プロ野球・中日ドラゴンズの山本昌投手が、8月4日にナゴヤドームで行われた読売ジャイアンツ戦で、9回1失点で完投し今季7勝目、通算200個目の勝ち星を挙げました。彼は以前から大好きな野球選手でしたから、記録達成はとても嬉しかったですね。それにしても、オリンピック開幕直前とはいえ、こんな大事な試合がどうしてテレビ地上波では中継されないのでしょうか?
42歳11ヶ月での200勝達成は史上最年長だそうですね。そして、この日の完投勝利も史上最年長なのだとか。今年プロ25年目の山本昌投手ですが、ドラフト5位での入団当時はそれほど注目された選手だったわけでもなく、初勝利を挙げたのは入団5年目でした。単に「長くやっていたから」とは語れない、並々ならぬ努力の上に積み上げた勝ち星といえそうです。
ドラゴンズの落合監督は、「重たい荷物を下ろして、今まで以上に枯れたピッチングをしてくれるでしょう」と、実にあの人らしい辛みの利いたコメントで祝福しています。既に限界を超えてから、ギリギリのところで200勝にたどり着いた人も多かった中で、彼はまだまだドラゴンズの貴重な戦力です。今後に期待しましょう。
落合監督は、さらに「ユニフォームを脱ぐ選手と脱がされる選手がいる。彼は脱ぐ選手だ」と、解釈によってはまるで引退勧告みたいに聞こえるコメントまで残しています。まあ、これは「できるところまで頑張って続けてみろ。こちらから『肩たたき』はしない」という意味だと思っていますが。
ところで、今回のことを紹介する記事を見ると、「日本最後の200勝投手」という言い回しを見かけます。もちろん、その後ろには疑問符や「…かも」のような表現が付いていて、あくまでも推測の域は出ないわけですが。
要因の一つとして、投手の分業化が進んできたことがあると思います。昔のプロ野球では、エースピッチャーはここぞというところでは先発で連投、さらにリリーフでも登板…とフル回転で、1シーズンの間に30勝も40勝もしていたわけですが、現代の先発ピッチャーはきっちりと1週間前後の間隔を開けて登板しますから、20勝するのは至難の業になっています。
そしてもう一つ、100勝を若いうちにクリアして、200勝が目指せるような投手が、日本球界から出て行ってしまうこともあります。例えばボストンレッドソックスの松坂大輔投手も、ロサンゼルスドジャースの黒田博樹投手もそうですよね。メジャーリーグは日本プロ野球よりも年間試合数が多いですから、彼らが順調に活躍すれば「日米通算で200勝」は達成できる可能性が十分あると思いますが、かなり条件が違うところでの記録ですから、単純に合算するのはちょっと違う気がします。
そう考えると、山本昌投手に対する「日本最後の200勝投手」という称号も、あながちオーバーではないような気がします。もっとも、そんな私たちの思いこみを破ってくれる人が出てくることも、一方では期待してしまうんですけどね。
こうした意味では、先日達成されたシアトルマリナーズ・イチロー選手の日米通算3,000安打も、やっぱり参考記録と言わざるを得ないのでしょう。元メジャーリーガーで日本プロ野球に来た選手が、日米の成績を通算して数えているのは見たことがありませんよね。それと同じことです。
遅くとも来シーズンの半ばまでには、張本勲氏の通算3,085安打を超えて、「プロとして一番多くの安打を放った日本人」になることは確実だと思います。しかし、まだメジャーリーグでの安打数は2,000も超えていません。それでも、イチロー選手の通算3,000本安打にはアメリカでも意外に注目が集まったようですね。もちろん、これはイチロー選手のメジャーリーグでのこれまでの活躍を誰もが認めているからでしょうけど。
イチロー選手の活躍にはまだまだ続きがあります。メジャーリーグでの3,000本安打くらいまでは記録を伸ばしてほしいですね。その頃には、「プロとして世界一安打を数多く放った選手」になれるはずです。さすがにそこまで行けば誰も「参考記録」なんて言わないのではないでしょうか。
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