刃の向こうはネットの闇か

今晩に浜松市営球場で予定されていたプロ野球・中日ドラゴンズ対広島東洋カープの一戦は、悪天候により中止になってしまいました。年に一度しかない地元での試合ですから、流れてしまうのはとても残念。ただ、これでドラゴンズは負け試合を一つ拾えるのかも…という話もあるわけで、何だか複雑な心境です。ともかく、今年はナゴヤドームに見に行きたい!という気持ちが強くなりました。

時間が空いてしまったので、もうとっくに使わなくなっていたのに部屋に出したままになっていた石油ファンヒータと電気カーペットをしまい、扇風機を出しました。ようやく私の家の冬も終わり、一気に夏に突入です。これでまた扇風機が11月頃まで出ていたりするんですよね。思い立てばすぐできることなのに、片付けというのはなかなか進まないものです。そろそろ部屋の家財道具も整理したいんですが。


先週は、長崎県で小学生の女の子が同級生の女の子にカッターで斬りつけて殺してしまった…という事件に衝撃を受けました。殺人などの犯罪の低年齢化が問題視され、これに対して刑法の規定が改正されてきたわけですが、現実世界の方はそんな対応をあざ笑うかのように暴走し続けています。これ以上刑法の処罰対象になる年齢を下げても意味ないでしょうね。だいたい、これ以上幼い子に法律の意味が理解できるのかどうか。

最初は「低年齢化」を軸にして語られるのかと思っていたこの事件ですが、その後報道が進むにつれて、思わぬ側面が見えてきました。ネット掲示板上での書き込みが、犯行の動機に深く関わっていたのだとか。ネット上での文字だけによるやりとりの危うさについては、私も日頃から感じていたところです。実際に、私自身もメールのやりとりから友人関係をかなり険悪にしてしまったこともあります。今回の事件の子たちは、学校でも毎日顔を合わせるクラスメートですから、「殺してやる」と思うまでになる前に、関係が修復できる機会はいくつもあったはず。何とかならなかったのでしょうか。

今回のことで、小学生のネット利用に対してどのように教育していくのか、あるいは規制をかけていくのか…といった意見がいろいろと出てきています。ただ、「教育」とは言っても教える側の体制は全然整っていないのが実情なのだそうです。特に問題なのは、教えられるだけの知識を持った先生が少ないことだとか。「規制しよう」という話が出るのも、大人たち自身が子供たちに正しく使わせる自信がないことの裏返しかも知れません。

大切なのは、画面に並ぶ文字の向こうにも自分と同じ一人の人間がいるのだと意識できるかどうか、そしてその相手を思いやる気持ちが持てるのかではないでしょうか。決してネット世界に特有の話ではなく、人と人とが関わっていく上で共通の大事なことだと思います。考えてみると、パソコンを使うようになってから自分自身も人付き合いが下手になったような気がします。やっぱり、より直接的なコミュニケーションが大事なのでしょう。


この事件が起こって以降、カッターナイフを使って人を傷つける場面があるテレビ番組が、相次いで放送を自粛しました。この手の対応は「視聴者に嫌なイメージを与えるから」としてしばしば行われるわけですが、いつも思うのは、それならその事件が起きなければ何の問題もなかったのか?ということ。確かに状況の変化があったから…ということではありますが、多かれ少なかれ嫌なイメージを与えるかも知れないことは変わらない気がします。ただ、その一方でそれを言って全て規制してしまったら、映像を作る側も何もできなくなってしまうんですよね。

また、この事件のきっかけの一つとして挙げられているのが映画「バトル・ロワイヤル」。中学生が殺し合いをするという衝撃的な内容で、結局R-15指定となったため主役である中学生たちは見ることができなくなってしまった映画ですが、斬りつけてしまった子はDVDをお姉さんの会員証を使って借りたのだとか。totoの購入なんかでもそうですが、大人にお願いすれば子供だって年齢制限付きのものを手に入れることは可能ですよね。そこで大人がどう対応するのか?…そこがポイントになります。

インターネットも含めて情報の伝達手段が多様化している現在、放送取りやめにしても対象制限にしても一面的なものに過ぎず、それで問題を完璧に覆い隠すのは不可能だと思います。それなら、敢えて隠さずに見せた上で、子供たちの判断をアシストするのが大人の役目のような気もします。押しつけにならないように、でも望ましい方向に導く…というのが理想ですよね。もちろん、それは非常に難しいことですが。


ところで、この事件に対して、閣僚の面々が相次いで「不適切発言」を行って波紋が広がっています。「元気な女性が多くなってきた」とか、さらにそれを受けて「私の若い頃は放火は女性の犯罪。カッターで切るのは大人の男の犯罪」とか。単独で取り上げても女性蔑視につながる発言と取られかねないのに、こんな状況下でどうしてそんなことを言えたのか理解に苦しみます。

国務大臣ともなれば、どんな状況でも自身の発した言葉が社会に重大な影響を与えることは理解しているべきだと思います。本人が後からどんなに釈明しても、一度出てしまった言葉は元には戻りません。ましてや「冗談だった」なんて通用しないんです。自分一人の行動に対する反応も読めないような人に、国の、世界の様々な状況の変化を的確に読んで政策を展開することが果たしてできるのでしょうか。非常に大きな不安を感じます。


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