科学雑誌「Newton」で、相対性理論の特集が組まれていました。物理の初心者に向けて相対性理論をわかりやすく説明するというテーマはしばしば取り上げられますが、何度読んでもやっぱり難しいですね。
今回の記事の中で一番おもしろかったのはカーナビと相対性理論の関係。カーナビでは自分の位置を知るためにGPSという人工衛星を利用したシステムを使います。地上とGPS衛星上の時計の進み方を比べてみると、衛星は高速で移動しているので特殊相対性理論により時計が遅れます。地上よりも地球の重力の影響が少ないので、一般相対性理論により時計は進みます。差し引きすると、衛星の時計は地上よりも1日あたり40マイクロ秒弱進むことになるのだそうです。「たったそれだけ?」と言うなかれ。これが地上では10キロメートル以上の誤差を生んでしまうのですから。
そして、厳密に合わせた時計の上で電波の届く時間差を使って三角測量をするわけですが、こうやって測定できる前提になるのは、どんな速度で移動している物体から発せられても光(電波も「光」の一種ですからね)の速度は変わらない…という「光速度不変の原理」。相対性理論を支える大前提です。まさにGPSは相対性理論の集大成なのですね。何度読んでも「訳がわからない」と感じる相対性理論も、実は日常生活のすぐ側で働いています。
最近、ネット世界で「ブログ」という言葉を見ることが増えました。いろいろなメディアで聞き慣れない言葉を見つけると、サーチエンジンにとりあえず問題の言葉を打ち込んで検索してみるのですが、検索結果の上位に登場することが増えてきたのがこのブログ(Blog)です。
当然、今回もGoogleに「ブログ」と打ち込んで調べてみたんですが、これは「ウェブログ」(Web log)が縮まってできた言葉だそうで、「Webに残す記録」と言った意味合いでしょうか。もともとは個人の手によって頻繁に記事が更新されているWebサイトのことを指した言葉だそうですね。アメリカでは9.11の同時多発テロをきっかけに、新しい個人情報の発信手段として脚光を浴びました。他のWebサイトで取り上げられた記事を引用して、自分の意見を付け加えるというスタイルが多いようです。
ところが、日本ではもうずいぶん前から個人運営のWebサイトは一般に広がっていて、こうした意味で「Blog」に相当するようなWebサイトは既に結構ありました。私の「SSK World」だって、広い意味で言えばブログの一つ…と呼べないこともありません。1週間に一度以上は更新しているわけですし、それを基本的には時系列的に並べた形で公開していますし。
私の周りでは、個人Webサイトを立ち上げてはみたものの挫折してしまった人も結構いて、そうした意味では日本では既に第一次ブログブームは過ぎ去りつつある…とさえ言えるのかも知れませんが、今のブログブームのポイントは「ブログツール」と呼ばれるものの存在です。ブログツールは、ブログのようなタイプのWebサイト制作を簡略化してくれるツールで、Web掲示板と同じようにテキストで記事を書き込んでいくと、自動的に体裁が整えられて見栄えのするページができあがります。
…と、これだけならパスワードなどで利用制限を掛けたWeb掲示板と同じなんですが、これだけでは終わらないんですね。同じブログツールを使った他のWebサイトから記事を引用すると、引用元に対してリンクしたことを伝えるメッセージが自動的に送られます。この「トラックバック」と呼ばれる機能こそがブログツールの最大のポイントでしょうか。アクセスログを分析していくと、私の全く知らない場所でSSK Worldの記事が参照されているのを見つけることがありますが、ブログツール同士の範囲内ならこれらを全て把握できるわけです。
ブログツールは、基本的には掲示板などと同じようにWebサーバー上で動いているプログラムですから、サーバーにセットアップした「ブログサービス」という形で提供されていることが多いようです。日本の最大手プロバイダ・@niftyでも提供されているくらいメジャーになっています。厳密に言うのなら、今日本で起きているのはブログブームと言うよりもブログツールブームなんですよね。
私のように既に個人でWebサイトをこまめに更新している(1週間程度では「こまめ」と呼べない…という方もあるでしょうけど)立場からすると、「ブログツールなんてなくたって大丈夫」という見方もできるかも知れませんが、ツールとしての魅力は確かにあると思います。結果的に同じようなものができあがるのなら、手間が省けたほうがいいですからね。それこそ携帯電話からでも更新できるという機動性もメリットになるでしょう。トラックバックによる各ブログサイト間の関係強化も重要なポイントだと思います。トラックバックが活用されると、自分が引用した元サイトには自分のサイトへのリンクが作られるわけですから、結果的には自分の文章が読まれる機会が増えてきます。
ただ、気をつけなくてはならないのは、読まれる機会が増える分だけそこに書かれた内容に対する責任も増えてくること。これはインターネット普及初期の個人サイトブームの頃でも同じ面があって、一見同じ「日記サイト」のようであっても、長い間に生き残っているのは、単に思ったことをそのまま書きつづったサイトよりも、多くの人に読まれることを意識したサイトなのではないかな?と思っています。少なくとも、私はそんなことに気を遣って文章を書いているつもりです。
少なくとも、本人の望むか望まざるかに関わらず、世界に自分の文章を公開していることは変わらないわけです。「私的な愚痴でも、Webサイトに公開すると誰かに聞いてもらったような気がして気が晴れる」なんて話もありますが、「聞いてもらう」と言うのなら、世界中から届くかも知れない様々な意見に耳を傾ける覚悟が必要な気がします。やっぱり、日記サイトは日記とは似て非なるものです。
ブログツールの登場によって、書いたものを公開することは確かに簡単になっているんですが、書くこと自体は決して簡単になったわけではないと思います。どんなに体裁が変わっても、メディアとしての、表現手段としてのWWWの本質の部分は変わらないような気がします。
私自身は、当面はブログツールの導入は予定していません。ただ、先にも触れたとおりその可能性は感じていますから、いろいろなWebサイト作成手法の中の一つとして、今後の検討対象ではありますね。
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