この夏富士山に登ったときに、八合目から上は麓の静岡県富士宮市にある浅間大社の境内になっている…という話に触れましたが、このたび国から浅間大社に正式に土地が譲与されました。そもそもこの件については30年前に「浅間大社の土地である」という判決が出ていたのですが、国から所有を移転するのが遅れていたのだそうです。
しかし、山頂付近の県境が確定していないために、この土地を登記することは今のところ出来ないのだとか。ただ、私が静岡県民であることを差し引いて冷静に見ても、これで山頂の管理は実質的に静岡県では?という根拠がさらに強くなったのは間違いなさそうですね。これはもう両県のプライドと意地のぶつかり合いでしょうから、そう簡単に決着することはあり得ないんですが。
今回は、Weekly SSKでは久しぶりの著作権がらみの問題。私は、自分の作品を著作権で守ってもらう側でもあり、合唱団の演奏会などで著作権料を払って他の方の作品を使わせてもらう側でもあるわけで、この手の話はついつい気になってしまいます。
最近、この分野で最大の話題になっていたのが、元モーニング娘。の歌手・安倍なつみの盗作問題ですね。彼女がエッセイやラジオ番組の中で「自作」として発表していた詩の中に、他人の作品から盗用しているものがあるのでは?との指摘が出ていたのだそうです。
普通だと、指摘された側が盗作を否定して真っ向から対決する姿勢を鮮明にするわけですが、彼女は意外にあっさりと盗作を認めてしまいました。公式ページでの彼女のコメントによると、印象に残った歌詞の一節をメモに書き貯めていて、自分で作るときにはそれを参考にしていたのだとか。思わず「それを『盗作』って言うんじゃないの?」と突っ込みたくなるところなんですが、どうも彼女にはそうした認識がなかったようです。
基本的に歌い手である彼女にとって、詩はあくまでもサイドワークですし、何より天然系の素朴なキャラクターが持ち味の彼女にとって、ここで変に突っ張ってしまうとイメージダウンにつながりかねない…という事務所側の計算も働いたかも知れません。ともかく、彼女が素直に認めて謝罪したことで、訴訟に発展することはなさそうですね。もっとも、実際にそんなことになったら、「引用元」があまりに多くて大変らしいんですが。
この件で彼女は年末の紅白歌合戦を辞退するなど来月末までの芸能活動を休止中ですが、精神的にかなり落ち込んでいて、復帰がどのようになるかは不透明なようです。彼女が本当に私たちが普段テレビで見ているとおりの性格の持ち主だとしたら、盗作している意識がなかったのも本当でしょうし、そうなれば落ち込んでしまうのも当然でしょうね。巷の声も、温かく復帰を待っている声の方が強いような気がします。このあたりもなっちの愛すべきキャラクターのなせる技なのでしょうか。
前に楽曲の盗作疑惑について触れたことがありますが、曲と比べると詩が盗作であるかどうかは判断がしやすいような気がします。言葉の選び方は、音の選び方と比べると圧倒的にバリエーションに富みますからね。全く参考にせずに同じものを作るのは至難の業です。
特に楽曲の作詞について考えてみると、最近はシンガーソングライターが増えたこともあってか、昔の曲のように音数を5音とか7音に合わせて作ることが少ないですから、作詞の自由度は格段に増しているような気がします。ただ、一見自由奔放に書いているように見えて、実は緻密に韻を踏んでいたりして高度な言葉遊びのセンスが見える曲もありますよね。例えばサザンオールスターズやB’z、Mr.Childrenなどの楽曲ではこれが顕著です。
他にも、やたらと難しい漢字を並べてみたり、逆にひらがなだけを並べてみたり、英語などとごちゃ混ぜにしてみたり、巷には様々な歌詞が並んでいます。こうして考えてみると、実は作詞する人たちもオリジナリティを出すのに結構苦労してるのかな?という気もします。ただ、あまり凝りすぎると、今度は本当に伝えたいはずの詞の意味が簡単に伝わらなくなってしまう…という難しさもあるでしょう。結局のところ、率直に伝える言葉が一番強いような気がします。
そう考えると、なっちみたいなタイプは作詞家としては有利な面を持っているとも言えそうです。他人の言葉を借りなくとも、彼女自身の言葉でちゃんと勝負できるはずだったんですよね。どこで間違ってしまったんでしょうか。彼女には、今回のことに負けず、復帰したら今度は自分の言葉で歌うことにチャレンジして欲しい気がします。…そう思う私は甘すぎるんでしょうか。
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