敢えて2.5型で

「Degraded」状態で動作していた自作タワーのRAIDアレイの修復を試みました。「修復」とはいえ、Degrade modeはソフトウェア的にデータの整合が取れていない状態だと認識していましたから、ドライブそのものは交換することなく、RAIDアレイを再構築すれば直るのではないかと思っていました。

ネットワーク接続のハードディスクにバックアップを作成してから、まずはミラーリングしているドライブの片方をアレイから解放し、もう片方のドライブのデータを使って再構築をしてみました。BIOSのRAID管理メニューで再構築を指示して再起動すると、Windowsのタスクトレイ上に「再構築中…」のメッセージが表示され、しばらくするとこれが「完了」に変わります。

ところが、「完了」画面が表示された後でもこのアレイは読み取れず、アクセスしようとすると「フォーマットしますか?」と聞かれてしまいます。一応システムを再起動してみましたが、結果は同じ。Degrade modeで動いているディスクのうちの一つだけからでは、データは完全には復活できないようです。まあ、予想の範囲内の出来事ではありましたけどね。そのためにバックアップをとってあったわけですし。

そこで、今度は一度アレイを完全に消去して、改めてミラーリングのアレイを作り直してみました。しかし、これでもやはりダメ。今度はドライブとしての認識すらしてくれません。どうやら、Degrade modeになってしまったのは単なるデータ上の事故ではなく、ディスク自体にもそれなりの理由があったようです。



そんなわけで、結局新しいハードディスクの購入…ということになりました。振り返ってみると、現在使っているハードディスクを購入したのはもう3年半も前のこと。以前と比べると容量の増加は緩やかになっていますが、それでも今やドライブ容量の単位はTB(てらばいと)の時代です。普通に考えれば、7~8千円で1TBのドライブを購入するのが常識的な選択かと思いますが、今回はちょっと一ひねりしてみました。

現在の私の使い方では、1TBのドライブを購入しても、とても埋め尽くせるとは思えません。そこで、今回はノートパソコンに使われている2.5型のドライブを使ってみることにしました。デスクトップに普通に使われる3.5型よりも1台あたりの容量は小さくなりますが、それでも現在使っているものよりは大容量のものを安価で入手できます。低消費電力で、動作音が小さく、対衝撃性能も高い上に、パフォーマンス面でも3.5型に遜色ないものが登場しています。

HTS723232L9A360(左)とHDT722516DLA380

HTS723232L9A360は、日立グローバルストレージテクノロジーズ製の、Travelstar 7K320シリーズに属する2.5型の製品です。2.5型自体は、これまでにノートパソコンのドライブ換装をいくつもこなした私自身にとってはすっかり見慣れているものですが、これまで内蔵していた3.5型のもの(Deskstar T7K250 ; HDT722516DLA380)と比べるとあまりにも小さくて笑ってしまいます。3.5型の筐体を半分に切って、さらに厚みを約3分の1に削ぎ落とすと2.5型の筐体になる…といった感覚でしょうか。重量もほぼ6分の1になります。

記憶容量はこのシリーズでは最大の320GBで、これは3.5型も含めて我が家にあるすべてのハードディスクの中で最大になります。そして、2.5型の製品の中ではあまり多くない、毎分7,200回転の製品です。ノートパソコンに内蔵する場合、発熱等の問題もあるので高回転数が必ずしも主流とはならない面があるわけですが、タワー型の筐体に内蔵するのなら全く問題ありません。もちろん、この回転数のおかげで、3.5型と張り合えるわけです。

HTS723232L9A360(上)とHDT722516DLA380

インターフェースは、3.0ギガビット毎秒の能力を持つシリアルATA。以前のパラレルATAでは、3.5型と2.5型ではインターフェースの形状が違い、変換アダプタ等が必要だったんですが、シリアルATAの場合は見ての通り形状は全く同じ。今回のように、2.5型をデスクトップ用の機器に接続するときにもそのままで大丈夫です。

WinDy SSD HOLDER

ただし、筐体の大きさが全然違いますから、3.5型を取り付けるのが前提になっているケースには、そのままでは2.5型のドライブは取り付けられず、変換アダプタ等の対応が必要です。今回は、アウトレット品で安く売られていたので、ケースメーカー純正となるWinDyブランドの、SSD向けに販売されているホルダーを使ってみました。3.5型1つ分のスペースに、2個の2.5型ドライブが取り付けられます。もちろん、WinDyこだわりのアルミ製です。

取り付けてみました。

3.5型のベイに取り付ける側に切ってあるネジが、3.5型ハードディスク用に使われるインチネジではなくミリネジだったこと(取り付け用ネジは付属していますが)、そしてWinDyらしからぬ少々甘めの加工精度に戸惑いましたが、取り付け自体は無事完了。3.5型ドライブを取り付けたときと比べると、実に空間が多くなるのがわかります。これなら放熱でも有利です。まあ、もともと2.5型ドライブは放熱が少ないんですが。

あとは、普通にケーブルを配線して、セットアップしていけば交換は終了…となるわけですが、もうちょっとお話ししたいこともあるので、この続きはまた回を改めて、としましょう。


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