最近、私の使っている製品で立て続けに2件の不具合が明らかになり、無償修理という対応が行われました。自動車の場合は、設計や製造管理が原因で不具合が生じた場合に公表および無償での回収、修理を義務づけた「リコール」という制度がありますが、これに限らず不具合に対して無償修理が行われることは良くある話ですよね。
1件目は、昨年末に購入したサンヨーの洗濯乾燥機・AWD-GT960Z。配線作業の不具合が原因で、洗濯や乾燥のときに発煙・発火する可能性があるとのことで、5月の連休前の頃に購入した店から手紙が届きました。連休の明けた頃に店から電話が入り、「点検に伺いますので都合のいい日を教えてください」とのこと。平日の昼間は仕事に出ているので、土曜日の午前中の作業をお願いしました。
土曜日の朝9時半頃に、作業員の方がひとりでやって来ました。手際よく前面のパネルを外して、配線のチェックを始めました。私が様子を覗きに行くと、「この部分の配線がちゃんとできてない製品があるんです」と丁寧に説明してくれました。私の洗濯機は特に問題なし。この方が担当した中では、まだ不良品は見つかっていないとのことでした。
結果的に点検のみとなった作業は20分くらいで終了。作業員の方は、「これでお宅は安心ですね。お忙しい中わざわざ時間を取らせてしまい済みませんでした」と頭を下げて帰って行きました。洗濯機の無事が確認できたのはもちろん良かったんですが、それよりも親身になって対応してもらえたことを感じて、とてもすがすがしい気持ちになりました。
2件目は、新しいデジカメと一緒に購入したコンパクトフラッシュでした。デジカメ用としては超有名ブランドのレキサーメディア製80倍速メディアです。キヤノン製のデジタル一眼レフカメラで、撮影したはずの画像が消失することがあるのだとか。ファームウェアのアップデートにより対応が行われました。私自身はキヤノンのデジカメは使っていませんが、将来的に絶対使わないとも言い切れません。不安要素は排除しておきたかったので、アップデートをしてもらうことにしました。
アップデートを受けるために、東京のレキサーメディア本社に現物を着払いの宅配便で送りました。Webサイトでの告知によると、宅配便が到着してから1~2日で返送されるとのことでしたが、私の家に戻ってきたのは10日も後。おそらくアップデート希望が殺到して対応が遅くなってしまったのでしょう。届いたメディアを見ると、シリアル番号(これを見てアップデート対象かどうかのチェックをしました)が全然違うものになっていました。どうも、アップデートと言うよりも無償交換だったようです。
1通の手紙が同封されていました。不具合のあったことを謝罪する内容でしたが、対応が遅くなったことには一言も触れられていなかったのがちょっと気になりました。そのせいで愛知万博の会場ではこのメディアが使えなかったんですから…まあ、代わりにちょっと他のものを試してみることができたのですが、この件についてはまた別の機会に触れることにします。
どんなジャンルの製品やサービスでも不具合が発生しないのが一番良いわけですが、残念ながらその確率を完璧にゼロにすることはできません。万が一不具合が発生したときにどのように対応するか…実は企業が一般ユーザーにどんな印象を持たれるかを決める最も重要な場面といえます。普段は小売店を通した販売ルートの商品でも、不具合を受け付けるときにはしばしば製造元自身が顔を出しますからね。以前に液晶ディスプレイの不具合を修理に出したときにも、製造元との電話でのやりとりの中で好印象を受けました。
逆に、不具合への対応に問題があると、企業はしばしば致命的なダメージを受けます。かつて、雪印の牛乳が食中毒事件をきっかけに結局ブランドそのものの廃業にまで至ったことはよく覚えていますし、最近では「リコール隠し」が発覚した三菱自動車が大幅に業績を悪化させています。どちらも不具合を隠そうとしたことで失敗しています。不具合を明らかにして誠実に対応すれば、企業イメージは下がるどころか逆に上がるはずなんですけどね。もちろん、あまりに不具合が多いと今度は損害が大きくなりすぎますから、それを未然に防ぐ生産管理は必須です。
これは別に企業での話に限ったことではなく、私たちひとりひとりも間違ったことをしてしまったときにいかに誠実に対応するかが大事な気がします。まずは素直に謝れるかどうかでしょうね。人間も間違いを完全に排除することは不可能…というより、私たちはいつだって間違いだらけなんですから。そして、他人の間違いも強く責めたりせず、お互いがフォローしあえるような広い心を持ちたいものです。…なかなか言うようにはできないわけですが。
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