昨日は、城ヶ崎海岸まで行ってきました。伊東市のちょうど真ん中あたりにある、断崖絶壁の続く海岸で、伊豆急の駅にも名前が使われています。伊豆高原に伏せられたラーメンどんぶり・大室山がかつて活発に火山活動をしていた頃に、噴き出した溶岩で形成されたのだそうです。
伊豆高原まではこれまでに何度も足を運んでいるんですが、この一帯はまだ訪れていませんでした。私は下田に引っ越すよりもずいぶん前に一度だけ行ったことがありましたが、妻の紫緒、そして娘にとっては初めての訪問。東伊豆を代表する観光スポットの一つですから、是非見ておいてほしいと思っていました。
今回の訪問のきっかけになったのは、伊豆海洋公園で開かれている「城ヶ崎あじさいまつり」でした。もともと城ヶ崎一帯にはあじさいが多く自生しているそうですが、公園内に整備された「あじさい苑」には、日本原種のあじさいが全国から約200種も集められて植えられているのだとか。株の総数では下田公園のあじさい祭に遠く及びませんが、種数ではこちらが上でしょう。
あじさい苑では、5月から10月まで次々に咲くあじさいの花を見ることができるのだそうです。もっとも、これは裏を返せば全部いっぺんには見られない…ということで(大室山のさくらの里も、熱海梅園もそうでしたね)、満開の株もあれば、まだ全然咲いてない株もありました。
あいにく少々雲が多い日で、時折日が差してくる感じでしたが、あじさいの場合は雨の中でも様になるくらいですから、これもまた一興。雰囲気を十分に楽しむことができました。ただ、園内はかなりアップダウンの激しい道で、娘を抱っこしたままの移動はなかなか大変でしたね。ベビーカーを持って行ったとしても、急な坂を押すのではやはり大変だったかも知れません。
公園内には芝生の広場もありましたから、ちょっと欲求不満気味だった娘はここで走らせることにしました。最近は、落ちていたり生えていたりする草花の葉っぱが気になるようです。落ち葉を拾う分には後で手を洗わせるだけのことなので構わないんですが、今回のように植物を展示してある公園に行くと、展示物の葉をむしってしまわないか気を遣いますね。
せっかくここまで足を運んだのに、あじさいだけ見て帰ってくるのではもったいありません。海岸を見てこその城ヶ崎でしょう。伊豆海洋公園の中にも海を見下ろす展望台がちゃんとあるわけですが、どうせなら一番美味しいスポットを押さえるべきです。
その美味しいスポットといえば、やはり門脇崎でしょう。南伊豆の先っぽ・石廊崎と張り合える「東伊豆の先っぽ」ではないかと思います(厳密には伊豆半島の最東端ではないはずですが)。ここには展望台のある灯台がありますが、もしかするとそれ以上に有名かも知れないのが、灯台のすぐ北側にある門脇吊橋。高さ23mの絶壁の上に、48mの吊り橋が架かっているのが実に絵になります。
伊豆海洋公園から門脇崎までは、約1kmの遊歩道でつながっています。吊橋のすぐそばにも駐車場はあるんですが、今回はあえて遊歩道を歩くことにしました。以前自分でも歩いているので、わかってはいたのですが、この遊歩道は海岸線に沿った上り下りの続く道。景色は実に良いのですが、比較的自然のままの歩道で、絶壁のすぐ脇なのに柵もない…という場所もあります。
私たち自身も十分に注意を払って歩かなくてはなりませんし、まして娘を安心して一人で歩かせられる場所はほとんどありません。結局、道中は私が抱っこするか、肩車するかで行くことになりました。まあ、おかげさまで娘は終始ご機嫌。肩の上で私の髪をつかんで引っかき回すので、ただでさえボサボサの頭は目も当てられなくなってしまいましたが、気にしないことにしました。
吊橋周辺は、人であふれかえっていました。さすが伊豆半島有数の景勝地です。渡り口には「定員100名」と書かれていましたが、放っておけば超えてしまうのではないか?と心配になります。
ちょうど着いた頃には日が差していたので、海の青さ、打ち寄せる波の白さも楽しむことができました。紫緒が他の観光客にシャッターを押すのを頼まれたり、娘が「あら、かわいいわね~」と声をかけられたり…と、よくある観光地の場面を楽しみながら、ひとときを過ごしました。
歩いて来てしまったからには、歩いて帰らなくてはならないのが当然の道理。帰りは遊歩道ではなく、車道の方を歩いて戻りました。もちろん、すぐ脇を車が走り抜けていくので、帰り道も娘は抱っこか肩車。この日は3km近くをこうして歩いたことになります。さすがに少々腰が辛かったですね。
沿道には建物はそこそこ建っているのに、全然人気(ひとけ)がないのが少々不気味です。人が住んでいない別荘があるのはこの時期なので仕方ないとしても、「売物件」と書かれた札の掛けられているものが実に目立ちます。別荘だけでなく、かつては土産物屋や飲食店だったであろう建物もあります。
伊豆半島一帯では、どこに行ってもこうした建物を結構見かけますね。バブル期以後の不況が観光地に落とした影が、実に生々しい形で保存されています。こうしたものが気になってしまうのは、伊豆に対して「地元」という意識が出てきたからかも知れません。まだ住み始めてから1年ちょっとなんですけどね。
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