明るみに出たボトルネック
前々回から引き続いて「玄箱」関係の話題。ベンチマークにかけたところ、速くなったのか遅くなったのかよくわからない結果となったわけですが、こうなってしまったのも仕方ない面があります。それは、インターフェースのボトルネックが解消していなかったから。もともと、「ボトルネック」というのは他の部分より細い通り道を瓶の口に例えた言葉なんですが、この比喩の巧みさには実に感心しますね。
私が購入したKURO-BOX/HGは、1Gbpsの転送能力を持つ1000BASE-Tに対応したLANインターフェースを持っています。また、自作タワーのマザーボード・P4GD1のLANも1000BASE-T対応です。しかし、これらを接続しているルーターに内蔵されたハブは100BASE-TX対応。この結果、KURO-BOX/HGとパソコンの間はHD-120LANのときと同じ100Mbpsでしか通信できないことになります。ネットワーク経路内にある最も下位の規格の速度に合わせられるわけですね。
様々なデバイスが相互にデータをやりとりするこの世界では、個々の性能よりそれらをつなぐインターフェースの能力が重要になってくると思います。今回の場合は、インターフェースが一番低速な部分で、ここが全体の足を引っ張ることになってしまいますからね。ここが変わらないのでは全体の性能が変わらないのも仕方ない話です。
KURO-BOX/HGを100BASE-TX接続で使用したときの読み込み速度は9MB/s強。72Mbps以上ということになり、ネットワークには目的のデータ以外にも制御情報が流れることを考えると、最大100Mbpsである100BASE-TXの能力をほぼ使い切っているといえそうです。1000BASE-Tに変更すれば、一気に理論上の転送速度は10倍になる(実際にはそこまで速くはならないそうですが)わけで、さらに性能の向上も期待できます。
また増えたギガ
そこで、1000BASE-T対応のハブであるプラネックス・FXG-05TXJを追加して、これを中心に各機器をつなぐことにしました。これで、自作タワー→ハブ→玄箱の経路が1000BASE-T対応となります。すでにハードディスク容量は合計数百ギガバイト、CPUの動作周波数は3ギガヘルツを超えています。メインメモリも1ギガバイトを搭載。また一つ「ギガ」で語る数字が増えました。
一方、ルーターとの接続はこれまで通りの100Mbps。該当する部分だけ高速な規格に揃えれば事が足りるのがイーサネットの強みです。というよりも、様々な規格が混在できてしまうところが本当にすごいところなんですが。
1000BASE-T対応に加えて、細切れに送られているデータの1つずつを大きくすることによってさらにデータ転送を高速化する、ジャンボフレームという技術があります。本当はこれも試してみたかったんですが、ジャンボフレームを使うための条件整備はとても面倒です。LAN内の全ての機器がジャンボフレームに対応していなくてはなりません。
この「全て」というのが厄介。通常フレームの機器を併用したければルーターを介することになるわけで、さすがにそこまでして使う気にはなりません。機器ごとに対応しているフレームサイズがまちまちで、これを合わせなくてはならないことも、ややこしさにさらに輪をかけています。(この件について解釈の誤りがあります。。「もっとギガの威力」も併せてお読みください。)
効果てきめん
前と同じCrystalMarkを使って、LANの速度による性能の違いを見てみましょう↓。
CrystalMark 0.9 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
Machine | HDD access (MB/s) | HDD Mark | |||||
Read | Write | 512K Random | 64K Random | ||||
Read | Write | Read | Write | ||||
HD-120LAN | 8.68 | 8.73 | 6.49 | 8.63 | 5.97 | 8.23 | 1867 |
KURO-BOX/HG (100BASE-TX) |
9.09 | 4.37 | 9.07 | 4.36 | 8.16 | 4.26 | 1569 |
KURO-BOX/HG (1000BASE-T) |
14.94 | 6.42 | 15.33 | 6.42 | 12.43 | 6.29 | 2470 |
結果は見ての通り。明らかに転送速度が速くなっています。15MB/sなら120Mbpsくらいになっているわけですから、インターフェースの改善でボトルネックが解消して、本来の能力が発揮できたといえそうですね。
そしてもう一つ、読み込みよりも格段に遅かった書き込みでも速度の向上が見られます。書き込みの4.3MB/s前後という数値は、玄箱側の限界か内蔵したハードディスクの限界だと思っていたのですが、どうやらこれもインターフェース側の限界だったようです。
ハブを追加したことでハードディスクの能力を引き出すことはできたのかな?と思います。ただ、このハブが8,000円弱もするのはちょっと財布には辛いところですね。1000BASE-T対応のハブも、100BASE-TX対応製品と比較するとなかなか値段が下がってきませんし、筐体の小型化も全然進みません。ギガヘルツ単位の高周波を扱わなくてはなりませんから、仕方ないところもあるんですけどね。
注意!
この記事の中には、LAN上でのジャンボフレームの取り扱いについて解釈の誤っている箇所があります。「もっとギガの威力」も併せてお読みください。
コメントを残す