「2倍以上」の根拠
前回で無事CPUとメモリの交換が済み、自作タワーの内部グレードアップが完了しました。CPUクロック周波数は1.6GHzから3.2GHzと2倍になりました。前のマザーボードで動かしていた頃の2.13GHzと比べても1.5倍になっています。「1.5倍」とか「2倍」とか言いましたが、実際のところどのくらい高速になったのかは気になるところ。いろいろ試してみることにしました。
CPUの処理能力だけを向上させても、周辺がそのままの場合は期待したほどの性能向上が見られないのが普通ですが、今回の場合は各デバイス間でのデータの流れまで含めて全てレベルアップしていますから、CPUの処理能力向上にほぼ見合った結果が期待できます。マザーボード交換前と比較するとベースクロックは1.5倍速(133MHz→200MHz)、ビデオカードとの接続は2倍速(AGP 4x→AGP 8x)、メモリとの接続に至っては実に3倍速(2.1GB/s→6.4GB/s)ですから。ここに、さらにCPUの処理能力を向上させるハイパースレッディング(前回の記事を参照;以下HTと略)の効果も加われば、総合で「2倍以上」も期待してしまいます。
合わせ技で額面以上に
それでは結果を見ていきましょう。まずは、このところ毎回使っているCrystalMark 0.8の結果から。なお、上から3段目の「8IPE1000 Pro2@2.13GHz」というのは、前に考えたとおりCPUは1.6AGHz版のままでメモリだけをPC3200に付け替えて、ベースクロックを133MHzに上げて(メモリは354MHz動作×2)動かしたものです。
CrystalMark 0.8 ; ()内はGA-8IEXP@2.13GHzとの比較% | |||||||
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Machine | ALU | FPU | RAM | HDD | GDI | D2D | Mark |
8IEXP @2.13GHz |
5996 | 4450 | 7074 | 7664 | 6981 | 5906 | 38071 |
8IPE1000 Pro2 @1.60GHz |
4485 (75%) | 3322 (75%) | 8938 (126%) | 7302 (95%) | 7995 (115%) | 5266 (89%) | 37308 (98%) |
8IPE1000 Pro2 @2.13GHz |
5912 (99%) | 4386 (99%) | 9476 (134%) | 7228 (94%) | 10198 (146%) | 5460 (92%) | 42660 (112%) |
8IPE1000 Pro2 @3.20GHz (HT off) |
8827 (147%) | 6474 (145%) | 12698 (180%) | 7240 (94%) | 11464 (164%) | 5891 (100%) | 52594 (138%) |
8IPE1000 Pro2 @3.20GHz (HT on) |
10923 (182%) | 10973 (247%) | 16010 (226%) | 6863 (90%) | 10849 (155%) | 5861 (99%) | 61479 (161%) |
総合力を示すMark値で見ると、クロック数の向上分50%に対して38%の数値上昇が見られ、かなりがんばったと言えると思います。さらにHTの効果を上乗せすると、数値上昇は61%まで伸び、クロック数向上分を上回ります。HTによる速度の向上は約2割といったところでしょうか。さらに、1段目と3段目を比較すると、マザーボードの交換分だけで1割以上の性能向上が得られている…という見方もできそうです。まあ、ベンチマークの得点というのは各ベンチマークのポリシーによって決まるものですから、総合点で何%向上したかを見るのは難しいのですが。
やっぱりソフト次第
次に、レッツノート・CF-R2の実力テストにも使ったSuperπを試してみましょう。このプログラムの場合、内部でマルチスレッドが考慮されていないためか、HT技術が有効か無効かにかかわらず、結果は全く同じになりました。それにしても、クロック向上分以上に高速化しているのには驚きました。メモリとのやりとりが多いテストなので、メモリアクセスの高速化が大きく影響したのではないかな?と思っています。
Superπ 1.1 104万桁 | ||
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8IEXP @2.13GHz | 1分27秒 (100) | |
8IPE1000 Pro2 @3.20GHz (HT off) | 47秒 (185) | |
8IPE1000 Pro2 @3.20GHz (HT on) | 47秒 (185) |
これまた実力テストで使った、Shadeによる3次元CGのレンダリングも見てみましょう。使った元データもあのときと同じです。Shadeではレンダリング時のオプションで生成スレッド数を変更できるので、HTを有効にしたときのみスレッド数を2にしてレンダリングを行いました。こちらはクロック数に比例して速度が向上、HTによりさらに2割上積み…という、CrystalMarkと同様の傾向を示しました。
Shade R5 Personal | |
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8IEXP @2.13GHz | 10分45秒 (100) |
8IPE1000 Pro2 @3.20GHz (HT off) | 6分48秒 (158) |
8IPE1000 Pro2 @3.20GHz (HT on) | 5分32秒 (194) |
3次元リアルタイムCGの定番ベンチマーク、3DMarkの結果も載せておきます。ビデオカードのより高度な演算機能を活用する3DMark03では、3DMark2001SEと比較して数値の伸びが少なかったのではないかと考えています。ここでもHTの有効・無効の差が非常に少なかったため、HT有効時の値のみを載せています。
3DMark Series | ||
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Machine | 3DMark2001 SE | 3DMark03 build340 |
8IEXP @2.13GHz | 11842 | 4340 |
8IPE1000 Pro2 @3.20GHz (HT on) | 16744 | 5092 |
これらの結果を見ると、CPUの高速化はソフトウェアの種類を問わず性能向上に現れていますが、HTの効果は各ソフトウェアの対応次第…ということが裏付けられました。しかも、HT有効時の方が無効時よりも遅くなるという例(例えばCrystalMarkのHDDやGDIがそうですね)もあります。工場で2個の搬入口から入る資材をラインに振り分けるのにも労力が必要なように、HT技術を導入することにより増えてしまう仕事もありますから、場合によってはそういうことも起こり得るのでしょう。
ただ、重要なのはWindowsでは常にバックグラウンドで働いているプログラムが少なからず存在すること。これらも含めて全体で考えれば、HTの出番は常にあることになります。実際に、突然バックグラウンドでウイルス検索が始まったりしても、フォアグラウンドで動作しているアプリケーションのパフォーマンスへの影響はほとんどありません。操作の快適さには貢献してくれそうです。
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