高速無線LAN内蔵を巡って・その後

衝撃にも慣れた?

レッツノートシリーズの今春モデルが店頭に並び始めました。やっぱり一番の注目は14.1型SXGA+液晶を搭載して1.5kgを切ったCF-Y2Cでした。Web上での情報では、「持ち上げてみるとびっくりするくらい軽い」と書かれています。しかし、実際に持ってみると…それほどには感じなかったんです。

考えてみると、CF-R1の登場以来レッツノートが軽さをアピールするのはこれで4度目。さすがにこれだけ同じような衝撃が続くと、軽いのが当たり前…という先入観が正当な評価を邪魔しているのかも知れません。

「キワモノ」じゃないの?

CF-R2が初登場した頃に「高速無線LANは内蔵できるのか?」という記事を載せました。技術的には可能だがいくつか障害がある…と言う話をしたわけですが、一つの障害が取り除かれたようです。玄人志向から、miniPCI用のIEEE802.11g対応無線LANモジュールが発売されました。これまで真っ当な手段では入手できなかったminiPCIの無線LANカードが、一般小売店の店頭で手に入るようになったわけです。

レッツノートに限らず、去年Centrino対応ノートパソコンを登場直後に購入したものの、無線LANの遅さにイライラしている人たちにとって、待ちに待ったアイテムかも知れません。もちろん、これを利用するためには愛機をバラバラに分解する覚悟が必要な人が多いのですが、それを厭わない「玄人」たちの要望を汲み取った商品化は、まさに玄人志向ブランドの面目躍如ではあります。

びっくりしたのは、この製品「802.11G-MPCI」が「セレクト」シリーズであること。パーツ自体は出所の確かな製品ですから「キワモノ」に分類する理由も特にないのでしょうけど、ノートパソコンを分解して内蔵…ともなると、多分に「キワモノ」の香りがして来ます。「セレクト」「キワモノ」の別については玄人志向のWebサイトをご覧ください。(この件については「追伸」も参照)

ただ、やっぱり気になるのは電波法との絡み。私の見解については前にまとめているわけですが、この商品はパソコンに組み込まれた状態で技術基準適合証明を受けてから利用しないと電波法に抵触する恐れがあると考えています。この場合「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と罰則も規定されています。罰金を払うくらいなら本体ごと新品に買い換えた方が良いかと思いますが、どうでしょうか。

サポートを極限まで切りつめている玄人志向ブランドですから、「パーツは売りますが適合証明はご自分で受けてくださいね」という建前なのかも知れませんが、それが現実に可能だとはとても思えません。それとも、実は私の法解釈が間違いで、この商品は合法的に組み込めるのでしょうか。もしそうだとしたら是非欲しい商品です。Centrinoでは対応していない、無線LANの高度な暗号化にも対応しているようですし。(このあたりの解釈については「高速無線LAN内蔵への展望」も併せてお読みください。)

CF-R2C、隠れた大改良点?

高速無線LAN関係で、もう一つ気になる話がありました。先月に、ようやくIEEE802.11g対応の高速無線LANを内蔵して登場したCF-R2C/T2C/W2C/Y2Cのレッツノートシリーズですが、これらの発売に合わせてレッツノートのWebサイトに「無線LANサポート情報」が新設されました。ここを覗いてみたところ、意外な事実が判明したのです。

Q&A集の中に、「アンテナは本体のどこに内蔵されていますか?」という質問が用意されています。CF-R2A/R2B/R1シリーズでは、アンテナは「液晶ディスプレイ左サイドに内蔵」と書かれています。ところが、CF-R2Cだとこれが「液晶ディスプレイ両サイド」に変更されています。アンテナが2つに増えたということになりますね。電波の受信性能がかなり向上しているはずです。前回「超マイナーチェンジ」と揶揄したのを取り消したい気分です。

見たところ全く筐体の形は変わっていないようなので、もしかすると従来の製品にもCF-R2C用のアンテナを取り付けて電波受信状況を改善できるかも知れません。miniPCIの無線LANモジュールには、もともとアンテナ端子が2個用意されているものが多いようですし。ただ、この場合でも問題になるのは電波法の壁。アンテナの増設なんて、無線機器の改造としては最もヤバい話ですからね。

松下電器さん、是非是非お願いします

これらの問題点をすべてクリヤーする方法は一つ。それは、レッツノートの製造元である松下電器で無線LANの取り付けをしてもらい、市販製品と同仕様にしてもらうことです。これなら、既に技術基準適合認証が済んでいることになりますから、法律上の問題はないはずです。

マイレッツ倶楽部」で購入したWeb直販モデルでは、買ってから1年が経過した後で、松下電器の神戸工場に本体を送ってオーバーホールをしてもらう…という「レッツノートクリニック」サービスを受けることができます。このときに天板の色の変更などもしてもらえるそうですが、こうしたサービスが提供できるのなら無線LANの後付けも決して不可能な話ではないと思います。…何とかなりませんか?

注意!

この記事の中には、電波法とその運用に関して解釈の誤っている箇所があります。
必ず「高速無線LAN内蔵への展望」も併せてお読みください。

(追伸)
今回取り上げた玄人志向の「802.11G-MPCI」の分類は、やっぱり「キワモノ」シリーズが正解だったようです。Webサイトの製品情報が当初は「セレクト」シリーズに載っていたのですが、改めて見に行ってみたら「キワモノ」シリーズに引っ越していました。



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