何だか前回の続きみたいな話ですが、浜松駅前で半日時間が空いたときに、TOHOシネマズに足を運んで映画「ハウルの動く城」を見てきました。日本の世界に誇るアニメ制作集団の一つ、スタジオジブリの最新作ですね。アニメ映画を見たのはずいぶん久しぶりでした。そう言えば、それ以前に映画館で邦画を見たことそのものが久しぶりです。
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休日の午後ということで親子連れをたくさん見かけましたが、他にも様々な年齢層の人たちがいました。かつてはアニメ映画というと「子供たちのための娯楽」というイメージだったわけですが、今は全然違います。実写の映画と変わらない物語性を持ち、ただ表現するための手段が違うだけというすばらしい作品が数多く登場し、アニメ映画もすっかり「大人の映画」として市民権を得た感じです。かつてのアニメ世代がそのまま大人になっただけ…という見方も出来るわけですが。
まず、画面の美しさに心を奪われました。昔から宮崎駿監督の作品は空を飛ぶシーンが印象的なんですが、この作品でも登場人物たちは期待通りに自由に飛び回り、スピード感あふれる映像を見せてくれます。最近は3次元CGが使えるようになって、さらに表現の幅が広がったのではないかと思います。入り組んだ街並みをくぐり抜けるのもずいぶん楽になったはずです。もちろんそれを手抜きのために使うのではなく、さらに一段上を行く表現のために使うわけですが。
CGに限らず、背景の景色も実に美しいですよね。セル画で作られているキャラクターたちも実に生き生きとしています。アニメ映画中でもCGの使われることが増えてきたわけですが、「絵」として表現されているからこその味わいは捨てがたい気がします。どのくらい作業が自動化できるのか詳しくは知らないのですが、セル画は基本的には超高速紙芝居。莫大な作業量の上に生まれる作品です。
そんな美しい絵がめまぐるしく変わるのを見ながら2時間が過ぎました。確かに楽しめたんですが、肝心のストーリーの方がどうもわかりにくかったですね。最後まで解決できなかった謎がいくつか残りました。どうもすっきりしないので、これから原作本を買ってきて読んでみることにします。一応は大人である私でもそうだったのですから、ましてや子供たちにはあの映画の世界を理解するのはちょっと難しかったかも知れません。まさに今どきの「大人のアニメ」だったようです。
この「ハウルの動く城」では、ハウル役にSMAPの木村拓哉を起用するなど豪華なキャストも話題になりました。最近、洋画やアニメの吹き替えでこうして「声」が専門ではない人が起用されることが増えています。話題作りという面もあるのでしょうけど、俳優の皆さんにとっては「声だけで表現する」というこれまでにない難しさへの挑戦と受け取られている気がします。声優という仕事への注目度が上がってきているのではないでしょうか。
映像を見ていると、キャラクターの絵作りに声の出演者のイメージが色濃く出ているのを感じました。強大な魔力を持っているけれど繊細な心を持つ青年・ハウルのビジュアルは、細身の体型に長い髪…と、まさにキムタクのイメージそのもの。まあ、ちょっと線が細すぎる気もしましたけどね。さらに、美輪明宏が演ずる「荒地の魔女」のビジュアルは…デフォルメの効いた表現に思わず笑ってしまいました。
実写の映画とは違い画面の全てを思い通りに出来るアニメの中でも、話し声は未だに人間の力に頼らざるを得ません。話している内容がわかる程度の音声合成は存在するわけですが、感情のこもった会話を表現できるような声の合成にはまだほど遠いようです。声はそれほど極端に変えられない(もちろん専門の声優たちはものすごい声色を持ってるんですが)とすれば、ある程度は絵の方が合わせるしかありませんよね。もっとも、この場合は最初からキャストが決まった上で、絵を作る側が彼らの持つイメージを利用したということでしょうけど。
一方で、これは俳優が実際に身体を使って演技してもらう代わりに、声だけで演技してもらって映像は制作者側が作っているんだ…という見方をすれば、実写映画のCG利用とそれほど変わらないとも言えます。まさに、ただ表現するための手段が違うだけなんですよね。
今日・12月5日は、アクトシティ浜松の大ホールで浜松フロイデ合唱団の恒例のベートーベン「第九」演奏会が行われる日です。私がこの合唱団に参加してからこれが3度目の第九になるわけですが、今はどんな演奏になるのか楽しみと不安が入り交じり、ちょっとした興奮状態です。一昨年と昨年は全く同じ楽譜を使っていたんですが、ステージでは全然違う演奏になりました。今年もまた同じ楽譜なんですが、きっとまた違った演奏になるに違いありません。
14時30分開場、15時30分開演。当日券も販売する予定ですので、ご興味をもたれた方はぜひお越しください。お待ちしています。
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