守りたいモノは何?
今回のキーワードは「守る」ということなんですが、特にここで守りたいのは液晶ディスプレイ。非常に薄いガラス板の間に流体である液晶を封入している液晶ディスプレイは、ノートパソコンに使われているパーツの中では最もデリケートなものの一つです。これが付いているが故にノートパソコンは「ワレモノ」扱いになるわけですね。梱包方法にも一工夫必要になります。これまでも、この点については持ち運ぶときの鞄などいろいろと配慮をしているところです。
衝撃から全体を守る以外に、「表面を守る」という方向性があります。液晶ディスプレイ表面には、紫外線を遮断したり外光の反射を抑えたりするコーティングが施されている他に、傷が付きにくいように表面硬化処理が行われていたりもします。それでも、傷が付いてしまう可能性はゼロではありません。液晶ディスプレイのパネルを丸ごと交換するのは大変なことですから、さらに外側に何かを被せて守りたくなるわけです。
これとは別に、「画面表示を守る」という発想もあります。特に外出先だと、ノートパソコンの画面は公衆の面前にさらされることになります。そして、「パーソナルコンピュータ」である以上、この画面にはしばしば個人のプライバシーに関する事が表示されます。仕事に使っている場合は、外部に漏れてはならない機密事項もあるかも知れません。これらをのぞき見されないようにすることも、場合によっては必要になります。毎週自分の行動を世界に向けて開けっぴろげにしている私にとって、果たして守るべきプライバシーが残っているのかどうかは微妙なところですが。
プライバシーの値段
そんな私が今回新しく導入したのが、住友スリーエムのPF10E。「セキュリティー/プライバシーフィルター」と銘打たれた製品です。写真を見るだけでも、四角いフィルターにグラデーションがかかっているのがわかるかと思います。ちょうど簾のように縦向きに細かく格子を入れることで、横方向の視野角を規制するという構造になっているのだそうです。
実際に画面上に載せてみると、正面から見たときはほとんど変わらないんですが、
横からのぞき込むようにしてみると徐々に画面が暗くなり、
45度くらいの場所ではほとんど見えなくなりました。思っていた以上に強力です。フィルターを載せていない側の画面を見ると、ほとんど色が変わっていません。液晶ディスプレイの視野角性能の向上を実感しますね。裏を返すと、性能が良すぎるせいでこんな細工が必要になっているんですが。
この前東京に出かけたときに、約9,000円で購入してきました。これまでも、ディスプレイ表面には保護用のフィルムを被せていたんですが、これは1,500円くらいで買ってきたもの。もちろんプライバシー保護のための構造がコストに跳ね返っているはずですが、反射低減や表面の保護などの処理にも6倍の価格差相応の高級感があります。
プライバシー保護の代償…むしろ効能?
プライバシーフィルターは、早速移動中の新幹線車中などで効果を発揮しています。書きかけの原稿や電子メールのやりとりも、横から覗かれることはありません。ただ、しばらく使っていて気が付いたのが、これまでよりも目が疲れるようになったこと。それも、画面に顔を近づけるほど加速度的に疲れが増すような感覚があります。
試しに右目のすぐ前、左目のすぐ前にカメラを据えて撮影してみました。右目から見ると画面の左側が、
左目から見ると画面の右側が真っ黒になっています。もちろん、視野角をプライバシーフィルターが規制しているからこうなるわけですが、この結果両目を使って見られる範囲は狭くなり、これが目の疲れる原因となっているようです。
画面から目を離すようにすれば、この状況はかなり改善されます。もともと、あまり近くで画面を見続けるのは目にとって良いことではありませんし、意識して遠くから画面を見るようにしています。ただ、画面が遠くなると文字も小さく、読みにくくなるわけで、画面のコントラストを確保できる場所で作業することも重要になりそうです。もちろん、これもプライバシーフィルターの有無に関係なく快適に作業するためには常に効いてくる条件ですよね。
何より大事なのは自分の目と画面を正対させることです。このため、使うときの姿勢もこれまでより少し良くなったような気がします。良い姿勢は、目だけでなく身体全体の疲れにくさに貢献します。プライバシーフィルターにはこうした意外な効能もあるのかも知れません。
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