ダメ押しの超高級アイテム
前回の続きということで、新作タワーPCのベンチマークテストの結果をまとめようと思っていたんですが、公開するよりも先に、またとんでもない買い物をしてしまいました。あのソルダムが送り出すフルアルミシャシーのキーボード・ALFEELです。
さすがにキートップはプラスチック製なんですが、アルマイト処理されたトップカバーの「本物の金属」たる存在感はさすがです。控えめに光っている青色LEDもいい感じ。言うまでもなく、ケースのデザインとの統一感を狙って購入したものではありますが、キータッチの感触をしっかりと受け止めるアルミ製シャシーの剛性と重量感には、見た目以上の意味もちゃんとあります。
ただ、2万円弱という価格は、キーボードに払うにはどう考えても高すぎる気がしますけどね。それも、特殊な機能は全然付いていない、プレーンなキーボードです。まあ、個人的にはその方が好みなんですが。
桁違いの演算能力
それでは今日の本題、ベンチマークテストに入りましょう。まずはお馴染みのCrystalMark 2004の結果からです。かなり頻繁にアップデートが施されるCrystalMarkですが、基本的には新規ハードウェアのデータベース整備が目的のようですね。ベンチマーク結果についてはCF-R4をテストしたときの数値をそのまま基準にできそうです。ともかく、結果をご覧ください↓。
CrystalMark 2004 | ||
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Machine | 旧型機 | 新型機 (対旧型機%) |
ALU | 8522 | 16903 (198%) |
FPU | 8425 | 19004 (226%) |
RAM | 8244 | 10253 (124%) |
HDD | 6414 | 11785 (184%) |
GDI | 7050 | 11777 (167%) |
D2D | 4616 | 7859 (170%) |
OGL | 23698 | 35044 (148%) |
Mark | 66969 | 112625 (168%) |
Athlon 64 X2のモデルナンバー「4400+」をそのまま解釈すれば、演算能力は3.2GHzのPentium 4だった旧型機から37.5%前後向上することになりますが、これを大きく上回る結果が出てきました。純粋にCPUの演算能力を測ろうとしているALUとFPUでは、ほぼ2倍の数値になっています。CrystalMarkでは、ハイパースレッディングもデュアルコアも正しく認識して活用しますから、それぞれの持っている能力は十分に出せているはずです。Athlon 64 X2の動作クロックが実際には2.2GHzであることも考えると、Athlon 64 X2のクロック当たり性能の高さが際だちます。
ストライピング構成にしたハードディスクの能力が2倍弱になっているのは予定通り。GDI、D2D、OGLといった画面描画関係の能力が向上しているのは、ビデオカードの「格」がほぼ同レベルの中でCPUの能力差が出たのかな?と考えています。2次元、3次元とも比較的負荷が軽いテストですからね。総合では68%の能力向上。ついにMarkの値は10万を超えました。
Super π 1.1 | ||
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Machine | 104万桁 | 838万桁 |
旧型機 | 50秒 (100) | 12分44秒 (100) |
新型機 | 39秒 (128) | 7分25秒 (172) |
単一スレッドで動作(当然CPUコアも一つしか動かないはず)しているSuper πでも、2つのスレッドが使われるWindows Media Encoder 9の動画エンコード(詳細はCF-R4・実力テスト (1)を参照)でも、新型機は順当に成績を伸ばしています。
Windows Media Encoder 9・15秒の動画エンコード | ||
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Machine | 処理速度 | |
旧型機 | 20秒 (100) | |
新型機 | 13秒 (154) |
CPUコア1個でも、あれだけクロック周波数に差があってもPentium 4に勝てるAthlon 64コア。それが丸ごと2個載っているんですから、普通に考えればスピード競争で負けるはずがありません。後はどれだけ引き離せるかです。
CPUの差だけじゃない
次に、ある意味でこの新型機の存在理由である…と言っても良い、3次元CG作成ソフト・Shadeでの画像レンダリングの速度を比べてみました。CG Worldに公開している「And…what’s the next?」のモデリングデータを使っています。結果はご覧の通り。実に3倍以上という劇的な速さで画像を作ってくれます。他のテスト以上の大差が付きました。
Shade 8.5 Professional (x86) | ||
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Machine | 160 * 120 pixels | 1024 * 768 pixels |
旧型機 | 5分43秒 (100) | 2時間41分02秒 (100) |
新型機 | 1分51秒 (309) | 45分25秒 (355) |
3次元CGのレンダリング作業は、単に大量の演算処理があるだけではなく、大量のデータを同時に扱う作業です。XGAサイズのレンダリング中には、1GBを超えるメモリが使われていました。こうなると、RAMを2GB積んでいる新型機(旧型機は1GB)の優位性が出てきます。仮想メモリとして使われるハードディスクの能力を強化しているのも、プラスに働いているはずです。
メモリも、ハードディスクも、今回のパーツ構成ではこだわった部分。こうしたCPU以外の部分での高性能化が、高速なレンダリングに貢献している…と言って良さそうです。まさに目論見通り。やっぱりメインマシンはこうでなくちゃ!と大喜びしているところです。あとは、じっくりモデルを作り込む時間さえあればなぁ…(涙)。
速さを期待して作った新しい自作パソコン。やっぱり速さは測っておかなくてはならないでしょう。既に、使っている中で十分に実感していたことなんですが、数字で比べておくのが重要ですね。いろいろなベンチマークを走らせることで、「速さ」の中身が見えてきます。
Pentiumシリーズの時代にギガヘルツ信仰に染められてしまったせいか、2.2GHz動作のAthlon 64 X2が3.2GHz動作のPentium 4を軽々と打ち負かしてしまうのには、違和感を感じる一方で爽快感もあります。既にIntel社も動作周波数を前面に出さなくなり、実質的な演算速度、さらには消費電力との関係でCPUの性能が論じられるようになりました。全くジャンルは異なりますが、純粋なスポーツカーであるフェアレディZに、排ガス環境基準の三つ星のステッカーが貼ってあったのを思い出しました。どちらも、速さだけでは語れなくなっているんですね。
まあ、「Athlon 64 X2 4400+」「Pentium D 940」などというモデルナンバーが普及したところで、違うメーカーの製品が容易に比較できないことは変わらないんですけどね。だいたい、それ以前に同じメーカーの製品でも違うラインナップ間では全く比較できないのが現状です。判断材料に出来るのは、意外に店頭での販売価格あたりかも知れません。
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