最近はこの時期になると桜にこだわり続けているSSK World。今年も桜のことではいろいろありましたが、これだけで終わったわけではなかったんですよね。実は、最後にもう一つスペシャル企画が準備してあったんです。水曜日・19日に、高遠城址公園(たかとおじょうしこうえん)に出かけてきました。
高遠城そのものは戦国時代からあった城ですが、桜が植えられ始めたのは明治に入って廃藩置県で城が無くなってからのことだそうです。今では公園は1,500本のコヒガンザクラに彩られ、「天下第一の桜」とも呼ばれる、全国的にも有名な桜の名所になりました。日本さくらの会の「さくら名所百選」にも選ばれていますね。以前から、是非一度は見に行きたいと思っていましたが、ようやく念願が叶いました。
伊那市高遠町観光協会では、開花状況を毎日のようにホームページで更新していて、例年の記録も丁寧に残してあるので開花時期の予想に役立ちます。これを見ながら、出発日を19日に決めて、強引に有給休暇をねじ込みました。
今年は13日に開花宣言が出て、その後も気温が上がったり下がったりしながら、19日にはちょうど満開…という流れでした。まさに計算通り…というところだったんですが、心配だったのは当日の天気。何しろ、浜松城公園では散々な目に遭って(というより、今年は花見の開催すら出来なかったわけで)いますしね。日々移り変わる週間予報に一喜一憂しながら過ごしました。
結局、当日の朝は曇り空。まあ、雨が降らなかっただけましか…と思い、いつも通りに車で出かけました。高遠は浜松のほぼ真北に位置する町で、地図を見るとほぼ一直線につながっている国道152号線をたどっていくだけで着くように見えます。高速道路を使うのはずいぶん回り道で通行料も高いので、行きはこのルートを使ってみよう!と考えました。
しかし、この国道152号線というのがかなりの曲者です。浜松市街では6車線のメインストリートなんですが、北に向かうにつれて道はだんだん細く、曲がりくねるようになり、浜松市の最北・水窪町では1車線の普通の山道になってしまいます。それどころか、静岡・長野県境の青崩峠などではあまりの地形の厳しさに国道が開通していないため、脇の林道を抜けるしかない…というとんでもない道。さすがに152号線を走破するのはあまりに過酷そうだったので、中央自動車道の飯田ICまでを152号線ルートで抜けてみることにしました。
水窪町で1車線の山道を駆け上っていくと、突然視界が開けて、高速道路並みの派手な造りの高架道路が現れます。ここにあるのは国道474号線・草木トンネル。浜松市と飯田市を結ぶ「三遠南信自動車道」という道路の一部として整備されたトンネルで、構造上は時速100kmでも悠々走れます。長野県内にももう一つ、矢筈トンネルという超豪華なトンネルがあります。街から出かけると、どうしてほとんど車も走らないのにこんなものを作るんだろう?と思ってしまうところですが、山に住む人たちにとっては生活のための大事な道路です。矢筈トンネルの交通量はかなり多かったですね。
草木トンネルを抜けると、その先は県境の兵越峠を越えるため細い林道を走り抜けることになります。切り立った山に挟まれた道は、基本的には全然人の気配を感じさせず、ちょっと怖くなるくらいの雰囲気に包まれています。浜松の街から車でたった2時間のところにこんな秘境があるのか…という、ある種の感動があります。それでもびっくりしたのは、峠越えの道で数台の対向車とすれ違ったこと、そしてスギやヒノキの伐採現場があったことです。こんな秘境までも日本人は利用するために分け入っています。
中央高速を伊那ICで降りて、約10km東に向かって走ると高遠にたどり着きます。公園の4kmくらい手前の河川敷に臨時駐車場があり、そこからシャトルバスで移動するようになっています。既に駐車場には数多くの車が停められていました。シャトルバスの運賃は、駐車場で往復分の200円を徴収されますが、帰りのチケットは渡されません。帰りはそのまま乗ればOK。城址公園から駐車場までの片道だけなら無料?と思ってしまいますが、そんな利用をする人はまずいませんから、実害はないのでしょうね。
公園に着いてみると、桜はまさに満開の状態。ソメイヨシノよりも少し濃いめの桜色に埋め尽くされていました。一回り歩いてみると、意外にこぢんまりとした公園です。その中に1,500本が植えられているわけですから、その密度に圧倒されます。まさに、桜に包まれている感じ。
そして、その中にいる人たちの密度もこれまた大変なものです。年齢層も特に高かったわけでもありませんでしたから、仕事を休んで来ている人も多かったんでしょうね。まあ、週末ともなればこの程度では収まらないくらいの人の大洪水なんでしょうけど。
着いた当初はまだ曇り空で、写真を撮っても色合いがもう一つ地味だったんですが、しばらくすると青空が見えてきて、明るさと鮮やかなコントラストを楽しむことが出来ました。やっぱり、普段の行いが良かったからでしょうか(笑)。特に、地面が一面芝に覆われていた三の丸では、これに緑色も加わって、三色の組み合わせで私たちの目を楽しませてくれました。
色彩といえば、変わったところではこんなものにも遭遇しました。満開の桜にはいかにも不似合いの水色の物体…ドラえもんがカメラを持って歩いています。後ろ姿が哀愁を誘いますねぇ(笑)。彼の持っているカメラは、最近ではあまり見かけなくなったインスタントカメラ。観光客を呼び止めて、記念写真を撮影していました。
公園上空では、一日中ヘリコプターが飛び回っているのが気になりました。テレビ局や新聞社が取材をしているのかな?と思っていたんですが、実はこれ、お客さんを乗せての遊覧飛行だったようです。空から見る桜もきっと綺麗でしょうね。事前予約が必要だそうですが、また機会があれば乗ってみたい気がしました。
帰りがけに、高遠市街近くの温泉「さくらの湯」に浸かってきました。城址公園周辺の混雑と比べると、ここは意外なくらい空いていましたね。名前も、露天風呂にある満開の桜も、まさに高遠ならではのお約束。ゆっくりくつろぐことが出来ました。
帰りはさすがに一般道を戻る根性も残っていなかったので、素直に高速道路を通りました。中央道から、相変わらずガラ空きの東海環状道を経由して、すいすいと戻ってくることが出来ました。帰り道では、雨もかなり降りました。やっぱり、日中の天気があれだけ良かったのは、普段の行いが良かったからなんでしょうか(再び笑)。
もちろん、ここにお見せした以外にもたくさんの写真を撮って帰ってきました。帰宅後に確認してみたら、その数何と165枚。よくもまあ撮りまくったものです。それでも、デジカメに入れてあった1GBのSDメモリーカードは3分の1強しか埋まっていませんでした。フィルムカメラの頃と比べたら、本当に便利になりましたね。何枚かを選んで、またPhoto Worldに公開する予定です。もうしばらくお待ちください。
水曜日・19日に、高遠城址公園の桜を見に行ってきました。「天下第一」と呼ぶにふさわしい、満開の桜に埋め尽くされた公園での一日を、十分に堪能してきました。もちろん、単にそれだけでは済ませないのが私の流儀なんですが。
所在地の旧高遠町は、この4月から合併して伊那市になりましたが、高遠町観光協会が役場のホームページアドレスをそのまま使って城址公園の案内をしています。地域ドメインは役所でないと使えないと思っていたんですが、こういう使い方でも認められるんですね。
往路の国道152号線経由のルートはなかなかハードでした。試しに、「国道152号線」をキーワードにして検索してみてください。意外に多くの強者たちがこのルートをたどっています。世の中には「国道ヲタク」といわれる人種もいるようで、彼らは他にもとんでもない「酷道」を数々走破していますが、152号はその中でもかなりハイレベルな部類に属するようです。山中に点在するヤマザクラも、街道のソメイヨシノも綺麗でしたよ。
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