日本、韓国、台湾、中国の4つの国や地域がプロ野球アジア一を争う、「アジアシリーズ」が行われています。日本からは、日本シリーズで勝利した北海道日本ハムファイターズが出場しています。予選リーグは3戦全勝。今日は決勝戦で台湾のLA NEW ベアーズを1対0の投手戦の末に破り、見事アジア一に輝きました。
普通に実力が発揮できれば、アジアでは日本のチームが一番強いとは思っていますが、試合は時の運。終わってみるまではわかりません。そんなここ一番のところで勝てるのが、真に強いチーム。さすがは日本一のファイターズです。残念ながら日本シリーズで彼らに敗れた、我らが中日ドラゴンズ。彼らに比べて何が足りなかったのか、来年への課題です。
トップ以外は全て敗者。既に日本プロ野球はストーブリーグに突入しています。フリーエージェント(FA)制度が始まってから、各チームの主力選手が移籍することが増えて、話題には事欠きません。
ファイターズの小笠原道大選手がFA宣言をしています。他球団からも話を聞いてみる意向なのだとか。彼の自宅は千葉にある…ということもあり、読売ジャイアンツへの入団が有力視されています。ジャイアンツの小久保裕紀選手は、FA宣言で古巣の福岡ソフトバンクホークスに帰ります。「また王監督と一緒にやりたい」とのことでしたね。広島東洋カープの黒田博樹投手は、FA宣言無しで来季もカープでプレーすることになりました。ファンの声援、チームへの愛着を残留理由に挙げていましたね。彼がFA宣言すれば、争奪戦になることは確実だったんですが…。
FA宣言は、選手に移籍の自由を与える制度なんですが、実際にその権利を得たときに選手たちの考えることは人それぞれのようです。ときには、黒田投手のようにFA宣言しないことの方が有利な選択になることもあります。彼は、来年以降にFA宣言を使っての移籍…という選択肢を残したことになりますからね。それこそ、メジャーリーグにだって挑戦できます。
FA制度は、選手たちが希望して移籍をするシステムですが、一方で、チームの都合で移籍を余儀なくされる選手たちもいます。ジャイアンツの仁志敏久選手は、横浜ベイスターズにトレードされました。出場機会の減った仁志選手が「トレード志願」を受け入れてもらっての移籍だそうですが、裏を返すと彼を戦力構想外だと判断したジャイアンツが弾き出したわけです。
ジャイアンツでは、大ベテランの桑田真澄選手も新しい働き先を探しています。どうやら国内では働き先が見つからず、メジャー挑戦という話が出てきているようですね。仁志選手もそうですが、ジャイアンツ一筋でチームに貢献してきた選手に、球団の扱いはあまりにも冷たすぎる気がします。もちろん、あまりに恩情を掛けすぎるのもマイナス面が大きいと思いますが。
最近のジャイアンツでは、選手の育成よりも、他球団で活躍している選手を連れてくる…という補強の意識の方が強いような気がします。生え抜きの選手の方が良いとは言い切れませんが、選手の集め方を見ていても一貫した構想を感じないんです。豊富な資金力にモノを言わせ、とにかく片っ端から選手をかき集めて来たように見えます。連れてきた選手が活躍できたかどうかは、また別の話なんですが。
今年でジャイアンツは4年間優勝から遠ざかり、2年連続Bクラスに甘んじましたが、いずれも史上初だそうですね。他の球団ならそんなに珍しいことでもないんですが、ジャイアンツファンの紫緒に言わせると「栄光の巨人軍にそれは許されないこと」。こう言われて、どんなに成績が悪くても、翌年には優勝・日本一を過度に期待されてしまうところが、ジャイアンツのかわいそうなところですよね。どうしても即効性の補強に走らざるを得ません。プレッシャーを掛けられ続けたためか、長期的なビジョンを持った補強には失敗し、気が付くと層の薄さが弱点になっています。
別に私はジャイアンツファンではないんですが、多くのアンチジャイアンツファンがそうであるように、「強いジャイアンツ」を倒すことが楽しみです。ファンだけではなく、選手でも「打倒・巨人」に闘志を燃やす選手は結構いるようです。弱いジャイアンツに勝っても張り合いがないんですよね。ただ、こういう意識も実は「栄光の巨人軍」意識とあまり変わらないのではないでしょうか。ジャイアンツには特別な存在でいてほしい…という点では同じことです。
ジャイアンツにとって一番不幸なのは、「栄光の巨人軍」のイメージがあまりにも強固に確立しすぎてしまったことかも知れません。そのことが、球団内にいろいろな問題を蓄積させて、現在の低迷を生んでしまったような気がします。立ち直るためには、かなり抜本的に改革して行かなくてはなりませんが、「栄光」の看板がそれを邪魔します。例えば、改革するには外部から監督を招聘するのも一つの方法なんですが、歴代のジャイアンツ監督は全てジャイアンツに在籍した経験があるのだそうです。
ただ、それでも私たちは彼らに「栄光の巨人軍」を求めてしまうんですよね。ある人にとっては無敵のヒーローとして、またある人にとっては最強の悪役として。そのための方法は、他球団のスターをかき集めることではないはずです。このあたりで一度リセットして、新しい「栄光の巨人軍」の看板に掛け替えるくらいの気持ちで立て直しを図ってほしいところですね。他球団の選手たちも、全てのファンたちも、何よりジャイアンツの選手たち自身が、それを望んでいるのではないでしょうか。
日本シリーズ、日米野球、アジアシリーズと続き、ようやく今年の日本プロ野球も一段落付きましたね。今回は、かねてから日本プロ野球の問題の一つだと思っている、読売ジャイアンツについてちょっと考えてみました。ドラフト会議、トレード、FA宣言、ポスティングシステムでのメジャーリーグ移籍…と、ストーブリーグの話題は多彩ですが、ジャイアンツの出番はやっぱり多いですよね。相変わらず積極的に動いているようです。
昔は「栄光の巨人軍」という表現を使われると「何を寝ぼけてるんだ」と思ったものですが、よく考えてみると、私たちアンチジャイアンツファンが「打倒・巨人」に燃えるのも、ただのプロ野球チームではなく「栄光の巨人軍」を倒せるのが嬉しいからなんですよね。主役なのか悪役なのかはともかく、こういう特別な存在がいることは、必ずしも悪いことだとは言えません。
読売系プロスポーツチームのもう一方の雄である、Jリーグの東京ヴェルディ1969も低迷にあえいでいます。昨年2部に落ちたヴェルディですが、今シーズンの1部への復帰は成りませんでした。こちらもジャイアンツ同様、歴史も実績もあるチーム。是非とも復活してほしいところです。まあ、そんなチームでもあっさり2部落ちしてもがき苦しまなくてはならないところが、Jリーグの健全さなのかも知れませんけどね。
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