AirH"に飛びつかなかった理由
前回の記事から使うようになった新しいPCカード型H"端末・AH-H407P。前回書いたとおり、ほとんどレッツノートに差しっぱなしの状態で持ち歩いています。どこにいても、市街地ならほぼ確実に公衆回線に接続できるのがH"の強み。必要なときにアンテナを引っ張り出すだけで使えるこの感覚は、かつてレッツノートシリーズでも登場したことのあるH”内蔵モデルに通じるものがありそうです。…いや、普段は収納できて全く存在感を感じさせない点ではそれ以上かも。
カードの真ん中には、最近この業界ではすっかりお馴染みとなったAirH"(えあえっじ)のロゴが燦然と輝いています。AirH"はPHSの回線にパケット通信のデータを乗せた通信サービスで、DDIポケットが2001年に提供を始めました。1回線あたり32kbpsで、これを4回線束ねて最大128kbpsの通信が可能になっています。
AirH"のサービスが始まったときには、32kbpsパケット通信が使い放題の「つなぎ放題コース」と、32kbpsパケット通信と64kbps回線交換を自動で切り替える「フレックスチェンジ」による「ネット25」という準定額コースが用意されました。これらの料金コースは、私にとっては接続速度が落ちるのに利用料は2倍近くの5千円台になる…というイメージが強く、魅力的には映りませんでした。出先でしか使わない私の場合、月々の利用時間は1時間未満。これでは使い放題のメリットは生きませんし、それどころかネット25の25時間分ですらとうてい使い切れません。
その後128kbpsで利用可能な「つなぎ放題コース」の「オプション128」が登場しましたが、いくら高速になるからと言っても合計で1万円近くを払う気にはなれません。さらに、AirH"には対応端末が必要なので、新規よりもずっと高い費用で機種変更をしなくてはなりませんでした。いろいろと考慮した結果、当時の私はAirH"への乗り換えはせずに従来のPIAFS接続で使い続けることにしました。
怒濤の割引攻勢
しかし、AirH"が登場してから3年以上が経ち、状況はいろいろと変わりました。まず大きな変化だったのが、「つなぎ放題コース+オプション128」 以外にも128kbpsのパケット通信を利用できるコースが選べるようになったこと。基本料金のみで月に20万パケット(約24.4MBだそうです)使えるパケコミネットは4,935円。そして5,670円に値下げされた「ネット25」でもフレックスチェンジ方式以外に128kbpsパケット通信が使えるようになりました。ネット25ではパケット通信でも時間課金なのでデータ量課金のような経済性はありませんが、逆に大容量のデータをダウンロードするときには圧倒的にお得です。
さらに大きな変化は、自宅のブロードバンド回線とペアにするだけで基本料金が15%も割引になる「A&B割」(えーびーわり)というサービスが登場したこと。系列会社のサービス同士を契約すると割引…というサービスならこれまでも結構よく見かけたんですが、DDIポケットはそんなケチなことは言いませんでした。ブロードバンド回線の対応プロバイダリストは実に膨大で、ほとんどの人は「あっ、うちも対応してる」ということになるはずです。
実は、それ以上に効果があったのはこの間ずっとH”を使い続けてきたことかも知れません。既に利用歴は5年目に突入していますから、長期割引が最大限の10%分(3年超)受けられます。もともと年間契約をしていますから利用料は15%引き。A&B割も登録してネット25を契約するなら、実に40%引きの3,402円になってしまいます。
一方、これまで契約していた「データパック」では、基本料金の2,362円(長期割引10%引き+年間契約15%引き後)に1,260円分の通信料が含まれています。利用状況も加味しながら試算すると、約3時間以上利用するとネット25の方が安くなります。これまでの実績ではそんなに長時間使ったことはありませんが、料金が変われば使い方も変わるという面がありますし、今回はネット25で契約してAirH"の世界を体験してみることにしました。
確かに速い…が
先に触れたとおりネット25では2種類の通信方式が使えますが、まずはAirH"ならではの128kbpsパケット通信を試してみました。額面上はこれまでの2倍になっているだけに、通信速度が上がっているのは十分体感できます。一方のフレックスチェンジは、最大速度が変わっていないこともあり、これまでと同じくらいの感覚です。
さらにAirH"の体感速度を上げるために用意されているのがトルネードWeb。これは、送受信するデータを圧縮して実質的な通信速度を稼ごうとするものです。
特に、Webサイトの画像については→こんな風に大胆に非可逆圧縮を行うモードも選択できます。
確かに、この機能を使うとWebサイトの表示はかなり加速されます。ただ、ページ内容が表示され始めるまでにちょっと待たされるのが気になりました。圧縮する時間がかかるわけですから当然といえば当然の話なんですよね。それでも、データ量課金のコースで使うのなら、ちょっと時間がかかっても圧縮されていた方が経済的になるわけですが、時間課金のネット25の場合には表示されるまでの合計時間が命。データの状態やサーバー・クライアントの能力によっては圧縮を使うのと使わないのでどちらが経済的かちょっと微妙な話になるかも知れません。
確かに切れにくい…が
しばらく使っていて気が付いたのは、移動中の通信で回線が切断されにくくなったこと。通信の安定性は、AirH"の…というよりパケット通信の特性の一つで、DDIポケットのWebサイトによると、途中で電波状況が悪くなっても、数分以内に状況が改善すれば回線は切断されることなく、継続して利用可能なのだとか。
切れにくさを検証するために、実際に東京から浜松までの新幹線の中でAirH"の128kbpsを利用し続けてみました。この間回線が切断されたのはたったの2回。これまでのH"だと切断されていた静岡~浜松間では一度も切れませんでした。圧倒的な安定性です。これなら、大きなファイルをダウンロードするのも安心ですね。
ただ、これも定額制やデータ量課金で使うのならメリットが大きいと思うんですが、ネット25の時間課金だとデータのやりとりが出来ない間も課金されてしまうわけで、これでは何だかものすごく損したような気分になります。それでも、ケータイのようなデータ量課金のパケット通信と比べれば十二分に安価な設定になっているんですけどね。さすがに使い放題にはかないませんが。
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