8月20日から、地元・浜松市の公共交通を一手に担う遠州鉄道で新しいサービスが始まりました。電車やバスの運賃支払いに、非接触式ICカードの「ナイスパス」が使えるようになったんです。
バスの乗降口や電車の改札口に設置された読み取り機にナイスパスのカードをかざすだけで、整理券を受け取ることも切符を買うこともなく、簡単に運賃を支払うことができます。残額の少なくなったカードには金額を追加(チャージ)するので、同じカードを使い続けることができて、省資源にも貢献しています。「便利なエコライフ」を実現するアイテムの一つといえるでしょう。
非接触式ICカードによる交通機関の運賃支払いシステム自体は、JR東日本のSuicaなど既に先行している例がいくつかありますね。ただし、バスと鉄道を同じ非接触式ICカードで利用できるサービスとしては、このナイスパスが日本で初めてのものになるのだそうです。乗車履歴をカードに保存しておけば、電車とバスの相互乗り継ぎ割引…なんてサービスも簡単に実現できそうです。また、定期券ではないプリペイドカードでも基本的に個人データを登録するところはSuicaと違います。購入は面倒ですが、一方で紛失したときに利用を停止して残額を引き継げる強みがあります。
ナイスパスのカード(写真右)を見ると、同様のいわゆるプリペイドカードであるSuicaイオカード(写真左)とそっくりです。おそらくハードウェアとしては同じシステムが使われています。そうなると、将来的には携帯電話に内蔵された非接触ICカード機能で乗車する…という展開も考えられますね。
そういえば、「Suica」も、JR西日本の「ICOCA」も、そしてこの「NICE PASS」も、ネーミングの中に「IC」という文字がきっちりと盛り込んであります。新技術を前面に出してアピールしたい気持ちはよくわかるんですが、少々強引な気もしないでもありません。
私は通勤に遠鉄電車を使っていますし、普段からバスもときどき使いますから、サービス開始前にナイスパスのカードを予約しておきました。カードはサービス開始前の8月10日頃に届きました。本来だとカードにはデポジット(保証金)が500円かけられていて、これもSuicaと同じなんですが、今のところはキャンペーン中で無料となっているようです。
購入したカードには、まだお金は一切入っていませんから、利用するにはチャージを行う必要があります。チャージは鉄道駅の改札前の自動販売機やバスの運賃箱で行えるようになっていますから、特別面倒な作業でもありませんが、一つ気になったのがこれまで使われていた磁気カード方式のプリペイドカード、ETカードの扱い。5,000円近くの残額があるETカードが手元にあったので、ナイスパスはまずはこれを使い切ってから使うことになるのかな?と思っていました。一度ナイスパスを使ってしまったら、ETカードは面倒くさくて使わなくなるかも知れないと思ったんです。
ETカードの残額を、そのままナイスパスに付け替えてもらえばいいのに…と思い、浜松駅前のバスターミナルで試しに聞いてみたところ、私の期待していたとおりに残額分を丸ごと付け替えてもらえるのだとか。これなら全く問題ありませんよね。作業はその場ですぐに終わり、帰り道には私の財布の中は完全にナイスパスモードに切り替わりました。
事前申し込み制ということもあってか、まだナイスパスを利用している人はあまり見かけません。整理券を取ってバスに乗る人たちを横目に、カードを読み取り機に当てて電子音が響くのを聞くとちょっとした優越感に浸れます。
ただ、しばらく使っているうちにちょっと不便を感じるようになりました。それは、 飛び乗るときに面倒になったこと。これまでは、何も用意しておかなくてもとにかくバスに飛び乗って整理券を取れば、あとは車内でゆっくり支払いの用意をすれば良かったわけですし、電車の場合でも車内で切符が購入できますから問題ありません。しかし、ナイスパスを活用しようとすると、乗るときに必ずカードを機械に当てることが必要になります。ほんの少しの準備をすれば済む話ですし、そもそも早めに行動するようにすれば解決できるんですが、何だか違和感を感じていました。
ただ、ちょっと考え方を変えれば何とかなるものです。というのも、非接触式ICカードはこれまでの磁気式カードと違って、直接機械などの中を通さなくてもいいわけですから、電波さえ届けばそもそも財布などから出す必要がありません。バスに飛び乗ったときに財布をそのまま読み取り機に近づけてみたら、見事にカードの読み取りに成功しました。それ以来、普通に使うときでも財布をそのまま読み取り機に近づけています。これならずいぶん楽ですよ。
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