SSDを使わせるな (1)

前回のレッツノートのある暮らし「すごい…のか、SSD?」で、パフォーマンス向上のために設定変更をいくつか加えました。これらは、よりアクセス速度の高いRAMを徹底的に活用して、より遅いSSDへのアクセスを減らす…という方向性のものです。

実は、SSDの場合、これとは全く違った観点でアクセスを減らしたい明確な動機が存在します。それは、「SSDを長持ちさせたい」ということ。導入するときにも触れていますが、書き込み回数の寿命がハードディスクよりも桁違いに少ないのは、SSDにとっては現状では最大のウイークポイントと言って良いかも知れません。使える期間は延ばせるものなら延ばしたいところです。

このことを念頭に置いてWindowsの動作を見ていくと、ハードディスクは意外に頻繁に書き換えられながら使われていることに気づきます。しかし、この使い方はハードディスクだからこそ可能であったことで、SSDでは全く違う使い方を考えていかなくてはなりません。残念ながら、現状ではWindowsはハードディスクとSSDの違いを考慮した設定の変更はしてくれませんから、ユーザーの側で適切な対応方法を設定していく必要があります。


ハードディスクを休ませろ」で紹介していた中では、ページファイルを使わないようにすること、Windowsカーネルを全てRAM上に置くようにすることの2つが特に「SSDに優しい」設定と言えるでしょう。ページファイルはRAMの代わりに使われる「仮想メモリ」であり、その性質上頻繁に書き換えられます。これを使わないことで、書き込み回数はかなり減らせるはずです。

そしてもう一つ意識したいのがデフラグ。ハードディスクの場合、データを連続に配置しておくことがパフォーマンス向上に多大な効果をもたらすため、デフラグは重要な作業なんですが、SSDの場合は、物理的な配置の連続性は原理的にパフォーマンスには全く影響しません。それどころか、最近のSSDでは、寿命を延ばすために意図的に書き込み位置を分散させることすら行っています。SSDにとって、デフラグは「要らない」「無意味」どころか、寿命を縮めるだけの無駄な作業で、「絶対にしてはいけない」と言っても過言ではないでしょう。

しかし、Windows XP以降では、「パフォーマンス向上のために」バックグラウンドで自動的にデフラグを行うのが標準の設定になっています。これを、何としても停止させなくてはなりません。本来なら、レジストリエディタで設定を書き換える作業になりますが、幸いなことに、このあたりをサポートしてくれるソフトウェアがいくつか存在します。

私はINASOFTさんのフリーソフト「いじくるつくーる」をインストールしましたが、これを使うと、先に挙げた「カーネルを全てRAM上に置く」設定とともに、自動デフラグの設定もGUIで変更することができます。自動デフラグの動作は止めてしまいましょう。デフラグ作業自体にもCPUパワーやディスクI/Oなどシステムのリソースを食われるわけですし、百害あって一利なしです。


Windowsのシステムやアプリケーションは、作業用に一時的にファイルを作成することがあります。これらはテンポラリ(Temporary ; 一時的な)ファイルと呼ばれるわけですが、その性質上、頻繁に読み書きが行われ、これもSSDの寿命を縮める要因になります。

この問題の解決方法として、RAMディスクに着目しました。Windows以前の時代からパソコンと向き合っている人たちにとっては、ちょっと懐かしい響きですよね。その名の通り、メインメモリ上の一部を仮想的にディスクドライブに見せかけます。メインメモリなら何度書き換えても問題ありませんし、圧倒的に高速であるというメリットもあります。

メモリ管理の手法の変化で、最近は全く使われなくなっていたRAMディスクですが、32bit版のWindows Vistaで、OSの制約上アクセスできない4GBよりも上の領域を活用できることが示され、にわかに脚光を浴びています。パソコンに関する技術の進歩の中で、一度は捨て去られたものが復活してくることは滅多にないと思うのですが、これは珍しい例ですね。


RAMディスクは、メインメモリを記憶領域として使うわけですから、本来プログラム等が動作する分を圧迫することになります。ページファイルを使わない設定にすると、現状の1GB(本体512MB+増設512MB)を搭載している状態でも、正直なところ潤沢とは言えません。さらにメモリを増設することにしました。

このために購入したのが、グリーンハウスのGH-DWM533-1GBZ。型番の通り、1GBのPC2-4200 DDR2 MicroDIMMモジュールで、これを現在取り付けている512MBのモジュールと交換して、合計1.5GB実装となります。この容量への増設はパナソニックでは保証していませんが、実際には利用可能で、メモリモジュールメーカーの中には独自で動作確認をしているところもあります。

購入の決め手になったのは、4,370円(税込み、送料別)という価格でした。CF-R4G本体の購入時には、512MBを19,800円で買ったんですよね。3年間で容量あたり価格は10分の1近くに下がったことになります。

GH-DWM533-1GBZ(左)とADF3200M-512その512MBモジュール・アドテックのADF3200M-512と外観を見比べると、銅製のヒートスプレッダの有無の差が目立ちます。別にコストを絞ったわけではなく、発熱量がそれほど多くないからではないかな?と思っています。

しかも、CF-R4Gに使う場合には、533MHzで動かせるメモリ(本来はCF-R5など用)を400MHzで駆動することになりますから、さらに発熱が少なくなるはずです。試しに、以前省電力メモリを評価したときと同じ「1時間放置テスト」を行ってみたところ、消費電力は双方全く同じ…という結果になりました。これで心配事が一つ減りました。


さて、RAMそのものの増設よりも大切なのが、RAMディスクをどのように実現するかなんですが…ちょっと長い話になりそうなので、続きはまた回を改めて。


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コメント

“SSDを使わせるな (1)” への2件のフィードバック

  1. ×ねのアバター

    他エントリと続けてで失礼します。
    SSD ではデフラグツールを実行すべきでないという意見には賛成ですが、
    断片化自体はむしろ SSD でこそ避けたい状況ではないかと思います。
    物理位置の断片化自体はおっしゃるように問題ありませんが、
    現在のアクセス方法では論理位置も分割されることになってしまいますよね。
    この場合、本来は大きなデータの一括書き込みとしたい所が、
    分割されたデータの複数回の書き込みとなってしまうことがあり、
    書き込み性能の大幅な低下となってしまうように思います。
    可能であれば、多少の領域のロスは我慢するとして、
    Linux の ext2 ファイルシステムなどのように、
    書き込み時に分割された領域の使用を避ける仕組みがほしいですね。
    そのうち SSD 向けの専用ドライバやファイルシステムを、
    どなたか開発して下さるとよいのですけど。

  2. S.S.K.のアバター
    S.S.K.

    ×ねさんへ:
    なるほど。SSDがハードディスク向けのインターフェースをエミュレートしている以上、論理的な断片化が起こっていれば制御に必要なコマンドが増えて、パフォーマンスに影響するのではないか…ということですね。物理的な断片化は影響ないはずなのに、ベンチマークを走らせてみるとデータの粒度によって成績に差が出る理由はこのあたりにあるわけで、確かに無視できない話です。
    そもそも全然特性の異なるハードディスクとSSDを同一に扱っているところに無理があるわけで、個人レベルでの解決策には限界がある部分なだけに、製品側での何らかの対応が待たれます。Windows 7ではハードディスクとSSDが別種のデバイスとして認識される…という話をどこかで聞いたような気がしますが、現在の公開β版のインストール結果を見た限りでは、そんな雰囲気は全く見えません。RC版以降での対応事項になるのでしょうか。ちょっと期待しておきましょう。

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