拡大画像サイズ28.0KB

5. この状態でしばらく普通に使っていてもメモリに余裕がある場合には、さらにRAMを多く使う設定にしてみます。先の「パフォーマンスオプション詳細設定」ウィンドウで、「メモリ使用量」を「システムキャッシュ」優先に切り替えると、一度ハードディスクから読み込んだデータをより多くRAM上に残すため、ハードディスクへのアクセスを減らすことができます。

ちなみに、私はその上の「プロセッサのスケジュール」を「バックグラウンドサービス」優先に設定しています。このオプションは、正確に言うとCPUがすべてのプログラムに均一に処理能力を振り分ける設定で、CPUの処理能力に十分な余力があれば、バックグラウンドの仕事が速く終わる分だけこちらの設定の方が快適になるはずです。私の場合、USBオーディオインターフェースのようにバックグラウンドで時間にシビアなデバイスを使うので、この設定は必須なんですが。

効果のほどは???

これらの設定をすべて適用した上でしばらく使ってみているところですが、今のところ「メモリ不足」の警告が出たことは一度もありません。ハードディスクの挙動については、元々十分に静かだったせいか、普通に使っているだけでは違いを実感するのは非常に難しいです。時々、ハードディスクへのアクセス時に動作まで1、2秒待たされて、ようやく「あ、止まってたんだな」と気が付くくらいです。

肝心のバッテリーでの使用時間を見ると、残量の減り方はこれまでより少しゆっくりになったような気がしますが、まだ実例が少ないので何とも言えないところです。電力性能は、使用方法によって全く変わってきますから、ベンチマークで示すのも意外に難しいんですよね。特に、今回のようなソフトウェアによるチューニングは効果が利用方法に強く依存するので、あらゆる動作を網羅するベンチマークでは効果が出ない可能性もあります。

ちなみに、今回の設定はRAMを大量に搭載しているデスクトップ機でパフォーマンスを向上させるためにも有効な手段です。1GBのRAMを搭載した我が家の自作デスクトップでも、ほぼ同じ設定で使っています。元が十分に高速だったせいか、違いが全然実感できないんですが…。


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