Weekly SSKの原稿が日曜日中に間に合いませんでした。もうすぐこのコーナーも7周年になりますが、こんな事態になったのは富士山初登頂のとき以来2度目です。最近はこの「日曜更新」を一つの看板にやって来ただけに、相当落ち込んでいます。この週末、いろいろ忙しかったのは確かですが、それは言い訳になりません。週末が忙しくても平日の間にいくらでも用意できるんですからね。
皆さんにとっては、私の日曜日の更新が一度や二度落ちるくらいは些細なことでしょうから、こんなつまらないことをあまり気にしすぎない方がよいのかも知れません。だいたい、こんな記事を毎週更新できるだけでも、私は十分に暇人なのでしょうから。
石油価格が近年になく高騰しています。現代の私たちの生活は石油と切っても切れません。いろいろなところに影響が出ているわけですが、最も直接的でわかりやすいのは、石油そのものの小売価格ですよね。今年の冬は、灯油を買いに行くたびに18リットル缶一つあたりの価格が100円くらいずつ上がり、値上がりをはっきりと意識しました。
そして、自動車用のガソリンでも同じような状況が続いています。私のエクストレイルは燃料タンク容量が60リットルあるそうですが、燃料残量警告灯が点灯してから満タンにしてもらうと、去年なら5,000円札だけで何とかなったのに、今は7,000円くらい用意する必要があります。ガソリンが値上がりしても、1リットルで走れる距離が伸びるわけではありませんから、価格差は直接家計に響いてくることになります…もちろん、車やバイクに乗られる皆さんは既に実感されているはずですが。
そんなときに、ちょっと面白い話を仕入れました。「ハイオクガソリンを使うと、レギュラーガソリンよりも燃費が良くなるらしいよ」とのこと。聞くところによると、燃焼効率が良いので、同じ量で1割くらいは長い距離を走れるのだそうです。
現在、店頭でのハイオクとレギュラーの価格差は約10円で、これは昔からあまり変わっていません。レギュラーが100円を切っていた頃には、ハイオクは「ただの高いガソリン」で、全然眼中にありませんでした。しかし、レギュラーが140円する現在では、価格差は比率にすれば約7%。もし本当に1割長く走れるのなら、ハイオクを使った方が燃料費を抑えられることになります。
ところで、そもそもハイオクとは何なのか?という話なんですが、これは「ハイ・オクタン」を短縮した呼び名で、「オクタン価の高いガソリン」という意味だそうです。オクタン価というのは、エンジン内部で起こるノッキングという現象の起こりにくさを示します。…何だか説明すればするほど訳がわからなくなった方もいらっしゃるはずなので、もう少し噛み砕きましょう。
普通のガソリンエンジンは、気化させたガソリンと空気を混ぜた混合気をシリンダー内に送り込み、これをピストンで圧縮して、点火プラグで火花を飛ばして爆発させ、ピストンを押し下げる…という手順でピストンを往復運動させ、ここから回転運動を取り出します。
混合気は圧縮すると高温になりますが、このときに、火花を飛ばす前に勝手に爆発してしまうことがあります。これがノッキング現象です。本来爆発して欲しいタイミングとは違うところで爆発するわけですから、発生するとエンジンの出力を下げることになり、ひどい場合には止まってしまいます。高い出力を得るために圧縮率を高く設計しているエンジンでは、「ハイオク指定」という仕様になっていることが多いようです。実際には、エンジンの電子制御が進んでいますから、レギュラーガソリンを入れても何とか回してしまうようなんですが、エンジンの健康にはあまり良くなさそうです。
オクタン価の高さ自体は燃焼効率や単位量当たりエネルギーとは無関係。ただし、ハイオクガソリンの高級感を演出するために、レギュラーガソリンよりも発熱量が高く設定されていたり、エンジン洗浄剤などが配合されていたりします。これらの効果で、レギュラー仕様のエンジンにハイオクを給油すると、結果的に燃費が向上する…という可能性はあるかも知れません。
ものは試し…ということで、レギュラー仕様のエクストレイルにハイオクを給油して、しばらく走ってみました。1割も燃費が違うのなら、燃料メーターと距離計の動き方で実感できるのではないかな?と思っていましたが、実際にやってみると違いが全然体感できませんでした。微妙に出足が良くなったような気はしましたが、この辺りの影響がどう出てくるのかはわかりません。
そこで、満タン3回分の実績を比較してみたところ、レギュラーが7.39km/リットル(1178.8km/159.6リットル)だったのに対して、ハイオクは7.56km/リットル(1246.3km/164.7リットル)になりました。ハイオクの方が僅かに燃費が良い…という結果になったものの、その差はたったの2%。これではとても価格差は埋められません。今回のテストでは、ハイオクをわざわざ使う意義は感じられませんでした。
ただし、ひとつ気を付けなくてはならないのが走り方の差による燃費の変動。これは、ときには2割くらい変わってくると言われますから、燃料の違いどころの話ではありません。今回は、基本的に通勤と市街地での移動がほとんどの状況で、走り方にはそれほど差はなかったと考えていますが、それでも走り方の差が潜在能力の差を打ち消した可能性があります。まあ、打ち消される程度の差に過ぎないのなら、やっぱりわざわざハイオクを入れる意味はないことになりますが。
石油価格が高騰する中で、最近「エコドライブ」という言葉を聞くことが増えました。アイドリング・ストップは少々面倒ですが、急発進、急停止は避ける…という運転は、燃料が節約できるだけでなく乗っている人たちにとっても快適なドライブになります。無理して節約するのではなく、自分が快適になれるように考えたら結果的に節約できていた…という仕掛けになるといいですね。
更新が1日遅れになってしまいましたが、Weekly SSKに「ハイオクで燃費節約?」を掲載しました。ネタの掘り起こしから、取材…というより調査に至るまで、最近になくしっかりと仕込んであった企画だったんですが、肝心のまとめる時間がなくて、「日曜日に更新」はかないませんでした。計画性のなさが出ています。ちょっと凹ですね。
現在レギュラーで1リットル140円台、ハイオクだと150円台で推移しているガソリンの小売価格。確かに高いと思うわけですが、1リットル200円前後で売られているミネラルウォーターよりは安いんですよね。単純に体積当たりの値段で比較できるものではありませんが、鉱水と同じように(しかももっと大がかりな施設で)地中から掘り出し、しかも船に乗せられて輸入される石油のこの安さは驚異的だ…と思うことがあります。
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