先週、名前の持つ意味を考えてみたわけですが、合併で生まれる新しい市の名前も、その市の印象を決める重要な存在です。7月に合併する新しい「浜松市」のように旧市町村の名前が残れば、もともとのイメージがある程度固まっているわけですが、名前が残らない市町村のイメージは埋もれてしまいます。一方で、全く新しい名前を付けようとするとこれはなかなか苦労するようです。近隣の知名度の高い名前を借りてきたり、旧市町村の文字をつなげてみたり。
そうやって付けた愛知県の新しい市の名前に、住民ばかりか全国から非難が集中しました。今月17日に開港する中部国際空港の愛称を使った「南セントレア市」ですね。中部国際空港をテコにして発展していく新市に夢を賭けた名前ではありますが、山梨県の「南アルプス市」や埼玉県の「さいたま市」ですら許せない私ですから、この名前は論外です。同じ事を感じた人が多かったということでしょうか。
結局、この名前は一度ご破算として、改めて住民投票が行われるようです…投票候補にこれだけ不評の「南セントレア市」が残っているのはどうなの?という気はするわけですが。もともとの美浜町、南知多町とも、地域の歴史を感じるいい名前ですよね。ともかく、誰もが自慢できるような素晴らしい名前に決まることを願っています。
毎年2月の風物詩となりつつあるのが、新しい「一太郎」たちの登場。今年も、木曜日・10日に「一太郎2005」「花子2005」「ATOK2005」などジャストシステムの製品群が一新されました。1985年に最初の「一太郎」が発売されてから今年で20周年なのだとか。長い時間をかけて、日本語ワープロソフトの代名詞としての地位を築いてきました。
すでに昨年から一太郎や花子は名前にバージョン番号ではなく発売年を付けるようになり、今年はATOKも発売年付きの名前になりました。自ら「年に一度は新製品を」と宣言していますし、他社のように中途半端に先取りした年を付けるわけではありませんから、こうした名前はわかりやすくていいのではないでしょうか。こうなってくると、毎年バージョンアップしなくては…という強迫観念のようなものが生まれてきます。毎年選手データが更新される野球ゲームを買いたくなる心理状況とちょっと似ているかも。
やっぱり注目してしまうのはかな漢字変換システムであるATOK2005の新機能。今年のATOKは敬語への対応が強化されたのだそうです。文脈を見て、丁寧語と謙譲語の誤用なども指摘してくるのだとか。日本語の敬語のややこしさも一つの文化だと思うんですが、現代は私自身も含めてこれを正しく使えていない例がかなり多いですよね。日本語の乱れが各所で指摘される中、ATOKは「美しい日本語」を支援するための道具として進化を続けています。
「本体」の一太郎では、文章の構成を考える「アウトライン機能」が強化されているのだそうです。私はわざわざこの手の機能は使ったことがありません。もともとワープロというのは適当に書き散らかした後で順序を入れ替えたり文章を削除、挿入したり…と言うことが可能ですからね。それでも、長い文章を書くときには便利なのかも知れません。
Microsoft Wordとのファイル互換性向上にも力を入れているのだそうです。市販のパソコンのほとんどにWordがプリインストールされている現状で、一太郎が「日本語ワープロソフト」としてWordとまともにシェア争いをしようとしても勝負になるわけがありません。一太郎は、Wordとは違う土俵に自ら移動することで活路を見いだそうとしているようです。アウトライン機能を強化したのも、Wordとのファイル互換性にこだわるのも、「一太郎で考えて、Wordで渡す」というプロセスを狙っているからなんですよね。
ところで、今年は一太郎の発売を前にして衝撃的なニュースが駆けめぐりました。何しろ「一太郎に販売差し止め命令」ですからただごとではありません。問題になったのは一太郎などに装備されている「ヘルプモード」機能。ツールバー上のボタンを押すとマウスカーソルの形が変わり、他のツールバーボタンを押すとそのボタンの機能が表示される…という仕組みになっています。
これが特許の侵害に当たる…と判断されたわけですが、似たような機能ならWindowsそのものにもありますよね。プロパティ画面などにある「?」と書かれたボタンは、ほぼ同じ動作をします。何が違うのか?…ボタンにマウスの絵が描かれているところがポイントなのだそうです。「?」だけなら文字扱いなんですが、絵が付いているためにアイコンと見なされ問題になったのだとか。特許というのは出願書類にどのように書いてあったかで範囲が決まるわけですが、何ともややこしい話です。
その特許を持っているのが松下電器…と聞いてかなり違和感を覚えたんですが、最近は大企業ならどこでも特許による知的財産権の囲い込みは行っていますから、驚くには値しないのかも知れません。結局、ジャストシステム側が控訴したために販売差し止め命令は執行されず、新製品の発売も予定通り行われたわけですが、これでは結論を先送りしただけに過ぎません。どちらも日本を代表する企業、しかも私自身もひいきにしているメーカーですし、是非とも円満に解決してもらえるよう期待しています。
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