またも勘違い
前回、自宅内LANの一部をギガビット化して、自作タワーと玄箱との間の通信速度がちょっと向上しました。このときに、さらに高速化するための方法としてジャンボフレームという技術にも触れたわけですが、LANにつながる全ての機器が対応しなくてはならない…ということで、我が家では導入は無理かな?と思っていました。ルーターと無線LANをつながなくてはならない以上、現状ではLAN上の全てをジャンボフレーム対応にするのは不可能ですからね。
あの記事を読んでいただいた方からお便りをいただきました。ジャンボフレームを使用するときにLAN上の全ての機器が対応している必要はなく、該当経路上の全ての機器が対応してさえいればジャンボフレームは利用可能なのだそうです。また、フレームサイズの設定は「最大フレームサイズ」であり、対応機器同士で通信可能なフレームサイズが調整されるのだとか。つまり、扱い方としては1000BASE-Tと100BASE-TXを混在させる場合と全く同じと言うことになります。
前回の私の解釈は、関連する製品の説明書やWebサイトのFAQを読んだ結果のものだったんですが、どうやらどこかで読み違えてしまったようです。特に、ここに書く内容についてはできるだけ間違わないように調べているんですけどね。一つ問題だったのは、無理だと思いこんでしまったせいで、「ダメ元で試す」ということをしなかったことでしょうか。最近、チャレンジ精神がちょっと鈍ってきているのかも知れません。
劇的なまでの変化
前回導入したハブは、最大で9,500バイトまでのジャンボフレームに対応しています。また、自作タワーのマザーボードに装備されているLANインターフェースは4,088バイトと9,014バイト、玄箱の方は4,100バイトと7,418バイトのそれぞれ2つの最大フレームサイズが設定できます。ハードディスクが扱うデータはフレームサイズよりもずっと大きいので、フレームサイズは大きければ大きいほど高速化に寄与するはずですが、実際にはどうなのかを見るために、最大フレームサイズを変えて試してみることにしました。
とりあえずは、今や定番のCrystalMarkを使って玄箱との通信速度で性能の違いを比べてみたわけですが…とにかくご覧ください。
CrystalMark 0.9 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
Machine | HDD access (MB/s) | HDD Mark | |||||
Read | Write | 512K Random | 64K Random | ||||
Read | Write | Read | Write | ||||
KURO-BOX/HG (100BASE-TX) |
9.09 | 4.37 | 9.07 | 4.36 | 8.16 | 4.26 | 1569 |
KURO-BOX/HG (1000BASE-T) |
14.94 | 6.42 | 15.33 | 6.42 | 12.43 | 6.29 | 2470 |
KURO-BOX/HG (1000BASE-T, 4088/4100) |
21.85 | 17.62 | 21.64 | 17.63 | 17.82 | 16.24 | 4509 |
KURO-BOX/HG (1000BASE-T, 9014/7418) |
22.37 | 18.70 | 22.45 | 19.49 | 18.03 | 17.31 | 4732 |
CF-R2A内蔵 (MK4004GAH) |
13.78 | 12.48 | 10.29 | 8.24 | 3.33 | 3.37 | 2057 |
自作タワー内蔵 (ST380013AS) |
43.49 | 35.92 | 25.41 | 24.32 | 6.33 | 11.04 | 5857 |
前回以上に劇的な結果が出てきました。ジャンボフレームを有効にしたことで、読み込み速度は無効だったときの約1.5倍に、書き込み速度は約3倍に向上しています。レッツノート・CF-R2A最軽量モデルの内蔵ハードディスクを全ての面で凌駕し、自作タワーの内蔵ハードディスクと同じ土俵に立てそうなレベルにまで来ています。実際に、大きなファイルの転送でも内蔵ハードディスクとそれほど違わない感覚で使うことができます。
一方で、最大フレームサイズの設定を変えてみた結果、9,014バイト~7,418バイトの設定では4,088バイト~4,100バイトのときよりもさらに速度が向上しているのは確かなんですが、その差はわずかなものです。両デバイス間でのフレームサイズ調整の結果、あまり差のない状態になっていたのかも知れません。
ジャンボフレームによりKURO-BOX/HG…というよりも1000BASE-Tはその真価を発揮すると言って良さそうです。いわゆる「ギガビットLAN」として1000BASE-Tが標準搭載されているマザーボードが増えてきましたが、ほとんどの製品ではジャンボフレームに対応しているようです。「通信相手」がいないことには話になりませんが、条件さえ合えば有効にして使うことをおすすめします。
コメントを残す