デフラグって何だ?
今日のお題はデフラグソフトについて。「デフラグ(defrag)」という言葉は、もともと「defragmentation」という長い言葉を短縮したものです。「fragment」は断片、破片などを意味しますから、直訳すれば「非断片化」とでも言えばいいのでしょうか。わかっている人には当たり前の話なんですが、一般的には存在感が薄いデフラグソフトとその機能についておさらいしておきましょう。
デフラグソフトは、ハードディスクの断片化を解消するためのソフトです。ハードディスクにデータを何度も書いたり消したりしていくと、一つのファイルがディスク上に連続して書き込める物理的なスペースがなくなり、仕方なく数カ所に細切れに配置されることが増えてきます。これがいわゆる断片化で、進行するとハードディスクのパフォーマンスが下がるばかりか、最悪の場合はシステムがまともに動作しなくなる危険性もあります。
特に、テレビ番組の録画のように巨大なファイルを読み書きする機会が多いと、断片化は進行しやすくなります。デフラグソフトは、ファイルのハードディスク上での物理的な位置を入れ替えながら、断片化が進んでしまったハードディスクを整理整頓して、システムのパフォーマンスと安定性を向上させるわけです。
大事な仕事なんですが
そんな大事な仕事の割には、デフラグという仕事はユーザーにあまり重要視されないことが多いようです。Windowsの場合、Windows 95以降にはデフラグソフトが標準で入っている(これはWindows XPに付属しているのもの)んですが、システムが使っているファイルをデフラグできないという決定的な弱点があります。もちろんシステムファイルだって断片化しています。だいたい、Windowsシステムがインストールされた直後でもハードディスクは激しく断片化されているんですから。
他にも、スケジュールを組んで自動実行させる機能がない(スクリプトを書けば一応できるそうなんですが)など、不満な点が多いんですが、OSのおまけで付いてくるソフトとしては仕方ないところがあります。一方、デフラグソフトは単独で市販もされていて、これらを使えばほとんどすべての種類のファイルがデフラグ可能ですし、定期的にバックグラウンドで実行させることもできます。デフラグ作業そのものも高速に行えるようになっています。1ヶ月程度試用版を利用できる製品が多いので、いろいろと試してみました。
いつの間にかできあがり
ベクターなどでダウンロード販売されているソフトをいくつか使ってみましたが、私が一番気に入ったソフトがDiskeeper。製造元の米Executive Software社はデフラグソフトのプロフェッショナルで、実はWindows XP付属のデフラグソフトをMicrosoftに供給している会社なんですね。「純正品」供給元の製品だけあって、DiskeeperはWindows標準のデフラグソフトと置き換わる形でインストールされ、管理コンソールにも潜り込みます。このスマートな組み込まれ方はさすがです。日本語版は相栄電器が提供しています。
DiskeeperのポイントはOSへの溶け込み方だけではなく、動作していることを感じさせないバックグラウンドでの作業。断片化の状態にあわせて、自動実行の間隔まで自動設定してしまいます。動作中でも他の作業にはそれほど影響を与えません…さすがにハードディスクのアクセスが多い作業と同時には動けませんが。
最初にインストールした直後はこんな状態でした。赤い部分がデータの断片化した場所、青い部分はデータの連続した場所です。自動実行の設定だけ行い…この機能が”Set It and Forget It”(「設定しろ、そして忘れろ」)というのは何とも気が利いていますが…3日間そのまま使っていたら、
こんな状態になっていました。この状態からなら、次にDiskeeperが作業した直後には断片化はほぼ完全に解消しています。Diskeeperは数時間おきに起動して、その間変更されたファイルだけをデフラグするようになりますから、1回ごとの作業時間もそれほどかかりません。
その代わり、1回の作業だけでは完全なデフラグは行わない仕様になっているようです。また、空き領域の断片化解消にはあまりこだわっていないようです。当然この状態だと新たに書き込まれるファイルは断片化される可能性がありますが、そんなファイルは後から暇なときに並べ替えればいいや…という考え方ですね。結果的に、システムへの平均の負荷は小さく押さえられるという計算なのでしょう。最近のパソコンは処理能力にかなり余裕がありますから、こうしたアプローチも可能になります。
1ヶ月の試用後、Diskeeperをオンラインで購入して使い続けることにしました。価格は5千円台ですが、これでシステムのパフォーマンスと安定性を維持できるのなら、まあまあ安価な買い物ではないでしょうか。
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