ドラフト会議を考える

NTTドコモの第3世代携帯電話・FOMAから、SSK Worldのかなりの部分が閲覧可能なのだそうです。最近のFOMAでは1ページあたりの容量が最大100KBまでということになっているらしいのですが、これは普段から私がページ作りで気を付けている条件とちょうど同じです。

実際に画面を見せてもらいましたが、確かに表示は出来ているものの、携帯電話の狭い画面への配慮は全く出来ていませんから、さすがに快適とは言い難いですね。裏を返せば、そのあたりをちょっと考えるだけで携帯電話にも対応できてしまうわけです。かつて携帯電話用のページを作ろうとして結局諦めたことがありますが、端末の高機能化によって意外な展開を見せるのかも知れません。


11月19日に、プロ野球のドラフト会議が行われたようです。正式には「新人選手選択会議」と呼ぶこの会議は、その名の通り新しくプロ野球に入ってくる選手の中から各球団が獲得する選手を選ぶために行われている会議です。プロ野球ファンの私にとって、かつては新しい選手が一気に増えるこの日は注目するべき日でした。しかし、最近は開催されたことにすら気が付かないくらいに関心が薄い状態です。どうしてこうなってしまったんでしょうか。ちょっと考えてみましょう。

英語の「Draft」という言葉にはいろいろな意味があり、もちろんこのドラフト制度のことも指すわけですが、もともとは徴兵制度のことを「Draft」と言うところからの転用のようです。選手の意志に関係なく、各球団の協議で選手の行き先は決められてしまい、選手のところに「召集令状」が届くわけです。

アメリカのドラフト制度は、下位チームから順番に希望選手を指名していく…という実にシンプルなシステムだそうですね。これと比べると、日本で行われているドラフト会議のシステムは実に複雑怪奇です。現在の制度では、大学や社会人野球の選手と各球団が個別に交渉できる「自由獲得枠」があり、これを使えば有力選手をドラフト前に二人まで確保できます。その代わり、この枠を使うとドラフト会議本番での指名順を自由獲得枠で得た人数分だけ飛ばされることになりますが。

ドラフト会議に注目しなくなった理由としてまず一つ言えるのは、自由獲得枠の存在によりドラフト会議当日よりも前に有力選手の多くが行き先を決めていること。そして、それ以外の選手も事前に希望球団を明らかにして、選手の意志に逆らって強行指名を行う球団が少なくなったことでしょう。意中の球団以外からの指名を受けて悩む選手も減りました。ドラフト会議は既に単なるセレモニーとなりつつあり、全然緊迫感がないわけです。


緊迫感がない…というのは表面的なことに過ぎません。問題はもっと奥の深いところにあります。それは、ドラフト会議そのものの存在意義が無くなっていること。もともと、ドラフト会議は各球団の戦力を平準化するために選手を均等に配分する…という趣旨だったはずです。そのためには、先に触れたとおり選手の意向とは関係なく各球団に選手を割り振っていく必要があります。

ところが、選手からの逆指名が部分的に認められ、さらには自由獲得枠が設けられるに至り、明らかにバランスが崩れています。球団側が有力選手を早めに囲い込みたいという思惑もあったと思いますが、それ以上に影響が大きかったのはせっかく交渉権を得た選手が入団してくれない…という事態が起こり始めたことのような気がします。そのせいで、最高レベルの実力を持つ選手がその能力を最大限に発揮できる舞台に立てないのは、本人にとってもファンにとっても不幸なことですよね。

制度の変更は、選手の意思を尊重しようとする動きといえるのではないでしょうか。有望な選手の人生がくじ引きで左右されてしまうかつての制度よりは良いのではないかと思います。それにしてもこの手のトラブルを見ていくと読売ジャイアンツの出番が妙に多いような気がするのは気のせいでしょうか。

ただ、これでは戦力の平準化なんて出来るはずがありません。これならドラフト会議なんて要らないと思いませんか?。昔通りに完全に各球団が自由に交渉していた方がまだいいのかも知れません。選手の登録人数に制限があるわけですから、資金力に任せた競争にも限度がありますし。ともかく、一番良くないのは中途半端なこと。現在の制度では、一握りの有力選手にしか就職先選択の自由が認められていません。これは不公平だと思いませんか?。それが実力主義の社会だ…という見方も出来るのでしょうけど。


ところで、プロ野球の選手名鑑を見ると、必ずドラフト会議での指名順位が書かれていますよね。注目される存在である以上仕方がないのですが、これは非常にかわいそうだと思うことがあります。自分の履歴書に、常に最初に入った会社の採用試験の成績が書かれていると想像してみてください…それってとても嫌でしょう?

国家公務員でも、採用試験の合格順位がその後の出世コースに影響し続ける…という噂を聞いたことがあります。実際にそうなっているのかどうかはともかく、最初の成績だけで全てが推し量れるものではないということは、様々なところで実証されていますよね。今や世界に誇る名外野手となったシアトルマリナーズのイチロー選手は、ドラフト会議では4位指名だったわけですし。

逆に、1位指名の選手の中にも試合で活躍できずに引退していく人たちがいます。指名順位はプレッシャーにこそなっても、試合での成績に全然プラスには働きませんよね。もちろん、そのプレッシャーに負けずに活躍するのが真のスター選手なんですが。


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