12月に入ってからのある日のこと。携帯電話の画面をのぞき込んでいた妻の紫緒が、不意に声を上げました。「あ、落ちちゃった」。あまりに唐突な一言に、私は「何が?」と訊きました。彼女からの答えはこうでした。「…自転車、落ちちゃった」
…といっても、別に誰かの自転車が道路から側溝に落ちたりしたわけではありません。ネットオークションで彼女が入札してあった自転車が、見事落札されたんです。落札の通知がメールで届いて、初めてそのことに気がついた、というわけ。彼女自身、落札できるとは全く思っていなかったため、締め切り直前のチェックなどもせず全くのノーマークで、結構驚いたようです。
この自転車、別に彼女自身が乗るためのものではなく、実は私が乗るものを探してくれていたものでした。現在、我が家には赤い折りたたみ自転車が一台あり、現在も私が片道15分の通勤に使用しています。買ってから今年で7年目になりますが、まだまだ現役。まあ、さすがに少々くたびれてきましたけどね。
折りたたみ自転車は、折りたたむと手荷物にすることができるので、自家用車や公共交通機関に乗せて行き、移動先で使うときにもあまり気を遣わない…という特徴がありますが、自転車としての性能では普通の自転車と比べるとどうしても劣ります。特に、タイヤの直径が小さいのは決定的で、直進安定性はありませんし、こいでもこいでもなかなか進みません。
毎日家から職場までを往復するためには、もう少しゆったりと安心して乗れる自転車がほしいところです。しかし、ぽーんと高級車を買ってしまえるだけの余裕もない昨今。そこで、紫緒に入札をお願いしたわけです…自分ですればいいのにねぇ(苦笑)。まあ、仕事中にケータイ片手に競り合うわけにも行きませんから。
紫緒に示していた予算は1万円。といっても、購入するには商品代金の他に送料、代引手数料(オークションの場合、支払い方法が代金引換限定…ということも結構あるわけで)などが必要になるので、実質的に自転車本体に使える分は6~7千円分しかありません。後で触れますが、自転車に挙げた条件も考えると、かなり厳しい予算です。落ちるとは思っていなかった…というのもよくわかります。
ネットを通した商取引の例に漏れず、自転車は自宅まで配達されました。それまで、自転車の購入といえば自転車屋に出掛けていって、自転車屋さんがすぐに乗れるばかりに整備してくれて…というのが当たり前だったんですが、今回は運送屋さんが大きな箱を置いていっただけ。もちろん、彼らの仕事はそこまでですし、私たちの側もそれを承知しているわけなんですが。
箱を開けてみると、自転車が緩衝材に包まれた状態で入っています。
これを取り出してみると、ハンドルやペダルはまだ取り付けられていない状態。まずはこれらの組立をしなくてはなりません。フレームに巻き付けられている緩衝材を剥がしていくのにも、結構手間がかかります。
20分ほどで、乗れる状態に組み上がりました。これまで乗っていた折りたたみ自転車と比べると、やっぱりタイヤの大きさの違いが際立ちますね。700Cサイズのタイヤ(直径が700mm)は、折りたたみの18インチ(後輪)の1.5倍以上もあります。
この後、折りたたみ自転車からライトや鍵をとりあえず移植して、作業は完了。晴れて新しい自転車で出かけられるようになります。現在ちょっと迷っているのが、折りたたみ自転車の今後の扱い。こちらにはこちらにしかない長所もありますから、併用していくことは十分考えられるんですが、そのためにはライトや鍵もちゃんと付けておかなくてはなりません。
新しい自転車は、オフロードでも走れるような「マウンテンバイク」と呼ばれる自転車のパーツをベースにしながらも、舗装路を走るようなもう少しライトな作りになっている、「クロスバイク」と呼ばれるものです。マウンテンバイクとの最大の違いは、ちょっと細身で凹凸の少ないパターンのタイヤでしょうか。
「通勤で楽に乗れる自転車」ということで、いわゆるママチャリよりはちょっと高級な、本格的な変速機が付いているものを考えていました。この車にも、マウンテンバイクで使われるものと同じ6段変速が装備されています。折りたたみ自転車にも、ハブ内蔵の3段変速が付いてはいましたが、対応能力はずいぶん違います。
実際に通勤で乗ってみると、所要時間はあまり変わらないんですが、これまでより格段に楽になりました。必死でこがなくても、どんどん走ってくれるんですよね。橋を渡るときの上り下りでも、サドルに座ったままで行けてしまいます。
ただ、ちょっと気になっているのは、楽に行けるようになって、運動としての強度が減っているのでは?ということ。現状では他に積極的に体を動かすことをしていないので、もしかすると太ってきたりしてしまうかも知れません。まあ、体で感じているものと実際の運動強度には少々違いもあるかも知れませんし、しばらくは様子を見てみましょう。年末年始には帰省してしまうので、実際の確認作業は年が明けてからになりそうです。
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