2軸回転はリボルバーを超えるのか

6月に2球団の合併が明るみに出てから混乱が続いている日本プロ野球界。ついに、「労働組合」である選手会が日本プロ野球史上初のストライキ実施を掲げての労使団体交渉…という事態になりました。これまで無視し続けていた経営側が話し合いに応じ、辛うじてこの週末のスト決行は回避された訳ですが、これも単に問題を先送りしただけ…という感が強いですね。全く予断を許しません。むしろ来週末にはどんな状況になっているのか、怖さだけが増した気がします。


ちょっと前にも話題にしましたが、KDDIのauが昨年からサービスを開始した「ブロードバンドケータイ」・CDMA 1X WINに対応した新しい端末が登場しています。最初に登場したW1xシリーズは、CDMA 1X仕様のA55xxシリーズと比べると端末の機能が大きく見劣りして、とてもじゃないけど購買意欲をそそらない…という代物でしたが、今回はひと味違います。

この夏登場のW2xシリーズではカメラの画素数が増え、EZナビウォークやBREWアプリへの対応も進み、パソコンとのケーブル接続で2.4Mbpsのデータ通信が可能になる(パケット定額制の対象にはなりませんが)など、それまでの弱点をほぼ克服し、「最上級機種」と呼ぶにふさわしい仕様を備えています。ちょうどNTTドコモのFOMAが2000番台から900iシリーズに変わったときのような印象を受けますね。今後のauの高級機はWINだけになるのではないでしょうか。FOMAとは違い、地上側設備に互換性が確保されているので、移行におけるマイナス要素は思いつきません。

登場した3機種の中で、私が一番注目していたのがW21SAでした。三洋電機の作ったこの端末は、200万画素でオートフォーカスのカメラ、そのカメラで撮影した画像をテレビやプリンタにつないで直接出力できる機能、電子コンパスで地図の向きを方角通りに合わせるEZナビウォーク、放送中の曲の「着うた」をダウンロードできるFMラジオ、デジカメOCR機能付きの英和辞書、8時間も録音可能なICレコーダー…と、まさに思いつく限りの機能を盛り込んだ超高性能機です。

しかし、それ以上に気になったのはそのスタイルそのもの。基本的にはいわゆる折りたたみ型なんですが、液晶画面部分に回転機構が付いていて180度ひねれるようになっています。2.4型の大型液晶画面を表に出したまま折りたためるようになっているわけです。「2軸回転型」などとも呼ばれるこの方式は、最近NTTドコモボーダフォンの端末で増えてきて、auの端末ではこの機種が初めての採用になります。

大画面が表に出た形状といえば真っ先に思い出すのが、auの京セラ製端末やNTTドコモのソニーエリクソン製端末で採用されている、液晶画面が水平に回転する方式。特に「リボルバースタイル」と銘打たれた京セラ製端末は完成度が高く、昨年登場してから私はずっと注目していました。2軸回転型は、従来の折りたたみ型にこれら水平回転型のように使える要素も取り込んだ仕様であると言えるかも知れません。俄然興味がわいてきました。


そんなわけで、私にとっての次世代ケータイ候補に浮上したW21SA。あとは、実際に操作してみて納得できれば購入しよう…というところまで決めました。しかし、この機種は予想通りの大人気で店頭にも在庫がなく、8月中旬の登場当初は動作するデモ機も出回っていませんでしたから、評価のしようがありませんでした。仕方がないので、「とりあえず予約しておいて、気に入ったら購入する」ということにして、入荷するのを待ちました。その後、予約した端末が届くよりも前に、動作するデモ機が店頭に出始めたので、早速いろいろと試してみました。

ところが…正直なところがっかりしました。液晶画面を表に出したスタイル(三洋では「フロントスタイル」と呼んでいますが)での操作性があまりにも悪いんです。フロントスタイルで操作するために本体左側にずらりとボタンが並んでいるんですが、ケータイを左手で持って使う私にとっては、そのままだと親指だけですべてのボタンを操作する羽目になり、これでは全然使えません。ただ、右手で持ったとしても人差し指から小指までを駆使することになり、やっぱり使いにくいのですが。しかもカーソルの上下移動キーと左右移動キーが一直線に並んでいて、これでは直感的に動かせるとは思えません…これは慣れの問題なのかも知れませんが。

余談ですが、このときに右手で持つのか、左手で持つのかというのはおもしろい問題ですね。これがケータイの設計を決めてしまいます。ほとんどの機種では、右手で持つことを前提に作られています。通話するときには受話器を利き手の右手(私はそうではないんですが)で持つことが多いですから、その延長線上にあるのだと思います。しかし、件のレボルバースタイルでは、左手で持つことを前提とした設計になっています。こちらは、ケータイを手帳などの延長線上にある情報端末として捉えているのだそうですね。思想の違いが鮮明に出ています。


百歩譲って、この右手型複雑操作系に慣れたとしましょう。それでも決定的に許せなかったのが、フロントスタイルから通常の開いたスタイルに変形させるのがあまりに面倒なこと。このW21SAに限らず、2軸回転型の端末は90度くらい開いたところでないと液晶画面を回転できませんから、例えば新着メールをフロントスタイルで読んで、返信するために数字キーを表に出そうとすると、「開く→ひねる→さらに開く」という3段階のアクションが必要になります。リボルバースタイルなら、閉じた状態から画面を回転させるだけで、ボタンを何も押さなくても返信メールの編集画面が出てきますからね。その差は圧倒的です。

もともと、折りたたみ型により内側に入ってしまった液晶画面を表側に出して使おう…という発想が2軸回転型になったと思うんですが、一度表側に出してしまうと、それをあえて内側に納める必然性を思いつきません。「液晶画面の保護」があるのかも知れませんが、もともと2軸回転型端末では液晶画面の表面は強化されていますから、あまり神経質になることではないような気がします。ストレート型端末の頃には露出していたものですし。

そんなわけで、予約してあったW21SAはキャンセルしました。どうやら、私にとっては2軸回転型はリボルバースタイルを超えるどころか、全然及ばないものだったようです。CDMA 1X WINへの乗り換えを考えるのは、リボルバースタイルの「W2xK」が登場するまで待つことにしましょう。…FOMAの「SO901i」なんかが出てくると、完成度次第では買ってしまうかも知れませんけどね。


週末のプロ野球の試合は大いに盛り上がりました。セ・リーグでは、首位の中日ドラゴンズになかなかリーグ優勝へのマジックが点灯しません。パ・リーグでは、既に上位2チームのプレーオフ進出が決まり、開幕前の予想通り3位争いが白熱しています。しかし、そんな熱戦もすべてもっと大きな問題の前にかすんでしまいます。もしストライキ決行となると、優勝争いという言葉自体が無意味なことになりかねません。もはや半端な決着はあり得ない事態。私たちは見守るしかありません。


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