名前のチカラ

もっと映画館を好きになる年」の最初の1ヶ月が終わりました。1月に映画館で見た映画は3本。ノルマから1本上積みということで、さい先の良いスタートです。私が通っているTOHOシネマズでは、映画を見た本数と上映時間を積み立てて様々な特典を受けられる「シネマイレージ」というシステムがあり、6本見ると1本無料。さらに、2年間で6,000マイル(6,000分間)貯めると1ヶ月間見放題になります。さすがにそこまで行けるかどうかはわかりませんけどね。

1月3本目の作品は「レイ」。R&Bとゴスペルを融合して「ソウル」という音楽ジャンルを確立したレイ・チャールズの半生を描いた作品です。映画の完成を前にして彼自身は昨年亡くなってしまったんですよね。作品中に彼自身の曲が数多く使われている「音楽映画」です。エンドロールのときに周囲を見回すと、隣の席で中年男性が涙していました。その人はきっと彼への思い入れのある人だと思うんですが、そうでない人でもきっと感動できる作品だと思いました。単なるスターの伝記ではなく、一人のとっても人間臭い男と彼を支えた女たちの生き様を振り返る2時間半です。

【DVD「Ray / レイ」】


2月2日に、出張で東京に出かけました。この日は雪のために東海道新幹線のダイヤが大幅に乱れていましたが、実際に徐行運転をしていたのは浜松よりも西だけでしたから、乗り込みさえすれば東京までの所要時間はほぼいつも通りでした。徐行運転する必要のない名古屋発のこだま号でも浜松に到着するのは遅れるんですね。遅れて来るのぞみ号やひかり号を待たなくてはなりませんから。

東京メトロ・銀座駅

帰り道に銀座に寄りました。東京メトロの銀座駅は、派手な色遣いの広告にジャックされていました。この日「DDIポケット」から改名したウィルコムの広告です。

ウィルコムの広告ロゴ

PHSサービスを提供しているこの会社は、かつてはその名の通りKDDIの子会社でしたが、すでに昨年京セラなどが株式を買収し、KDDIとの繋がりはなくなっていました。今回の改名で、ようやく名実ともにKDDIから独立できたわけです。

ご存じの通り、KDDIグループ内には携帯電話サービスのauがあり、DDIポケット時代のPHSはauとの棲み分けを強いられていたんですが、今後はFOMAやCDMA 1X WINなどとの手加減なしの戦いが始まります。これまでは「携帯電話の下」に見られがちだったPHSですが、決してそんなことはなく、むしろPHSの方が有利な面もあります。「WILLCOM」という名前には、通信(Communication)業界で戦っていこうとする彼らの意志(Will)がシンプルに、力強く表現されているような気がします。今後のウィルコムの頑張りに期待しましょう。

ウィルコムストア

私もこれまで利用してきたPHSサービスなんですが、DDIポケット時代には「H"(えっじ)」という名前で親しまれてきました。アルファベットのHに濁点を付ける…というギャグとしか思えないネーミングセンスも、長年付き合っていると格好良く思えてくるから不思議です。まあ、そう思えるのも納得できるだけの実力を持ち合わせているからなんですが。

そのH”が、ウィルコム誕生とともに表記を「EDGE」に改めました。海外資本の入ったウィルコムとしては、日本人以外には絶対に理解できない「H"」よりも、万国で理解してもらえる普通の英語表記に変えた…ということのようなんですが、慣れ親しんできた名前が変わることには寂しさもありますね。ただ、もともと刃の先を意味する「Edge」は先端技術を連想させるプラスイメージの強い名前ですから、名前そのものは変えませんでした。社名もそうですが、名前への強いこだわりを感じます。


新しいものに出会うとき、名前の果たす役割はかなり大きいと感じています。H"のように「羊の皮をかぶったオオカミ」的な場合もあるわけですが、本来はやはり「名は体を表す」なのではないでしょうか。名前が第一印象を作るとも言えるわけで、名前の付け方は非常に大事だと思います。特に、子供が生まれたときに親が名前を考える真剣さには頭が下がります。そう考えると、「SSK World」というのはかなりいい加減な名前ですね。

一方で、真の実力が発揮されることで名前の方が力を持ってくる事も多々あります。実際にH”もそんな力を持つようになったと思いますし、人間の名前というのはほとんどがそういう流れで力を持ってくるものですよね。ただ、そうなってくるとしばしば名前だけで評価が決まってしまうこともあるわけで、度が過ぎるのを見ると「本当にそれでいいのか?」という気がします。

SMAPの新曲「友だちへ ~Say What You Will~」が売れてます。確かにいい曲だとは思うんですが、ちょっと気に食わないのは、エリック・クラプトン、竹内まりや、小林武史…といった制作陣の名前が宣伝の前面に出ていること。この曲は完成する前に制作発表が行われたんですが、本来はとても異例なことですよね。名前に頼る戦略が透けて見えますが、あの時点で好セールスを約束されていたようなものです。弟のボードファッションの話と同じで、ネームバリューのあるアーティストたちは良い作品を作るからこそその評価を得ているわけですが、さすがにこれはちょっとやりすぎです。

「友だちへ…」は登場週にオリコン首位、翌週には3位となっています。最終的には、前作「世界に一つだけの花」には勝てないと思いますね。あの曲の場合は、確かに槇原敬之という「名前」が関与してはいましたが、そのこととは全く関係なく曲そのものの力だけで自らをビッグネームにしたんですから。


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