「もっと映画館を好きになる年」の2ヶ月目。先週「オペラ座の怪人」「アレキサンダー」の2本を見に出かけて、今月分のノルマも無事達成となりました。これで、ちょうど「ハウルの動く城」のときから貯まっていたTOHOシネマズ・シネマイレージのスタンプラリーが6本になり、次回の1本は無料で見ることができます。また、2時間を大きく超える大作を2本見たので、マイルの方もずいぶん貯まりました。
ここまでに見た作品は、公開されるずいぶん前から「この映画は是非見てみたい」と思っていたものばかりだったので、チケットの購入には全然迷いませんでした。しかし、困ったことに今後しばらくの間はそこまで強い思いを持つ公開予定作品がありません…「ちょっと気になる」レベルのものはいくつかあるんですけどね。これからいろいろと情報を調べて、見る作品を吟味しようかと思っています。
今月の1本目となった「オペラ座の怪人」は、世界で最も多くの人々が見たと言われる超名作ミュージカルを、作曲者であるアンドリュー・ロイド・ウェバー自身の制作により映像化した作品です。ミュージカルを基にしているということで、音楽好きな人が集まっている集団である私たちの合唱団では、この作品に興味を持っている人が多くいました。そこで、今回は合唱団の人たちを数人集めて一緒に見に行くことにしました。TOHOシネマズのインターネットチケット予約では、複数枚を同時に用意するときでも、各年齢層向けの割引チケットを含むときでも、問題なく予約をすることができます。
作品中には非常に多くの曲が登場します。登場人物たちの台詞も、ここぞという場面では歌声で語られます。ミュージカルとしては当たり前のことなんですが、実際に舞台で本格的なミュージカルを見たことがない私にとっては、正直なところ最初は「どうしてそこで歌わなきゃならないんだ?」とツッコミを入れたい気持ちが強かったですね。
しかし、そんな気持ちはすぐに消えました。最大の理由は、やはり音楽としての質の高さにあったのではないかな?と思います。主要な役柄の俳優は吹き替えなしで素晴らしい歌声を響かせ、100人のオーケストラによる分厚い音が私たちを包み込んでくれます。映画館の高品位な音響装置は、もちろん音楽でも本領を発揮します。「レイ」を見たときにも感じたことなんですけどね。
2時間半の上映時間は、映画としてはかなり長い部類に入るわけですが、話の展開もテンポが良く、非常に楽しんで見ることができました。今回は、合唱団の人たちと一緒に来られて本当に良かったと思いますね。というのも、この作品は哀しい純愛ストーリーだと思っているわけで、少なくともひとりではちょっと見ていて恥ずかしくなりそうですから。理想は恋人同士ふたりで来るパターンなのかな?と思ったりするわけですが…周りを見るとカップルが非常に多かったですし。
映画において、音楽は非常に重要な位置を占めていると思っています。俳優たちの演技、背景のセットやロケーション、最近ではCGを駆使した特殊効果など映画にはいろいろな要素があるわけですが、映画音楽にはこれらの要素と決定的に違うところがあります。それは、現実世界では鳴っているはずのないものが鳴っているということ。もちろん、背景の効果音として鳴っている音楽は別格なんですが、登場人物が演奏を行うことが重要な要素である「レイ」や、劇中劇が多いばかりか台詞までもが音楽で語られてしまう「オペラ座の怪人」では、線引きをするのは非常に難しいです。
それでは、なぜ映画音楽は存在するのか?ですが、私は、場面の空気を伝えているものなのではないかな?と思っています。音楽は、しばしば台詞や背景よりも雄弁にそれを伝えてくれますよね。「オペラ座の怪人」では、怪人・ファントムが登場するたびにあの有名な半音階進行のフレーズが奏でられ、彼の持つ危うさ、周囲の人々の感じる不安感といったメッセージを伝えてくれます。それが何度か繰り返されて、一つの「記号」になるわけです。
今回「オペラ座の怪人」を見て改めて感じたのが、同じ曲を繰り返し使うことによる効果。それも、ファントムの登場シーンのような場合だけではなく、繰り返されるごとに曲の持つ意味が変わることが多々あります。毎回歌詞が変わることで、さらにメッセージが明確になっていますね。もともと「反復」は音楽の最重要要素の一つで、実際に同一のモチーフを使った変奏というスタイルは映画音楽ではしばしば使われるんですが、本来がミュージカルという音楽で勝負する作品であるだけに、さすがと思わせるセンスがあります。作品の最初と最後で同じオルゴールが鳴らされますが、全く同じ音が鳴っているのに、最後のシーンではどうしようもなく泣かされました。
「オペラ座の怪人」は、是非もう一度見てみたい作品の一つになりました。作品の質が高いことも理由の一つなんですが、それよりも気になっているのが、まだ作品の全容をつかみ切れていないような気がすること。例えば、作品中では複数の登場人物が同時に別の歌詞を歌っているシーンがいくつか出てきますが、字幕が歌詞の全てを追い切れていないんですよね。もっとも、全ての歌詞の訳が画面に表示されたら、今度は私たちの方が追いつけませんが。
そして、もう一つ思ったのが、ミュージカルの舞台でこの作品を見てみたい…ということ。最近の映画の例に漏れず、この作品でも様々な特殊効果が使われていますし、映画ならではのセットでの撮影も多く見られます。それらが舞台でどう表現されているのかを見たいのが理由の一つです。そして、何より舞台からの生の声でこの作品を「聴いて」みたいと思ったんですよね。やっぱり基本は音楽なんです。
現在、東京で劇団四季が「オペラ座の怪人」の公演を行っています。つまり、その気になりさえすればすぐにでも見に行けるわけです。これは日本語訳での公演ですから、先に触れた歌詞の内容の問題もクリアできそうです。ただ、これこそひとりで行くわけにもいきませんからねぇ…どうしたものか。
一方、2本目の「アレキサンダー」なんですが、「初めて西洋世界を統一した英雄の伝記」というイメージで見ると、とんでもない肩透かしを食らいます。この作品では、ひとりの人間・アレキサンダーの孤独と苦悩に満ちた内面を描くことにエネルギーを注いでいます。3時間弱の上映時間はただでさえ長いんですが、正直なところかなり精神力を使いましたね。
スケールの大きな特殊効果による映像にも驚かされますが、それ以上にこの一種説教臭い作風はオリバー・ストーン監督らしいと言うしかありません。10年ちょっと前にやはり映画館で見た「JFK」を思い出しました。彼の過去の作品を気に入った人なら楽しめるのではないでしょうか。…裏を返すと、必ずしも万人にはお勧めできないということなんですが。
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